五百淵の水鳥たちと、夏鳥が子育てを終えた野鳥の森〜五百淵と野鳥の森の探鳥会レポート(福島県郡山市)
8月18日(日)、郡山市の五百淵と郡山野鳥の森でおこなわれた探鳥会のレポートです。
今回も日本野鳥の会郡山支部の方が案内人を務めてくださいました。
6月の探鳥会レポートはコチラ↓
五百淵と郡山野鳥の森の位置はコチラ↓
晩夏となり、早朝には涼風が吹くようになりましたが、日中はまだまだ暑い🥵💦
そんななか、元気だったのがセミの皆さんです。ミンミンゼミにツクツクボウシが元気に鳴いていて、子育てシーズンが終わったとはいえ、野鳥の声が聞こえない…!
野鳥の中で元気だったのが、「ガーガーガー」というカラス(ハシボソガラス)と「デデッポーッポー」と鳴くキジバトの皆さん、そして、ウグイスの皆さんでした。
ウグイスって、歌の影響からか早春のイメージがありましたが、実際は3月頃から現在まで長い間、声を聞くことができます。
ただし、今の時期は「ウグイスの谷渡り」といって、「ケキョケキョケキョケキョ…」と甲高い鳴き声が多いそう。もう少し跡になると、「ジッジッジッジッ」という地鳴きに変わります。おなじみの「ホーホケキョ」は、相手を探すさえずり声。聞かれるのは春が多いのだとか。
余談ですが、今回参加された方の情報により、「カメムシはセミの仲間である」という衝撃的な事実を知りました。なるほど…セミの姿が苦手という方が一定数いらっしゃるのは、そのせいなのかも? なんだか納得してしまいました。確かに顔が似ていますね。
五百淵を散策しながら、水鳥観察
葦の原が繁茂し、水鳥が暮らしやすい環境が整った五百淵。
わたしは目撃できませんでしたが、ゴイサギやヨシゴイ、ササゴイ、カイツブリの親子が見られたようです。ヨシゴイは葦原の中に忍者のように潜んでいるそう。
●ゴイサギ
飛びながら「クワッ」と鳴くそう。
赤い目が特徴的。
●ヨシゴイ
下記サイト様によると、「ヨシの中に住むゴイサギ」だから「ヨシゴイ」らしいです。
「日中はほとんど鳴かないが、繁殖期になると夜中に「ウー、ウー、ウー」とか、「オーイ、オーイ」と、人を呼び止めるような声で鳴く。その不気味さから、「幽霊鳥」と呼ばれていた」という記述が興味深い💦
●ササゴイ
今回は鳴き声は聞かれませんでしたが、「キュウーッ」と鋭い声で鳴くそう。
ヨシゴイが「ヨシの中に住むゴイサギ」だから「ヨシゴイ」なら、ササゴイは「ササの中に住むゴイサギ」だから?と思いきや、羽の白い縁取りが「笹の葉」のように見えるから「ササゴイ」なのだそうです。
黄色い目と脚が特徴。
案内人のお一人が「ササゴイはかなり貴重です」とおっしゃっていた通り、長野県のレッドデータブックには「絶滅危惧種」として掲載されているそう。
カワセミといい、五百淵という郡山市民にとっては、とっても身近な場所に、そんな貴重な鳥が棲んでいたとは…。本当に知らないことばかり💦
それから会の最後に、五百淵の浮草の上で抱卵しているカイツブリを望遠鏡で観察させていただきました。
野鳥の会の方が、対岸から葦のしげみ前の浮草を見て、「ゴミのような物が見える?」と怪訝に思い、観察したところ、卵を抱くカイツブリだったとか。
望遠鏡越しにですが、はじめてアップで見たカイツブリ、赤がキレイで感動しました。卵が孵るのは9月頃だそうです。
●カイツブリ
鳴き声は「キュリリ」「ピッ」
小さなカモのように見えますが、全体的に褐色が強く、首は赤みがかった茶色に見えました。嘴近くの白がかわいらしい。
下記サイトによると、「足の位置が体の後ろの方にあるので、歩くのは苦手」「ほぼ水の上で暮らす」そう。
ちなみに上記サイトによると、
とのこと。
私の夢は滋賀県大津市に「関西での拠点」を持つことなのですが、夢がかなったら、にほどりさんにお目にかかる機会が増えるかもしれない…と妄想したり😁
子育てシーズン終了!自立を目指すヒナたち
五百淵の岸辺を散策した後は、野鳥の森に入り、南川渓谷方面へ。森の外周を歩きました。
耳を澄ますと、元気なセミとカラスの鳴き声に混じり、「チチチ…」ヒヨドリの声や「ツピツピツピ…」というシジュウカラの鳴き声が聞こえてきました。
そして、はじめて誰かに教えてもらうのではなく、木に止まっている野鳥を自分で見つけました!
