大学の仕事~自己点検委員会~
今回は自己点検委員会についてお話ししたいと思います。
自己点検委員会とは
以前も大学における学務分掌についてはお話ししたことがありますが、今回は自己点検委員会に絞ってお話ししたいと思います。
上記の記事をご覧いただけたらと思いますが、簡単に紹介すると、大学がきちんと運営されているかどうかをチェックする内部機関となります。
大学に勤めていなければ聞き慣れない機関かもしれませんが、おそらく、一般企業であれ、教育機関であれ、どのような部署であれ、自分達の活動を振り返る機会があると思います。
そのため、やっていること自体はそれほど特別なことではありません。
ただ、この自己点検委員会を舐めてかかると、大変な目に遭います。
結構大変な自己点検
この自己点検委員会、結構大変です。
大学によって自己点検の仕方は変わるかと思いますが、おそらく、学校を運営している法人、学長、各学部、各学科、主要委員会に関する点検が行われるのは共通しているのではないかと思います。
点検自体は、各組織の長にその年度の活動について振り返ってもらい、問題点と改善策を報告してもらいます。
その報告書を基に、委員会メンバーで点検を行い、適切に問題点を挙げられているか、他の問題点はないのか、改善策は適切か、などを指摘するわけです。
規模が大きい大学などでは学部や部署ごとに自己点検委員会が組織され、点検が行われるかと思いますので、大学の規模が大きくなればなるほど点検する数が多くなるというのは、必ずしも当てはまりません。
そのため、点検する数が多い、というのは必ずしも大変である要因になりません。
では、何が大変なのか。
それは、各組織の長にダメ出しをするということです。
お分かりかと思いますが、自己点検というのは報告書を出してもらって、「はい、わかりました。」だけでは終わりません。
報告書を点検して、その報告書に記載されている活動に問題がないかどうかを評価しなくてはならないのです。
絶対にダメ出しをしなくてはならない、というわけではありませんが、問題点を探るため、基本、批判的に報告書を見なければなりません。
そして、それをフィードバックする必要があります。
基本的にフィードバックは委員長がするため、私のような平委員は特にすることはないのですが、各組織の長にダメ出しをするというのは容易ではなく、細かい運営の仕方にまで目を向けないと指摘点が見つからないため、きちんと報告書に目を通さなければ見つけることができません。
つまり、しっかりと読み込み、報告書の内容を把握する必要があります(当たり前ですが)。
それを何か月もかけて何度も点検を繰り返しますので、委員会の開催は結構なストレスになると感じます。
誤解のないようにお伝えしておきますが、人を貶めるような批判ではなく、前向きな批判ですので、ストレスをぶつけるようなものではなく、発散するような場でもありません。
ただ、それが故に、ある意味一番ストレスがたまるかもしれません。
7年ごとに来る認証評価
自己点検など、所詮自分達で行う点検なのだから、形だけ行っていれば大丈夫だろう、と思ってしまったら、その大学は衰退していきます。
なぜなら、7年に一度、「認証評価」という外部評価がやってくるからです。
認証評価とは、簡単に言うと、高等教育機関の教育研究の質の担保を図るために行われる第三者による評価です。
詳しくは以下をご参照ください。
大学という組織であれば7年に1度必ず訪れます。
この認証評価で「不適合」という烙印を押されてしまった場合、最悪、廃止命令が下されます。
つまり、大学運営を続けることができず、つぶれるということです。
この認証評価を受ける際に重要となる期間が「自己点検委員会」となるわけです。
自己点検委員会で、毎年、問題点を洗い出し、改善を重ねていなければ、外部評価で指摘され、改善が間に合わず不適合となることもあり得ます。
もちろん、解決が簡単な問題ばかりではないため、時間をかけて解決していかなければいけない問題もあるのですが、その問題点を把握して、改善に動いているという点検結果が重要となるのです。
つまり、「我々の問題点はここで、その問題を解決すべく、このように動いています」ということが示せれば、それ以上の追及を受けることはほとんどありません。
ただ、繰り返しになりますが、きちんと自己点検を行えていない場合は、袋叩きに合い、改善が追い付かず、不適合となります。
ちなみに、この認証評価は3日間かけてかなり詳細に行われます。
私は短大の時に認証評価を受けたことがありますが、大量の資料を準備し、評価委員の質問には適切に回答しなくてはなりません。
学生募集から財務状況、学部、学科の運営状況や施設の適切な運用など、大学運営に関わる全ての内容が含まれます。
文字通り「質問攻め」です。
場合によっては「袋叩き」です。
説明が長くなりましたが、上記のような状況に陥らないために、自己点検委員会による内部チェックは適切に行わないといけないのです。
今回は少し聞き慣れない自己点検委員会についてお話ししました。
自己点検委員はフラットな目線で上司や同僚を見なければいけないため、自分がある程度以上の年齢や役職についていれば良いのですが、若手が就任した場合、なかなかのストレスがつきまといます。
自己点検委員会の議事録には氏名が公表されないこともあるくらいです。
これは委員を経験してみないとわからないことかもしれませんが、聞き慣れない委員会だからといって、甘く見ると地獄を見ることになるかもしれません。