せっかくの『美しきエレーヌ』をよく観るために—160年前のオペレッタにピントを合わす「コツ」(その1)
笑っていいの?—すっかりネタにされたギリシャ神話を前に当時の人々の反応は…… こうしてお読みくださる皆さまがきっと東京芸術劇場に足をお運びになるのだとして、開演前にプログラムをご覧になれば、エレーヌ、パリス、メネラオス、アキレ……呆れるほど豪華な名前が目に入ることでしょう。ホメロスの叙事詩に歌われる、それぞれが重厚なドラマを背負う登場人物ばかり、しかし、ひとたび幕が上がれば、軽やかな音楽の運びと、羽目を外した冗談の連発にきっと楽しいひとときをお過ごしになるでしょう。いや、いく