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歴史と科学 Vol.12 ~ビタミンの発見①~

ビタミンは私たちの身体に欠かせない物質です。
ただし、エネルギー源や身体を作る素材にはなりません。
ビタミンは、身体の構成要素やエネルギー源となるタンパク質・糖・脂質の代謝に欠かせないんです
代謝を大雑把に言えば、外から取り込んだ物質を使って化学合成を行うことです。
物質を分解してエネルギーを取り出したり、アミノ酸からタンパク質を作ったりするんですね。
この化学反応を手助けするのがビタミンです。
ビタミンが無ければ代謝を行うことができません
ところが、ビタミンは体内で十分量を作ることが出来ないんです。
食事で摂取する必要があります。

今回は、ビタミン発見の歴史を紐解きます。

原因不明の病気

古代より、特定の物を食べることで健康を維持できることが知られていました。
分かり易いのが、野菜と果物です。
肉だけでは何らかの不調をきたしてしまいます(もちろん、肉も重要です)。
具体的な例だと、柑橘類や肝臓が挙げられます。
古代エジプトでは、肝臓を食べることが重要だとされていました。
なぜなら、肝臓は夜盲症に効いたからです。
*夜盲症=暗いところで周囲がよく見えなくなってしまう症状
ただし、肝臓のように症状と直結していることが明確になっていた食べ物は稀でした。
長い間、原因の分からない病気も多かったんです。
その一つが壊血病でした。

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