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秋の五百淵に集う水辺の鳥と森の鳥〜五百淵と野鳥の森「小さな自然散歩」①(福島県郡山市)

古い話題で申し訳ありませんが、9月15日(日)、郡山市の五百淵と郡山野鳥の森でおこなわれた探鳥会のレポートをお送りします。
今回も日本野鳥の会郡山支部の方が案内人を務めてくださいました。

これまでの探鳥会レポートはコチラ↓

五百淵と郡山野鳥の森の位置はコチラ↓

日差しは強いけれども、秋の風を感じる日。五百淵のほとりを彩っていた桜の葉もひらひらと落葉しはじめていました。

春には野鳥たちのさえずりが響き渡っていた五百淵と野鳥の森も、繁殖シーズンが終わり、野鳥たちに代わり、まだまだ元気なツクツクボーシの声、そして、草むらで合奏する秋の虫たちの合奏が主役になっていました。水辺の葦も茶色に変わりつつあり、一つのサイクルの終わりの気配が漂っていました。

とはいえ、水辺は渡りの途中、あるいは五百淵に戻ってきた鳥たちで、にぎやか。たくさんの種類の水鳥が見られました。また、郡山市では目撃情報が少なかった(あるいは目撃されなかった)珍しいチョウたちとの出会いもありました。

今年生まれたカルガモたちも、成鳥とほぼ変わらない大きさに成長!

水辺の鳥たち〜サギ科の水鳥たち

まずは葦のしげみにコサギとダイサギを発見!
最近、近くの川でも見かけることが多くなったサギたち。夏になると涼しく過ごしやすい場所を求めて北上し、秋になると南下してくるそうです。見かける野鳥の種類にも、秋の訪れが感じられました。

毛繕い中のダイサギさんは、なかなかカメラのほうを向いてくれませんでした💦動きはとってもゆったり

サギ科の鳥たち情報↓

サギたちはあの細い姿で、ゆったりというより、ほぼ「不動」の姿で立っていますが、近づくと、これまたゆったり翼を広げて飛んでいってしまいます。

案内人さんによると、コサギとダイサギは体の大きさや嘴の色が違うそうです。

「夏には黒かったダイサギの嘴が、黄色くなってくるのは、冬に向けての準備が整った証拠。繁殖の時期には、レースの洋服のようだった飾り羽も小さくなり、目立たなくります」と案内人さん。一方コサギは嘴が黒く、足の先が黄色だとか。

そんなお話をうかがっていたら、途中で「があ」「ぎゃあ」という鳴き声が…。やや騒がしい声は、アオサギだそう。

右端の小屋の上に佇むのがアオサギさん

さらに案内人さんが望遠鏡で、ダイサギ、コサギ、ホシゴイ(ゴイサギの幼鳥)を見せてくれました。

●ゴイサギ(ペリカン目サギ科)
飛びながら「クワッ」と鳴くそう。
赤い目が特徴的。

●ホシゴイ(ペリカン目サギ科)
ゴイサギの幼鳥。
全体的に茶色く、その名の通り星のような白い斑点が特徴。
ゴイサギに成長するまで期間を要する。
※下記サイトで、ホシゴイ→ゴイサギへの変化が見られます。

●アオサギ(ペリカン目サギ科)
全長93cm(結構大きい!)
国内では最も大きなサギ。
北日本では、秋冬に暖地に移動するものが多いそう

カイツブリにバン、ヒシの上を歩く水鳥たち

五百淵には水草の一種、菱の群生があり、その上をハシビロガモのメスがチョコチョコと何かをついばみながら移動していました。そのほか、カイツブリやバンも菱の上を歩いていたとのことですが、残念ながら私は目撃できず…。

その名の通り葉っぱが菱形をしているところから名づけられたヒシは一年草の水草で、水面に葉を浮かべ、水底に根を張ります。夏に可憐な白い花を咲かせ、硬い殻に覆われたクルミのような実に包まれた種子は越冬して、春に発芽します。秋に枯れた葉の量が多いとヘドロ状になり、水質汚染の原因になるそう。

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、枯れ始めたヒシの群生です

この記事を書くために調べたら、ヒシの実は結構知られた食材のようです。栗の実のようなホクホクした食感なのだとか。ちょっと食べてみたくなりますね。

産地としては福岡県などが有名で、県内でも猪苗代町で環境保全活動をしている株式会社いなびしでは、「ひし茶」を販売していると分かりました。薬膳や漢方にも使われているようです。

●ハシビロガモ(カモ目カモ科)
湖沼や河川などに渡来する冬鳥。
カルガモよりやや小さく、横幅が広く大きな嘴が特徴。
オスは白い胸と四角く赤茶色の腹部が特徴(メスは地味)

●カイツブリ(カイツブリ目カイツブリ科)
鳴き声は「キュリリ」「ピッ」
小さなカモのように見えるが、全体的に褐色が強く、首は赤みがかった茶色で嘴近くに白い模様がある。
足の位置が体の後ろの方にあり、歩くのは苦手。ほぼ水の上で暮らす」
和製漢字で「鳰」と書き、「にほどり」と読む。