……と言っても、案内人さんに「あそこに鳥が止まっています! あれはなんという鳥ですか?」と伝えて、名前を教えてもらっただけですが…。でも、自分で発見できたのが地味にうれしい。
今回、見つけたのはヒヨドリの幼鳥でした。
案内人さんによると、ヒヨドリの特徴の一つが、羽ばたきと休憩を交互に行うため、波のように見える「波状飛行」だそう。優雅な動きでした。ちょっと水泳のバタフライっぽいかも?
ほぼ1年中、声が聞かれるヒヨドリ。実は季節による移動をせず、ほぼ一定の地域で暮らす「留鳥(りゅうちょう)」なんだとか。ただし、一部には、季節移動する「漂鳥(ひょうちょう)」もいるそうです。
探鳥会に参加するようになってから、野鳥の多くが季節によって住む場所を変える漂鳥であることを知りました。いいなあ、私も漂鳥になりたい…。
●ヒヨドリ
鳴き声は「ヒーヨヒーヨ」
頭頂部から後頭部の羽毛が他より長く、ちょっとボサボサ頭。ほっぺたが赤みのある褐色。
シジュウカラの幼鳥も見かけました。なんとなく飛び方がたどたどしいのが、かわいらしい。
案内人さんによると、「まだ親から餌をもらっているところ」なのだそう。鳴き声も親鳥に比べると、たどたどしいのだとか。
●シジュウカラ
鳴き声は「ツピツピツピ…」
白いほっぺたと「ネクタイ」と呼ばれるお腹の黒いラインが特徴。オスはネクタイが大きいほうがモテる…?らしいです。
今度はニセアカシアの枝に止まるカワラヒワを発見!
「うわー」と感動するも、やはり名前は分からず、案内人さんに教えていただき、写真も見せていただきました(私の望遠レンズでは、野鳥の撮影は難しかった…)
●カワラヒワ
今回は聞けませんでしたが、鳴き声は「キュルキュル」「キリキリ」。体色は黄緑色っぽい褐色。その名の通り、河原に多い鳥ですが、公園や標高の高くない森でも見られるそう。
昔の南川渓谷と野鳥の森
今回は野鳥の森の外周から南川渓谷の川辺を通り、野鳥の森の中へというルートを歩きました。
南川渓谷は、一昨日の大雨の影響で、通常より水嵩が増していました。
五百淵公園から国道4号バイパスまでの延長1,600mを流れる南川は、明治時代に行われた※安積(あさか)疏水事業の分水路の一つ。江戸時代から用水路として使われていたそうです。散策路が整備されたのは、平成に入ってからと記憶しています。
※安積疏水事業=猪苗代湖の水をかんがい用水として、郡山市に運ぶという一大事業!
今回の案内人さんの中に、整備される前の南川渓谷をご存知の方がいらして、「昔はこのへん一帯は松林だった。ヤツメウナギが獲れたよ」と教えてくださいました。野鳥の森の近くには、ホームレスが木の板を立てて、暮らしていたこともあったとか。
また、昔の野鳥の森には、ウワミズザクラが多かったそう。
今回の散策中も見かけましたが、樹皮が白樺のように白っぽく、ひょろりとまっすぐで、パッと見た感じはサクラに見えませんでした。
「Y字に別れた上の樹皮の感じはサクラ。おそらくウワミズザクラです」と案内人さんが教えてくださいました。
一昨年前の野鳥の森には、ニセアカシア(ハリエンジュ)が生い茂っていたため、光を求めて上へ上へと伸びていった結果、ヒョロヒョロと育ってしまったのではないかとのことでした。
下記サイト様を見る限り、およそ桜とは思えないヴィジュアルです…💦
昨年、森の日照を遮っていたニセアカシアを伐採したことで、地面まで光が届くようになった野鳥の森。
森の中で時折見かけるピンクのリボンが結ばれた幼木は、ニセアカシア(ハリエンジュ)の後に植樹されたもの。中通りに多いコナラやヤマザクラ(郡山市の花でもあります)が選ばれたそうです。
数年後の野鳥の森は、春には桜が咲き、ウグイスが鳴く森に変わっているかもしれません。
水鳥たちの水浴びスポットへ
野鳥の森と南川渓谷は、“水辺の宝石”カワセミ(様)が生息することでも知られます。
野鳥の森には、カワセミ(様)をはじめ水鳥の「水浴びスポット」があり、かなりの確率でカワセミが見られるそう。以前水音を聞いて、「カワセミ(様)が見られるかも?」と期待して近づいたら、「カラスが行水していた」というオチをくらったことがありました😅
カワセミ(様)は嘴を使って、土手に直径50センチ・奥行き50センチほどの穴を掘り、巣をつくるそう。写真のような土手につくりやすいとのことでした。
奥行き50センチ!
