ギリシア最強の部隊「神聖隊」の秘密は同性愛にあった??
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昨日は日本における男色文化について紹介しましたが、本日は古代ギリシャより同性愛文化のルーツを探ろうと思います。
実は同性愛はギリシャだけでなく、エジプト、ローマ、インド、マヤでも見られました。中国では福建などで盛んになり、日本では戦国時代以降の武士の間で広まりました。キリスト教、イスラム教は厳しく禁じてきましたが、近代に至るまで世界各地で連綿と続けられてきたようです。
その中で古代ギリシャ人の同性愛は、今日のものとは少し違います。彼らは思春期以降の青年だけを対象にし、熟年同士のカップルはあり得ませんでした。禁じられた悦楽と言うより、むしろ社会的義務としての「少年愛」と言った方がいいかもしれません。
古代ギリシャにおける少年愛とは?
古代ギリシャのアテナイなどにおいて、男色(少年愛)は公然と行われており、プラトンの著作(『プロタゴラス』『饗宴』『パイドロス』など)でも、頻繁に描かれています。
少年愛としては、古代ギリシャの「パイデラスティア」が著名ですが、これは当時の代表的なポリスであるアテナイでは、暗黙に認められた市民の義務だったそうです。アテナイに較べ、より戦士社会として厳格な文化や制度を持っていたスパルタにおいては、少年愛は男性市民(国民皆兵制のスパルタでは、それは戦士であることを意味した)にとって法文化された義務でもありました。
古典ギリシアにおける少年愛における「少年」は、思春期またはそれより若い年代の少年ではなく、むしろ戦士としての訓練を受ける青年でしたが、これは文化制度としての「少年愛」での建前だそうです。
プラトンは「徳(アレテー)」について語っているが、「アレテー」とはギリシア語で、「優秀性」なり「卓越性」という意味があります。知性や知識において、また戦士としての肉体の素晴らしさや勇気、戦闘技能の卓越性、更に弁論の巧みさや、指導力を持ち、道徳的にも優れた家柄の良い「男子市民」が「アレテーを持つ人」である。アレテーを若い男性、すなわち、青年・少年に授けるための文化制度がギリシアの「少年愛」だったそうです。
古典ギリシアの少年愛においては、愛する年長の男性を「エラステース」と呼び、愛され、アレテーを授けられる対象となる青少年を「エローメノス」、あるいは「パイディカ」と呼びました。
最強の部隊「神聖隊」の秘密は同性愛??
神聖隊(しんせいたい、ヒエロス・ロコス、古代ギリシア)は、紀元前378年に将軍ゴルギダスが結成した古代ギリシア・テーバイ(テーベ)の、ギリシアで最強と謳われた精鋭歩兵部隊です。古代ギリシャにおいてテーバイはエリスとならび、男性の同性愛がもっとも行われた都市です。テーバイが位置する中部ギリシャ・ボイオチア地方では、少年愛で知られたヘラクレス崇拝がさかんでした。アリストテレスの失われた著作には、ヘラクレスの甥であり、従者、愛人であったイオラウスの墓所に関する描写がありますが、そこは古代テーバイの男性同性愛者のカップルが互いの愛を誓い合う場所として利用されていました。プルタルコスは「神聖隊」の呼称はこの風習に由来すると考えているそうです。
スパルタを破ったレウクトラの戦い等で活躍し、紀元前4世紀のテーバイのギリシア覇権確立に大いに貢献したこの部隊は、150組300名の男性の恋人同士によって編成されていたそうです!
なぜ男性同士のカップルから成っているかというと、愛する相手に惨めな姿を見せようとせず、かつ恋人を守って戦うだろうとの想定のもと設立されたためです。
近代以降、ギリシア陸軍において何度か編成された精鋭部隊の「神聖中隊」という隊名は、この神聖隊の名に由来すると言われています。
古代ギリシアの神聖隊が”愛するもの”を守るために強かったというのは納得ですね!
本日はLGBTの歴史の中から古代ギリシアにおける男色文化・同性愛について紹介しました。GEMPではLGBTQ+に関する歴史の他にも文化や情勢、まめ知識なども投稿しています。興味のある方はぜひ過去記事も見てくださいね♪
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