●バン(ツル目クイナ科)
ハトほどの大きさで、額は赤、嘴の先が黄色。
河川や湖沼、水田などの湿地で繁殖し、関東以南の湿地で越冬する。
泳ぐときは首を前後に振る。
鳴き声は「クルルッ」

北から飛来する渡り鳥たちが目印とするもの

案内人さんによると、夏から秋にかけては渡りの季節で、野鳥の数は少ないそうですが、冬が近づくにつれて、シベリアなど北から白鳥をはじめ、さまざまな種類の渡鳥がやってくるそうです。

「真冬のシベリアの気温はマイナス40度。人間にとっては過酷な環境でも白鳥たちは生きていけますが、それでも渡りのため南下するのは、なぜだと思いますか? それは湖が凍ってしまい、餌を取れなくなってしまうから。そして、繁殖できなくなってしまうからです」と案内人さん。

南への旅の途中、猛禽類にやられたり、体力が尽きて海に落下したりして、命を落とす仲間もいるそう。それでも、餌を得て、繁殖するため、命懸けで海を渡るといいます。

また、白鳥は昼間に飛ぶため、太陽を目印に昼間に渡りますが、ほとんどの渡鳥は、危険から身を守るため、夜に移動します。その際、目印となるのが、星の位置や地球の磁気なのだとか。野鳥にはすばらしい自然のGPS機能がそなわっているのですね。

「冬には『パンダガモ』とも呼ばれるミコアイサもやってきますよ」と案内人さん。調べてみたら、本当にパンダのよう。これはぜひ見てみたい! 

●ハクチョウ
ハクチョウはカモ科・カモ属に属するカモの仲間。
日本に飛来するのは、おもにオオハクチョウとコハクチョウの2種類。

●ミコアイサ
パンダのような模様は、オスの特徴で、メスは頭が赤茶色で、頬が白。
ただし、オスも飛来直後はメスのような色合い(エクリプス)で、パンダ模様が見られるようになるのは、11月から12月にかけて。

また、私は目撃できませんでしたが、カワセミ(様)も飛んでいたようです。

案内人さんによると、秋から冬へと向かうこれからの季節、渡りの途中に立ち寄る鳥たちで、五百淵の水辺はにぎやかになるそう。普段は見かけない種類の鳥の姿が見られるようです。

森の中の鳥たち〜ヒヨドリのクリアな撮影に成功!

前述しましたが、繁殖シーズン・子育てシーズンが終わった野鳥の森には、森の中には、秋の風が吹いていました。

五百淵(湖)周辺の遊歩道にて

さかんに鳴いていたのは、シジュウカラとヒヨドリ。

「ピチチ…」という声はシジュウカラ
「ヒーヨヒーヨ」はヒヨドリ。

どちらもかわいらしい声でした。

またこの日、はじめて至近距離でシジュウカラとヒヨドリを見ました!

シジュウカラは胸のネクタイが特徴。案内人さんが「ネクタイは太いですか? 太かったらオスです」と教えてくださいましたが、まだまだ太さの基準がわかりません💦 

残念ながらシジュウカラの写真は撮れませんでしたが、ヒヨドリは「まあまあきれい(ピンボケではない)」野鳥の写真を撮ることができました!
私の望遠レンズでは、これが精一杯ですが、背景がボケていい感じに撮れた!と個人的にはお気に入りです(でも、もう少し近づきたいな)

至近距離に来てくれたシジュウカラとヒヨドリに感謝です✨

胸の黒いネクタイがかわいいシジュウカラ(太いのがオス)
はじめて鮮明に撮影できた野鳥の写真! ボサボサ頭がかわいらしいヒヨドリ

シジュウカラもヒヨドリも、季節による移動をせず、1年中同じ地域に棲む「留鳥」。案内人さんによると、ヒヨドリは暑い時期は北上していて、涼しくなったため、五百淵に戻ってきたのだとか。

先日キビタキも五百淵に入ってきたとのことですが、こちらは鳴かないので、目撃するのは難しいそうです。

●ヒヨドリ(スズメ目ヒヨドリ科)
鳴き声は「ヒーヨヒーヨ」
頭頂部から後頭部の羽毛が他より長く、ちょっとボサボサ頭。ほっぺたが赤みのある褐色。

●シジュウカラ(スズメ目シジュウカラ科)
鳴き声は「ツピツピツピ…」「ピチチ…」
白いほっぺたと「ネクタイ」と呼ばれるお腹の黒いラインが特徴。オスはネクタイが大きいほうがモテるとのこと。

●キビタキ(スズメ目ヒタキ科)
福島県の鳥。
鳴き声は「ヒッ、ヒッ」ときどき「クリリッ」

ヒヨドリもシジュウカラもキビタキもスズメの仲間なんですね🐦💗

②に続きます♪





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まひろ@自然の循環の中で生きる
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