「あの小さい嘴でよく掘れますね」とみんなが感嘆。
この土手にも巣らしき穴がありましたが、どうやら現在は「空き家」のよう。浅瀬の水嵩が増え、水位が上がり、使えなくなることもあるそうです。
「先日、南川でカワセミを見ました!」と報告したら、皆さん、「きれいですよねー」「感動しますよね!」と笑顔に。
野鳥に詳しい方にとっては、カワセミは決して珍しい鳥ではないと聞きましたが、それでもあの美しい瑠璃色、翡翠色は特別なものなのかもしれません。
南川の水面スレスレを流れるように優雅に、そして結構なスピードで飛んでいったカワセミ(様)。あの美しい姿をもう一度拝見したいものです。
……あの美しさ、なめらかさはフィギュアスケートのスパイラルに似てるかもしれない。
●カワセミ
その美しい姿に比べ、鳴き声はあんまりかわいくないことでも知られる(?)カワセミ(様)
「チィー」「ツピィー」と鋭い声で鳴きます。
森に生息する昆虫たち
野鳥の森には昆虫も多数生息しています。
この日はシオカラトンボ、赤トンボ、アゲハチョウを目撃しました。
アゲハチョウは、キアゲハより黄色みが少ない(というか地味💦)と思い、調べたところ、どうやら「ナミアゲハ」という種類のようです。
こちらは「ツマグロヒョウモン」だと、Googleレンズ様が教えてくださいました。
ヒョウモンチョウの仲間、多過ぎて覚えられない(私にはGoogleレンズ様がついてるから、大丈夫!)
こちらは赤トンボなのですが…
調べたら赤トンボにも色々な種類があるらしい…というか、赤くても赤トンボではない種類もあるらしい(だんだん脳がついてこれなくなってきたので、今回はこのへんで💦)
野鳥の森では、アサギマダラも見られるそう。
今回アサギマダラには鱗粉がないことを知りました!そのため、マジックなどで翅に識別のため記号を書くことが可能だそう。
「アサギマダラは疲れると、穏やかな海の表面で休憩することもあるんですよ」と案内人さんが教えてくださいました。
気になって調べたところ、アサギマダラなど長距離移動するチョウの翅には撥水性があり、これが長距離移動を可能にしているようです。
……ああ、この世には、わたしが知らないことがいっぱい…!
もう一回、子ども時代から人生をやり直して、生物と天文学を学び直したい!(大学では歴史と民俗学を学びたい!)
野鳥の森に忍び寄る秋の気配(とドングリをめぐる攻防)
遊歩道には、茶色くなったドングリのほか、まだ熟しきっていない黄緑色のドングリが枝ごと落ちていました。
黄緑色のドングリが枝ごと落ちている場合は、ハイイロチョッキリやシギゾウムシなどが外から卵を産みつけている場合があるそう(口で穴を開けるらしいです)
卵から孵った幼虫は実の中に潜り込み、実を食べつつ、硬い殻に囲まれて成長(餌と棲家の一石二鳥ですね)。
一方、ドングリは虫に齧られてダメージを受けると、虫にとって毒性があったり、天敵を呼んだりする物質を分泌して対抗。
そのため、産卵を終えたハイイロチョッキリは、「そうはさせじ!」と、ドングリの付いた枝を噛み切って(すごい力…)、落下させるのだそう。ちなみに案内人さんによると、「枝を食いちぎるには、7、8時間かかる」とのこと。
次世代へ種を残すための、ドングリ(コナラ)とハイイロチョッキリの仁義なき戦い(違う?)
あの小さなドングリの中で、そんな熾烈な戦いがおこなわれていたとは…!
枝がついたままの黄緑色のドングリが多数落ちていた遊歩道。ほかにも落葉がヒラリ、ハラリと待っていました。
野鳥の森に忍び寄る秋の気配。植物たちは花を終え、実を結び、種を次世代へと渡していきます。そして、それを餌にして、種を次世代へつなごうとする虫や小動物たち。
一つ一つの種は、野鳥の森……いえ、自然という大きな存在のパーツなのかもしれません(人間もそうなのかも?)。
探鳥会に参加して2シーズン目。
探鳥会に参加しているのは、野鳥を通して、植物や昆虫、小動物など森の生態を学びたいから。野鳥たちが最もさえずる春の探鳥会に参加できなかったのが、かえすがえすも残念です。来年こそは春から参加して、もと深く森を学びたいと思います。
〈鳥合わせ〉
●スズメ
●カルガモ
●カイツブリ
●バン
●アオサギ
●ササゴイ
●ツバメ
●シジュウカラ
●ヒヨドリ
●ハシブトガラス
●ハシボソガラス
●キジバト
●ドバト
●ガビチョウ
●カワセミ
●ムクドリ
●ウグイス
●コゲラ
●メジロ
●カワラヒワ
●ハクセキレイ
野鳥は21種類
参加者は17名でした!
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