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Gelate 研究ノート

趣味のゲル研究や化学のニュース・興味深い研究について、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。基本は以下の3本です。 〇化学に関するニュース解説 〇連載:科学と歴史(不定期) 〇…
月に3本以上(最低3本)、化学と個人研究に関する月額マガジン専用記事を投稿します。 〇化学に関する…
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#歴史

歴史と科学 vol.19 〜真珠の輝き〜

真珠(パール)は、古代からその美しさと希少価値で人々に愛されてきました。その歴史は、宝石の中でも特に長く、多くの文化に深く根付いています。今回は、真珠の起源から現代に至るまでの歴史についてお話します。 真珠の自然発生と古代文明 真珠は、貝に異物が入った際に、その異物を排除しようとする貝の防御反応によって形成されます。これは、貝が異物を包み込み、その周りにカルシウム炭酸塩(主にアラゴナイト)を層状に積み重ねる事が原因です。 最も古い真珠の使用例は、紀元前2500年ごろの古

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歴史と科学vol.18 ローマ街道が運んだもの

ローマ街道が実現した物流網はローマ帝国を大きく発展させました。 今回は、堅牢に作られたローマ街道の歴史と意義について見てみます。 歴史 ローマ帝国の街道網の基盤は紀元前4世紀に始まります。最も有名な街道である「アッピア街道」は、紀元前312年に建設が開始され、ローマ市と南部イタリアを結びました。この街道は、軍事目的で迅速な移動を可能にするために設計されましたが、商業活動やコミュニケーションの促進にも大きく寄与しました。 ローマ街道は、その後数世紀にわたり、帝国の拡大に伴

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歴史と科学 vol.17 ~車輪が運んだもの~

車輪は人類の文明発展において、最も重要な発明の一つです。車輪の発明と進化は、人類の移動手段、運搬方法、工業技術に革命をもたらし、社会を大きく発展させました。今回は、車輪の歴史を古代から現代にかけて解説します。 古代初期の車輪 車輪の起源は紀元前3500年頃のメソポタミア文明にさかのぼるとされています。シュメール人が発明したと考えられており、最も初期の車輪は、固い木材を丸く削り出して作られた単純な構造でした。そして、主に移動手段ではなく、陶器の製作や物資の運搬に使用されてい

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歴史と科学 vol.17 ~ゴムの利用と発展~

ゴム ゴムは、古くから人々によって知られ、利用されてきた素材ですが、技術革新と共に進化を遂げ、その用途は広範囲に及んでいます。今回は、ゴムの起源から現代に至るまでの詳細な歴史を解説します。 起源と早期の使用 天然ゴムの歴史は、紀元前から始まります。メソアメリカ、特に現在のメキシコ周辺では、オルメカ文明(紀元前1200年~400年)において、天然ゴムが最初に利用されたと考えられています。この地域で栽培されていたヘベア・ブラジリエンシス(Hevea brasiliensis

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芒硝(硫酸ナトリウム)

今は芒硝(ぼうしょう)と呼ぶことは少なくなりましたが、まだ一部ではそう呼ばれています。 芒硝は硫酸ナトリウムの総称ですが、厳密には「硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)」です。 硫酸ナトリウムは様々な用途に使われる重要な物質です。紀元前から現代に至るまで、さまざまな分野で広く利用されています。 歴史 芒硝の利用は古代から始まっています。中国の古代医書『神農本草経』(紀元前1世紀)には、芒硝が薬用植物として記載されています。その治療効果には、消化不良や風邪の

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歴史と科学 vol.16 めっき

めっきは金属の腐食を防ぎ、外観を美しくする効果もあります。 そして、その対象は金属だけではありません。 めっきとは? 金属や非金属の表面に金属の薄い膜を被覆することで、装飾や防蝕、機能性などを向上させる技術のことです。 そんな「めっき」の歴史はとても古く、紀元前1500年頃にはアッシリアで錫(すず)めっきが行われていたとの記録があります。 錆を防止するために行われたと考えられています。

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歴史と科学 Vol.15 ~紙と記録~

電子化の進んだ現在でも、紙は広く使われています。 ペーパーレス化が進み、無駄な書類や手書きによる処理が減ったことは良い事だと思います(整理・保管も大変な上、過去の情報を探すのも一苦労です…)。 一方で、親しい相手などに紙に手書きでメッセージを送るのは良いものだと思います。 紙だから出来る事もありますよね。 紙の発明は革命的でした。 紙の発明前後で何が変わったのか、発明後、紙はどのような道を辿ったのか、詳しく見ていきます。 文字の誕生

