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【祖谷のかずら橋】

徳島県三好市の山間部奥地に〈祖谷いやのかずら橋〉がある。近くに位置する渓谷〈大歩危・小歩危〉と共に有名な秘境観光地である。

〈かずら橋〉は〈西祖谷のかずら橋〉と、東祖谷の〈奥祖谷の二重かずら橋〉があるのだが、今回の高知旅行で訪れたのが〈西祖谷のかずら橋〉である。

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さて、高知自動車道の〈大豊おおとよIC〉を下りたマイクロバスは、いざ〈かずら橋〉を目指して国道32号線をひた走る。

実は、マイクロバスを運転しているのは僕なのだが、クニャクニャした坂道を10kmも登っていかなければならなかったことは、完全に想定外であった。

左右に揺れるバスが〈かずら橋〉の駐車場に着いた時には、家内は完全に車酔いしていた。

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〈かずら橋〉の広い駐車場の端には、食事をしたり土産物を買ったりすることが出来る大きな建物があって、その中を通って〈橋〉に向かうようになっていた。

我々10名のツアー客の内の8名が〈かずら橋〉を渡ることになり、他の大勢の観光客と一緒に〈橋〉を目指して歩いて行くのだが、周りから聞こえてくる観光客の賑やかな声が〈広東語〉か〈北京語〉なのかは知らないが〈中国語〉ばかりなのであった。

暫く歩くと〈かずら橋〉の渡り口に到着。1人¥550―のチケットを買い、大勢の中国人観光客と一緒に、愈々いよいよ橋を渡ることになったのだ。

手摺てすりつたをシッカリと握って、恐る恐る第1歩を踏み出す・・足元を見ると、隙間から14m下の谷の流れが目に入ってくる。腰がゾクゾクする。

〈うわ~~っ❗️こりゃ下を見たら駄目だ〉

そんなことを思っていると、誰かが悪戯して揺らしているのだろう。〈橋〉がユサユサと揺れてきて、何人かの中国人が声を上げ始めたのである。

很危險スンウェィシェ~❗️很危險❗️」
不要搖晃它ウゥヤァヤァファゥカァ~❗️不要搖晃它❗️」

〈誰だよ❗️揺らしているのは❗️❓️どうせ中国人だろう〉

そう思って後ろを振り返ったら、こともあろうに、揺らしているのが一緒に来ていた従妹いとこだったのである。

靖国神社の石碑にオシッコを掛けたり、旅館の部屋をグチャグチャにしたりと、何かと評判が宜しくない中国人とは言え、はなから中国人を疑ってしまった僕は軽薄であったと認めざるを得ない。申し訳ないことである。寧ろ彼等は被害者だったのだ。謝らなければならない・・・一緒に〈橋〉を渡っていた中国人さん・・ゴメリンコ❗️

〈こらぁ~っ❗️いい歳こいた女が揺らすななぁ~っ❗️〉

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〈かずら橋〉の起源はその昔、空海が祖谷に来たとき困っている村民のために架けたとか、あるいは平家の落人がこの地に潜み、追手が迫ってもすぐ切り落とせるように葛を使って架設したとの伝説もあるが定かではない。(Wikipedia)


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