心の目
心の目を開くとき
日常を味わう感覚が戻ってくる
心の目を開くとき
失われた爽やかな一陣の風を知る
心の目を開くとき
人々のせわしい営みに虐げられたものたちの声を聞く
心の目を開くとき
静かでやさしい自然がもののことわりを説く
心の目を開くとき
長く長く許してきたものへの憎悪を生への充実をもって補う
心の目を開くとき
年老いても咲きたての薔薇の柔らかさを見る
心の目を開くとき
心の底にしいんとしずかな湖が在ったことを知る
心の目を開くとき
暗澹とした世の中にもまっとうと相対する
心の目を開くとき
誰かが放ったきらめく言葉を掬う
心の目を開くとき
暗いアスフアルトの匂いは去来する情景と結実する
心の目を開くとき
報われず蓄積したものたちが箴言として作用する
だから決めた
停車中の鼻ほじりは極力やめよう、と