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【飴玉と観光客】

松山城の天守閣の下で記念撮影をした。

快晴の松山城は、平日だというのにかなりの観光客で賑わっていて、中には結構な数の外国人観光客の姿も見受けられる。

記念撮影が終って、さぁ天守閣に登ろうかと思った時である。ひとりの外国人観光客に目が留まったのだった。

その観光客は白人女性で、白いシャツにジーンズを穿いていて、金髪をポニーテールに結んでいる。活発そうな感じの若い女性で、一眼レフカメラで仕切りに松山城を撮影している。

日頃〈YouTube〉で外国人観光客に声を掛けては、日本料理を振る舞うというチャンネルをよく観ている僕は、チョッと真似をしてみようと思ったのだった。旅の浮かれた気分も手伝って、彼女に近付いて行き、思い切って声を掛けたのだ。

「こんにちは❗️」

すると、嫌な顔もせずに、なにやら返事を返してくれたのだ。多分、英語だと思う。

「〇●∞@#£¢*☆」

「どこから来られたんですか❓️」

「◎◆☆◇★■※%❗️」

全く聴き取れないし、無論、聴き取れたとしても理解出来る訳がないので、僕はポーチの中からオヤツに持って来ていた〈カンロ飴〉を一粒取り出し、ド下手な英語を添えて彼女に差し出したのである。

「This・・famous Japanese candy.・・カンロ飴❗️please」

不振がられると思いきや、にこやかに〈カンロ飴〉を受け取った彼女は、セロファンを剥いて早速口に頬張り、そしてお礼を言ってくれたのだった。

「・・Oh❗️オイシイデス・・アリガトゴザイマス❗️」

たった〈カンロ飴〉一粒なのにこんなに喜んでくれるとは❗️嬉しくなった僕は、冒頭に説明した、外国人観光客に料理を振る舞う〈YouTuber〉が、撮影の最後に言う言葉を真似して・・・

「Enjoy~❗️」

そう言うと、ニコニコと手を振る彼女を後に、僕は天守閣に向かったのだった。


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