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喜歌劇《美しきエレーヌ》絶世の美女エレーヌとその運命を巡る物語

人物相関図

第1幕 ギリシャのスパルタ、ジュピテル神殿前の広場

人々は神殿の前に跪き、熱心に祈りを捧げている。今日はウェヌス(ヴィーナス)の恋人アドニスの死を悼む儀式の日である。一方、「この世で最も美しい女性」と名高いエレーヌは、夫であるスパルタの王メネラオスとの平凡な夫婦生活を送っている。「どうか愛をお与えください」と彼女はウェヌスに切望する。預言者カルカスが、遊女たちを引き連れてやってきたオレステスを追い返し、神殿に戻ろうとした時、そこに羊飼いに扮したパリスが現れる。すると、一羽の鳩がウェヌスの手紙を運んでくる。そこにはこう書かれていた――「パリスにエレーヌを与えよ」。これがウェヌスの計画だ。エレーヌもその羊飼いに一目惚れである。続いて、2人のアイアス、アキレ、メネラオス、アガメムノンらギリシャの王たちがやってきて、言葉遊び大会を開催する。勝負に勝ったのは羊飼いのパリス。ついに、彼が本当の姿を明らかにすると、カルカスはウェヌスの計画を進めるため、メネラオスに1ヵ月間のクレタ島行きを命じる。

第2幕 王妃エレーヌの部屋

エレーヌは侍女たちに囲まれて、夜会に参加するための身支度をしている。自分の運命に悩む彼女は、その想いをウェヌスに訴える。「そろそろ僕と一緒にならないか」とパリスはそこにやってくるが、エレーヌは彼を冷たくあしらってしまう。王たちのすごろく遊びの後、部屋に戻ったエレーヌは、カルカスに「夢でパリスに会わせてほしい」と頼む。彼女が眠りにつくと、奴隷に扮したパリスが現れる。「これは夢のなかだから」と二人は甘い時間を過ごすことに。しかし、そこにクレタ島に行っていたはずの夫が突然帰ってきてしまう。妻の浮気現場を目の当たりにして唖然とするメネラオス。しかし、「賢い夫というものは、帰るときには事前に連絡するものよ」とエレーヌは一蹴する。王たちに糾弾されたパリスは、「また戻って来るぞ」と言い残し、スパルタを後にする。

第3幕 ナウプリアの海岸

計画がうまくいかなかったウェヌスは、その腹いせとして、すべての夫婦を別れさせてしまった。今やこの世は酒池肉林の大騒ぎである。釈明を求める夫にも、エレーヌは「夢のなかでのことだから」の一点張り。そこに、ウェヌスの預言者に扮したパリスが現れ、「エレーヌがシテール島へ巡礼するならば、ウェヌスの怒りも鎮まるだろう」と告げる。エレーヌは躊躇しながらも、彼に連れられてシテール島に向かうことに。しかし、その預言者が、エレーヌを連れ去りにやってきたパリスであったことが明かされる。二人は人々に見送られながら、大喜びで出発するのであった。

木内 涼(東京藝術大学/音楽学)


【公演情報】

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東京芸術劇場コンサートオペラ vol.9
オッフェンバック/喜歌劇『美しきエレーヌ』
演奏会形式/全3幕/フランス語上演/日本語字幕付
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日時:2024年2月17日(土)14:00開演
会場:東京芸術劇場コンサートホール

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プレ・レクチャー 喜歌劇『美しきエレーヌ』を語る
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オッフェンバック作曲の隠れざる名作、喜歌劇『美しきエレーヌ』についての知識や理解を深める、プレ・レクチャーを開催します。
このオペレッタに由来する、洋梨のベル・エレーヌとプチ・アペリティフとともに楽しむレクチャーです。

日程:2024年01月25日 (木)19:00 開始(受付開始18:45 20:30終了予定)
会場:Café des Arts(カフェ・デ・ザール 東京芸術劇場 2階カフェ)

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◆◇当日券のご案内◆◇
18:45~東京芸術劇場2Fカフェ・デ・ザール入口にて当日券若干枚数販売(現金のみ)
※前売り販売は終了しています。
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