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名建築で午餐を
上野にある国立近代美術館建築資料館にて、堀口捨己展が催されています。
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個人的に20世紀の日本で最も評価している建築家のひとりで、分離派を名乗りモダニズム建築の最先端として始動するものの、日本庭園や茶室の研究に没頭して、究極の和魂洋才建築を成し遂げたという立場です。最近評価されるようになったので、氏の多くの建築が残存していないのが悔やまれます。
思想面については今年岩波からいい本が出ました。展覧会は錚々たる茶室の見取り図が、そのまま堀口捨己の後期建築に活かされているという、氏の創意の原点がわかってよかったです。
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日本×西洋の融合は大方、和洋折衷で終わりますが、堀口捨己の傑作は誠実にアウフヘーベンしている稀有な例です。その最高傑作は1950年に建てられた、名古屋市の八勝館という料亭にあります。
戦後の建物としては珍しく重要文化財に指定され、戦後を代表する建築です。
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