ドクターフィッシュとホンソメワケベラ
どこにでも居そうな見た目の川魚、ガラ・ルファ。
トルコやイラン、イラクなどの西アジアの川に生息する、コイの仲間です。
このガラ・ルファは、ドクターフィッシュという通称で知られています。
理由は、人が水中に手足を入れると、寄ってきて古い角質を食べてくれるからです。
軽くつつかれるような感触で、その刺激が健康に良いのではないかとも言われています(歯が無いので痛くありません)。
ガラ・ルファ(Wikipedia)
ただ、ドクターフィッシュは普段から人の角質を食べているわけではありません。
普段は水底の微生物や岩のコケなどを食べていて、雑食です。
そして、ドクターフィッシュのいる川に手足を入れても、寄ってくるとは限らないんです。
ドクターフィッシュは36℃付近の水温にも適応している珍しい淡水魚です。
そのため、温泉にも生息しています。
温泉には餌となる微生物や藻類が少ないため、温泉に棲んでいるドクターフィッシュは、人が居ると寄ってきて角質を食べますw
貴重なたんぱく源なんですw
古くからフィッシュセラピーとして利用されてきた魚ですが、
古い角質層を取ってくれることよりも、
群がってきて細かくつつかれることが、精神面にプラスの効果をもたらしているようです。
自分に親しみを持ってくれている、必要とされていると感じることが大きいと考えられています。
どんな感じか、水族館で体験できるところがあります。
他にも、ドクターフィッシュの足湯もあります。
実際体験すると分かるんですが、とても気持ち良いですw
そして、可愛いんですよね。
続いて、ホンソメワケベラ。
個人的には、この魚の方がドクターフィッシュという名にふさわしいと思います。
インド洋や太平洋の熱帯・亜熱帯の海にあるサンゴ礁や岩場に生息している生き物です。
ホンソメワケベラ(Wikipedia)
ゆらゆらと波打つように泳ぐホンソメワケベラ。
その最大の特徴は、他の魚の体表や口の中を「そうじ」するという点です。
粘液や寄生虫を食べてくれるため、ホンソメワケベラを見ると近寄ってくる魚も多いんです。
そして、ホンソメワケベラがそうじしている間、どの魚もじっとしています。
中には、微動だにしないものもいます。
大型の魚を掃除している様子がよく取り上げられますが、小型の魚の体表もそうじします。
これは口の中をそうじしている様子です。
食べかすもキレイにしてくれるそうです。
そうじされる方はじっとしていますね。
ホンソメワケベラは、つつくような動作でマッサージもします。
それがとても気持ち良い(?)らしく、魚のストレスを軽減していると言われています。
サンゴ礁に棲む魚のほとんどが、ホンソメワケベラにそうじをしてもらいます。
ただ、中にはホンソメワケベラそっくりの姿をした偽物もいます。
ニセクロスジギンポ(Wikipedia)
ホンソメワケベラにそっくりですね。
似ているので、ニセクロスジギンポは大型魚に襲われ難いです。
しかも、近づいて体表を食いちぎることもあります。
偽物には用心しなければいけませんね...
基本的に、ホンソメワケベラをはじめとするソメワケベラ属の魚は、掃除してもらいに来る魚を待っています。
やってきた魚の掃除をし、それによって食事を行う変わった種です。
また、掃除してもらっている魚が大きく口を開ける・身震いするなどしたときが掃除終了のサインだそうです。
普段は小型魚を食べる大型魚も、掃除をするソメワケベラ属の魚だけは食べません。
口の中を掃除している隙に食べられる、なんてことはないんです。
信頼関係が成り立っているんですね。
魚にとってのドクターフィッシュは、ホンソメワケベラと言っても過言ではないでしょう。