【飴玉と観光客】 7 プチフルート 2024年11月2日 04:51 松山城の天守閣の下で記念撮影をした。快晴の松山城は、平日だというのにかなりの観光客で賑わっていて、中には結構な数の外国人観光客の姿も見受けられる。記念撮影が終って、さぁ天守閣に登ろうかと思った時である。ひとりの外国人観光客に目が留まったのだった。その観光客は白人女性で、白いシャツにジーンズを穿いていて、金髪をポニーテールに結んでいる。活発そうな感じの若い女性で、一眼レフカメラで仕切りに松山城を撮影している。日頃〈YouTube〉で外国人観光客に声を掛けては、日本料理を振る舞うというチャンネルをよく観ている僕は、チョッと真似をしてみようと思ったのだった。旅の浮かれた気分も手伝って、彼女に近付いて行き、思い切って声を掛けたのだ。「こんにちは❗️」すると、嫌な顔もせずに、なにやら返事を返してくれたのだ。多分、英語だと思う。「〇●∞@#£¢*☆」「どこから来られたんですか❓️」「◎◆☆◇★■※%❗️」全く聴き取れないし、無論、聴き取れたとしても理解出来る訳がないので、僕はポーチの中からオヤツに持って来ていた〈カンロ飴〉を一粒取り出し、ド下手な英語を添えて彼女に差し出したのである。「This・・famous Japanese candy.・・カンロ飴❗️please」不振がられると思いきや、にこやかに〈カンロ飴〉を受け取った彼女は、セロファンを剥いて早速口に頬張り、そしてお礼を言ってくれたのだった。「・・Oh❗️オイシイデス・・アリガトゴザイマス❗️」たった〈カンロ飴〉一粒なのにこんなに喜んでくれるとは❗️嬉しくなった僕は、冒頭に説明した、外国人観光客に料理を振る舞う〈YouTuber〉が、撮影の最後に言う言葉を真似して・・・「Enjoy~❗️」そう言うと、ニコニコと手を振る彼女を後に、僕は天守閣に向かったのだった。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #エッセイ #毎日note #イラスト #短編 #面白い話 #観光客 #松山城 #カンロ飴 7