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Gelate 研究ノート

趣味のゲル研究や化学のニュース・興味深い研究について、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。基本は以下の3本です。 〇化学に関するニュース解説 〇連載:科学と歴史(不定期) 〇…
月に3本以上(最低3本)、化学と個人研究に関する月額マガジン専用記事を投稿します。 〇化学に関する…
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#化学

研究レポート 2025.01 〜蒟蒻ゲル化の謎に迫る〜

今月は蒟蒻のゲル化に関する重要な情報を知り、その謎解明に向け、一歩前進しました。 ゲルロボットの研究も少しずつ進んでいます。

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シリコーンゴムとは?

シリコーンゴムは、その安全性の高さと耐熱・耐薬品性の高さから、様々な産業に使われ、日常生活にも広く浸透している材料です。 今回はシリコーンゴムについて詳しく説明します。 1. シリコーンゴムの歴史・20世紀初頭:フレデリック・キッピングがグリニャール試薬の研究過程でシリコーンを生成。 ・1934年: コーニング社が透明シリコーン樹脂を発明し特許を取得。 ・1940年: GE社で直接法開発により軍需産業で利用が拡大。 ・1943年: コーニング社とダウ・ケミカル社がダウ

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温度応答性ゲルの用途を考える③ ~廃熱利用~

世の中の排熱(100℃以下)の多くは活用されていません。 そこで、今回は廃棄されている熱で温度応答性ゲルを活用できないか考えます。 エネルギーの再利用は持続可能社会という観点でとても重要です。 1. 廃熱を利用した温度応答性ゲルの原理 温度応答性ゲルは、特定の温度で物理的・化学的性質(体積変化や親水性・疎水性、色など)を変化させるため、廃熱(100℃以下)をトリガーとして利用することで、様々な機能を引き出すことができます。 廃熱の温度帯(50~100℃)に適したゲルの選

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研究レポート 2024.12 〜最初のプランと今後のプラン〜

温度応答性ゲルの研究を趣味で始めた頃、頭の中に2つのプランがありました。 1つは、よく知られている温度応答性の高分子を使うこと。 もう一つは、複数の材料を組み合わせる事です。 最初に試したのは、よく知られている温度応答性高分子です。 ただ、何をやっても上手くいきません。 結局諦め、複数材料の組み合わせを試しました。 そして、それも上手く行かずに数年が経過し…

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温度応答ゲルの用途を考える①

実用化例の乏しい温度応答性ゲルですが、 自分の研究している温度応答性ゲルが何に使えるのか、考えてみました。 ある特定の温度を境に、色や大きさなどが変わる温度応答性ゲル。 かつて盛んに研究されていたのが人工筋肉です。 水温が変化するとゲルが収縮する様子は見ているだけでも面白いです。 人工筋肉と言っても、ゲルは密度が低く柔らかいため、大きなパワーを出せません。応答速度も遅く、ゆっくり動きます。 多くの研究者が強く・速くを目指しました。

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ガラス器具(化学研究用)

化学研究において、ガラス器具は実験の精度を左右する重要なツールです。 (更新11/17, 13:13 有料部分に写真を一枚追加しました) 研究に使われるガラス器具の多くは、ホウケイ酸ガラス(通常のガラスよりホウ酸の含有率が高い)で作られており、様々な化学薬品や高温に対して高い耐性を持ちます。 そして欠かせないのが透明性です。反応の様子を確認できるため、実験の過程を細かく観察できます。 また、不活性であることも重要です。容器が化学反応に影響を及ぼすと実験は台無しです。化学反応

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温度で接着力が変わるハイドロゲル

2024年10月、東北大学の研究チームは、体温付近で接着力が変わる新しいタイプのハイドロゲル接着剤を発表しました。この接着剤は、体温(約35度)を超えると強力に接着し、温度が低いと接着力が大きく低下し、簡単にはがれる特性を持っています 。このアイデアは、海に生息するムラサキイガイ(ムール貝)が、潮の満ち引きのある岩にしっかりとくっつく性質から着想を得たものだそうです。 このゲルの素材には、体内にもある神経伝達物質のドーパミンが使われています。また、水中で使用できるため、体内

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ポリ乳酸とは?

ポリ乳酸(PLA = Polylactic Acid)は、植物由来の資源から作られる生分解性プラスチックです。主にトウモロコシやサトウキビなどのデンプンや糖を発酵させて得られる乳酸を重合して作られます。そのため、従来の石油由来のプラスチックとは異なり、環境負荷が少ないことが特徴です。 ただし、勝手に土に埋めたり川や海に捨てたりしてはいけません。 それなりに環境を整えないと、分解されません。 *タイトル画像は、ポリ乳酸を使って3Dプリントしている様子です。 歴史 1930年

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研究レポート 2024.09 〜方法を探る〜

ゲルロボット実現に向け、色々な事を考えています。 どんなふうにしたら良いのか、形や動き、作製方法を考えながら実験しています。

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研究レポート 2024.07 ~ゲルロボット Type3~

ゲルロボットに使える温度応答性ゲルの作製には成功しました。 そのゲルを使い、先月から色々とチャレンジしています。 今回は、ゲルロボットのタイプ3をご紹介します。 タイプ1,2はこのnote内で以前ご紹介したものです。はっきり言って、微妙でしたw 1,2とは比較にならないほどよく動きます。

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多糖類とは?

多糖類(たとうるい)は、たくさんの糖(単糖分子)が結合して出来ている高分子です。 コンニャクや寒天、セルロース(加工されたものの代表例が紙です)のように、日常的に目にする機会の多い、馴染み深い物質です。 食べ物や化粧品など、様々なものに使われています。 そして、多糖類は生物の構造と機能において重要な役割を果たしています。 今回は、多糖類の特徴、分類、機能について詳しく解説します。

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電解質とは?

熱中症対策には水と塩分の摂取が必須です。 塩化ナトリウム(塩)は、電解質の一種です。 では、電解質とはどのようなもので、どんな役割を果たしているのか? 例を交えて説明します。 電解質(でんかいしつ)とは、水や他の液体に溶けたときに電離してイオンを生じ、その結果、電気を通すことができる物質のことを指します。電解質は、人体の生理機能や化学工業に欠かせない物質です。

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加硫(かりゅう)

加硫(かりゅう)とは、ゴムなどのポリマー(高分子)に硫黄を加えることで、分子の鎖同士を架橋させる処理のことです。 この処理によって、ゴムなどの高分子材料の物性や特性を改善し、強度や耐熱性、耐摩耗性が向上します。 *加硫の結果、硫黄結合による網目構造が形成されます。 加硫は一般的にゴム製品の製造に使用されますが、他のポリマー(高分子)材料にも応用されることがあります。加硫のプロセスは、硫黄の他にも加硫促進剤や加硫剤と呼ばれる補助剤が使用され、熱や圧力をかけることで化学反応を促

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活性化エネルギー

活性化エネルギーとは 活性化エネルギーは、化学反応を進めるために必要な最小限のエネルギーです。 このエネルギーがないと、反応物(出発物質)が生成物(反応の結果としてできる物質)に変わることができません。 活性化エネルギーは「エネルギーの壁」や「障害物」のようなものと考えると分かりやすいです。この壁を越えるために、反応物は一定のエネルギーを持っている必要があります。 以下の図のように、活性化エネルギーを超えないと反応は進みません。活性化エネルギーを超えなければ、初期状態の

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