アフリカンダンス。
もう10年ほど週に一度トレーニングに通っている。代々受け継がれたDNAにより、何もせずに年を重ねるとポリネシアン体型になるのが分かっていたためささやかな努力をしているというわけだ。
先日、トレーナーでもあるジムのオーナーさんより、アフリカンダンスに興味はありますか?
と突然言われた。
最近月2回西アフリカ出身のダンサーを呼んで、ダンス教室を開催しているらしい。
私が育った環境で外国人は珍しくなかったから肌の色や髪の色が違うからと言って過剰なリアクションをすることはないのだが、西アフリカと言われると「おー、アフリカ!」と、新幹線でフェスに出演するドレッドヘアのミュージシャンを初めて見た田舎のおばあちゃんのようなリアクションが出てしまっていた。
その昔、ジムのエアロビのクラスでいつも一人反対方向を廻っていた私がアフリカダンスのようなハイレベルの動きができるのか。
阿波踊りになってしまうんじゃないかと思ったけれど、インドア派の関西人が西アフリカの本物のダンサーにアフリカンダンスを教わる機会もないだろうとさっそく参加することにした。
そして、迎えた当日。
ひときわ背の高い爽やかな男性がフロアの真ん中にいた。
最初はドラムの音を聞きながらゆっくり足を動かす。慣れてくるとテンポを倍にしていく。
必死に覚えていると、突然彼が動きを止めて言った。
「Smile!Smile! Feel the beat!」
おぉぉ、これがまさにAfrican Spiritなのだな。
私のような初心者がいるので、優しい動作の繰り返しですすんでいく。
とにかくリズムを感じながら自然に体を動かして!というノリを彼が全身で作っていく。
動作が5つくらいになると、何と!これはもはやアフリカンダンスではないか。
おぉぉ、踊れてる〜。
彼がことあるごとに「笑顔で、リズムを感じて、楽しんで」を繰り返す。
そうそう。
ついつい真剣に振りを覚えようとしちゃうんだな。感じるより先に考えてしまう。
15分も経つと全身から汗がしたたり落ちていた。
休憩時に「Any question?なんでもいいよ」と聞いてくれるのだが、いや、息が上がって話せへんのよ。
「日本人はシャイねー」
いやいや、見て。今の私たち。この瞬間の最重要事項は呼吸ですよ。ぜいぜいぜい。
Tシャツから下着から全身汗だくになったのは、岩盤浴以来。
気が付くと1時間が経過していた。
床は汗で滑りそうになっている。
そうして、ポカリスウェットのCMに出てくる高校生の気分さながらの爽快さでクラスが終了した。
なに、この楽しいダンス。
踊れるとか踊れないとか、動けないとか、振り付けとかもうそんなものをすべて無視した生きるエネルギーそのもののアフリカンダンス。
コロナで環境の変化を余儀なくされたり、人間関係にしんどくなったり、目の前の現状にうつうつとしている人はぜひぜひこのアフリカンダンスの体験をお勧めしたい。
人間が本来持っている内にあるエネルギーが開花していくのが体験できる。