ラーメン4.0@開業日記#62 スタッフの育て方 前編

今日、明日は店舗で働いていただくスタッフにフォーカスして書いていこうと思います。記事の中身が長くなりそうなので早速書いていこうと思います。今日も最後までよろしくお願いいたします。

人=お店の質

「企業は人なり」という言葉があるように、すべてのビジネスはそれに携わる人の質で成否が決まってきます。接客業である飲食店の場合はその傾向がさらに顕著で、ホールスタッフのレベルが高くなければお客様に満足してもらえる接客ができませんし、キッチンスタッフのレベルが高くなければおいしい料理をすばやく出せません。しかし誰でも最初は素人なので、レベルの高い人材になるためには教育が必須です。つまり新人教育がしっかりできるかどうかが顧客満足度の高低につながり、結果的に自店舗の売上に直結するのです。

マニュアルのメリットと活用

飲食店が育てなければならない人たちの特徴は
1987年から2003年に生まれた人たちを「ゆとり世代」別名「さとり世代」と言います。年齢で言えば現在15歳から31歳までの人たちです。

この世代の特徴は、メンタルタフネスが低いことです。ですから新しい仕事に就いた場合でも、仕事上や人間関係上のちょっとしたストレスに弱いため、「こんな理由で!」というようなものでも簡単に辞めてしまう人が多いのです。しかし飲食店のスタッフのボリュームゾーンはまさにこの「ゆとり世代」であるため、そのような人たちを上手に戦力化していかなければなりません。

ゆとり世代はマニュアル世代

そのような人たちを育成、教育するうえで重要なことが「マニュアル」があることです。
なぜならゆとり世代が成長してきた時代にはすでにインターネット全盛で、わからないことがあれば自分で考えるよりも、ネットで調べてしまえばすぐに答えが得られる、ということが当たり前のようになっていたからです。
つまり、答えが簡単に手に入る、ということが彼らにとって重要なので、マニュアルが必須なのです。

マニュアルのメリット

しかしゆとり世代の人たちにとってだけではなく、飲食店経営者にとってもマニュアルは必要です。なぜなら、ビジネスを運営していくうえで重要なのは仕事のクオリティの安定度だからです。

これはどういう意味かというと、具体的にはAさんが接客した時にはお客様が非常に満足してくれるが、Bさんが接客した場合には不満やクレームが出る、という事態が起こってしまうと、自店舗トータルの接客レベルはマイナスに引っ張られるので落ちてしまうということです。これは料理についても言えます。Cさんが作ればおいしいがDさんが作ってしまうとまずい、ということでは、飲食店の評価は全体では下がってしまうのです。

ですから、飲食店を経営する上では、Aさんが接客してもBさんが接客しても「感動」まではいかなくても、一定レベルの満足を与えられるようになっていることが必要ですし、Cさんが調理してもDさんが調理してもその料理はしっかりおいしいということが必要なのです。これがビジネスの仕事のクオリティの安定度ということです。

その点、マニュアルがあってその内容を間違いなく実践してもらえれば、一定レベルの接客と料理が提供できます。それがマニュアルがあることの最大のメリットです。またスタッフ自身にとってもマニュアルがあれば、何をどうしてよいかのという答えが最初から与えられているのでストレスを感じずに仕事をすることができ、退職しないで済みます。それもメリットの1つです。

さらに初めて飲食店の店長になった人でも、マニュアルがあれば何を教えてよいのかわかります。店長が教えられない場合でも、マニュアルがあれば先輩スタッフが店長や経営者が教えてほしい内容で教えてくれます。このように新人への教育内容が、誰が教えても同じようになるため、目指す自店舗の姿に近づけるという点もメリットでしょう。

マニュアルのデメリット

しかしもちろん何事でもメリットがあればデメリットもあります。
マニュアルのデメリットは特に接客の場合に現れます。それは、スタッフの個性が生かしにくいということと、お客様のレベルに合わせて接客内容が代えられないためマニュアル以上の接客ができないということです。たとえばリピート1回目のお客様に対しも、何度も通ってくれているヘビーなリピート客に対しても同じ接客しかできない場合です。

本来は、何度も通ってくれればお客様もスタッフもお互いに顔を覚え、個人としての親しみがわくので、世間話をしたり、そのお客様の好みを覚えていてそれを実現したり、ということを店長や経営者は期待してしまうでしょう。しかし、マニュアルに沿った接客の場合はそれができません。

その結果、マニュアル通りの接客はヘビーなリピート客にとっては、自分を尊重してくれていないと感じるかもしれませんし、接客自体にぬくもりを感じないということにもなるかもしれません。ですから特にヘビーなリピート客にとってはマニュアル通りの接客は返ってマイナスになりかねないということなのです。

この点がマニュアルの最大のデメリットでしょう。

マニュアルの活用方法

しかしマニュアルのメリットとデメリットを比較した場合、やはりメリットの方が大きいのが事実です。

特にそのメリットを最大限発揮させる活用方法は、2つあります。

1つは教育する場合は常にそのマニュアルに即して行うことです。店長が自分の経験で教えてしまうと、その内容が明文化されていないので、教えたその時には新人は覚えておいてくれますが、しかし後で新人が自分で振り返った時に再現できません。
しかしマニュアルに沿った教育内容であれば、店長がいない場合でも新人は自分でマニュアルを開いて、何をどうすればよいのかを振り返ることができます。

2つ目は、仕事中に接客内容や調理内容をチェックして指導する場合や、店長や経営者の意に添わない仕事なので叱る場合でも、マニュアルに即して行うことです。特に「ゆとり世代」は叱られた内容がマニュアルと違うとその本質的な内容が仮にマニュアルに一致していたとしても、それを表面的にしか理解しません。したがって教えてもらっていないことを指導された、あるいは教えてもらったことと違うことを指導された、と思い、結果的に店長や経営者への不信感を抱くようになって、退職に至ってしまうのです。

ですから教育する場合でも、日常的に指導する場合でも、常にマニュアルに即していることが活用するうえで重要なポイントです。このマニュアルに即しているということはしつこいくらいがちょうどよいので、たとえば注意する場合でも「Aさん、その接客はマニュアルの×ページ書いてあることと違うよ」という言い方にしましょう。

続きはまた明日!!

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