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歴史と科学 vol.14 ~エアバッグの開発~

主に自動車に搭載されているエアバッグ。 エアバッグは、人がエアバッグに衝突する運動エネルギーを空気の運動エネルギーに変換することで衝撃を吸収します。 *エアバッグはシートベルトを着用しないと効果を発揮しません。 必ずシートベルトを着用して下さい。 今回は、エアバッグ開発の歴史を簡単にご紹介します。 エアバッグの考案最初のエアバッグに相当するアイデアは、1919年にアメリカで出された特許だとされています。 ただ、最初のエアバッグの特許とされているのは、1952年にアメリカで出

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歴史と科学Vol.13 ~ビタミンの発見②~

前回に引き続き、ビタミンの発見についてお話しします。 今回は、発見にまつわるエピソードをいくつかピックアップし、詳しくご紹介します。 ビタミンと糠(ぬか)かつて大流行したビタミン欠乏症の一つ、脚気(かっけ)。 日本では毎年1万人以上が亡くなっていました。 そのため、明治・大正の頃は結核と同じくらい恐れられた疾患でした。 治療・予防のために様々な試みがされましたが、脚気の原因ははっきりとせず、死者が大きく減少したのは第二次大戦後のことでした。 日本は特に脚気に悩まされた国の一

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歴史と科学 Vol.12 ~ビタミンの発見①~

ビタミンは私たちの身体に欠かせない物質です。 ただし、エネルギー源や身体を作る素材にはなりません。 ビタミンは、身体の構成要素やエネルギー源となるタンパク質・糖・脂質の代謝に欠かせないんです。 代謝を大雑把に言えば、外から取り込んだ物質を使って化学合成を行うことです。 物質を分解してエネルギーを取り出したり、アミノ酸からタンパク質を作ったりするんですね。 この化学反応を手助けするのがビタミンです。 ビタミンが無ければ代謝を行うことができません。 ところが、ビタミンは体内で十分

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歴史と科学 vol.11 ~遺伝の謎とDNA~

DNAの二重らせん構造、誰もが一度は見たことがあると思います。 発見されてまだ100年も経っていません。 このDNAは遺伝情報を担っています。 今回は、遺伝に関する研究の歴史を紐解きます。 遺伝の発見と研究遺伝については、古くから知られていました。 親子が似ているわけですら、それだけで何かあると分かりますよね笑 そして、遺伝に関する記録は意外に古く、紀元前4,000年の古代バビロニアにまでさかのぼります。 石のタブレットに、馬の頭やタテガミの特徴が数世代にわたって記録さ

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歴史と科学 vol.10 ~ガラスの歩んできた道②~

前回は古代を中心に、ガラスの歴史について触れました。 今回は中世から現代までを見ていきます。 そして、ガラスの特殊な性質についても解説します。 板ガラスの登場と発展平らなガラスのことを板ガラスと呼びます。 とてもシンプルですが、平らなガラスを作るのは重要なことでした。 古代においては、ガラス玉やガラスの器はあっても、平らな板ガラスは皆無に等しかったんです。 現代では至る所に板ガラスが使われているため、簡単にできると思っている方が多いのではないでしょうか? かつては、平らで透

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歴史と科学 Vol.9 ~ガラスの歩んできた道①~

古くから使わている材料、ガラス。 いつから作られ、どんなものに使われてきたのか。 その用途や製法を中心に、ガラスの歴史を紐解きます。 今回は石器時代から古代にかけての、ガラスの歴史について解説します。 *思ったより長くなったので、二回に分けることにしました。 ガラスのはじまりガラスのはじまりは紀元前5千年~紀元前4千年のメソポタミアと考えられています。この頃のメソポタミアの遺跡からガラス玉が発見されています。 しかし、これはエジプトのガラス製品のコピーではないかとも言われて

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歴史と科学 Vol.8 ~繊維と産業革命②~

前回は古代から産業革命までを解説しました。 今回は、産業革命以降の繊維の歴史を見ていきます。 産業革命で変わる世界産業革命によって織物は大量生産されるようになりました。 工場制機械工業は世界中に広まり、人々の生活も大きく変化します。 自宅から工場に働きに行き、仕事が終わると帰宅するという光景が定着します。 最初は労働時間の制約がありませんでしたが、次第に時間や安全に対する規約を定める企業が出てきます。 そして、従業員の権利を尊重し、働きやすさに力を入れた企業が伸びていきまし

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