これからのアーティストマネジメントにおける3つの「鍵」
「俺、うつ病になっちゃいました…. 」
….それは今から20年前の出来事だった。
私が今、心理学をベースに自己のキャリを再び再構築しようとしているきっかけとなった出来事だった。
アーティストマネジメントに必要な能力は、作品をお金に換金するための、人的リソース(コネクション)やアイデアと行動力だ。
さらには、アーティスト周りで起こるさまざまな問題を解決をするための調整力があれば、なかなか敏腕のマネジメントだ。
ところが、長いことこの仕事に携わっていると、アーティストが「こころ」の問題で活動に支障をきたすという状況に度々経験することになる。
そこで必然的に必要となるのは「こころ」をサポートする能力なのだが、これを手に入れるのは忙しい日々の中でなかなか骨の折れる作業だ。
このブログでは私が10年以上かけて学んだことと、実践したこと、経験したことをなるべくわかりやすくお伝えしていきたいと思っている。
今日はどんな「こころ」の技術を身につければいいかをのポイントをお伝えしたい。
アーティストの多くが「心的ケア」を求めている
多くのアーティストが、音楽活動をすることで「こころ」に負担を負っている。
なんと73%の人がクリエイティブに対するプレッシャー、
人気や売れ行きに対する不安、他人の評価や評判による自信の喪失等、様々なことで悩んだり、心的なストレスを抱えているというレポートがある。
ミュージシャンになりたくて
プロになったにもかかわらず、「大好きな音楽」で生活をしているにもかかわらず、その活動自体に疲弊している人は多い。
ツアーや創作活動と言った、
終わらないループの中で感じる徒労感、エゴサしたSNSで見つけて誹謗中傷、様々な要因から「憂鬱」な感情に陥っている。
そのうちの3割以上の人が、
身体に影響を受けるほど深刻な心的ダメージを負っている。
この状況を改善するのは
我々マネジメントの仕事の一つだ。
「心的ケア」という技術を身につけておくことで、マネジメントのスキルは大きくアップする。
アーティストがストレスフルな環境の中で創作活動に立ち向かう存在であるとしたら、それをサポートすることがマネジメンとの存在理由の一つになる。
「こころの扉」を開く3つの「鍵」
アーティストをマネジメントするにあたり、彼らの「こころ」をサポートすることができれば、彼らのイマジネーションやクリエイティビティを作品作りやパフォーマンスに専念させることができる。
彼らの想像力が不安を生み出さないように、彼らの思考力がネガティブな方向に迷い込まないように、いつでも安心して創作活動に専念できるようにサポートすることがマネジメントに求められるスキルだ。
心理学とひとくちにいっても、あまりにも漠然としすぎていて、何から学んでいいのかわからないというのが正直なところだろう。
一般的に心理学と呼ばれるものには800以上の体系があると言われている。
そこで私の体験から特にアーティストマネジメントに必要なものを具体的に体系立てて
説明したいと思う。
マネジメント に必要な心理サポートのスキルは大きく分けて3つ。
①他人と深い信頼関係を結ぶための「コミュニケーション能力」
②アーティストの目標を達成させるための「コーチング能力」
③アーティストの心的問題を解決するための「カウンセリング能力」
この三つの能力を身に付けることがアーティストマネジメント において重要な鍵となる。
第1の鍵「コミュニケーション能力」
アーティストマネジメント は
あらゆる状況で「コミュニケーション能力」が求められる
「コミュニケーション能力」とは相手に影響を与えること
よく「私はコミュ力が高い」という「おしゃべり好きの人」がいるが、話が上手いということと、コミュニケーション能力が高いということは違う。
心理学的にいう「コミュニケーション能力」とは、相手の「思考」「行動」「感情」に影響を与える能力だ。
あなたがしてほしい行動を相手が行い、あなたの思い通りに相手が考える、あなたの伝えたい感情を相手も抱く。
以心伝心という言葉があるが
、まさにそのような関係性を
アーティストと結ぶことが望まれる。
「コミュニケーション能力」を磨くことで、相手が心を開き、あなたが伝えたいことを受け入れ、思考や行動に変容をきたし、あなたに安心して「心のうち」を話せるような関係性を結べることになる。
第2の鍵「コーチング能力」
マネジメントは、アーティストを「成功」に導くために存在している。
成功の具体的な定義は「フェスのヘッドライナー」「ドームツアー」「世界制覇」それぞれのアーティストごとに違うが、必ずなにかしらの目標を持っている。
それを実際に達成させるためのプランを立て、実行するのがマネジメントの仕事だ。
そのプランをどのように立案し、進展させるかということに「こころ」の仕組みを利用するのがコーチングの技術だ。
まさにコーチングというのは、マネジメントのプロセスを心理学的見地を使って実行することだ。
スケジュールを埋めることだけがマネジメントの仕事ではない。
これからのマネジメントに必要な心理的な二つ目の鍵はアーティストの「こころ」の力を使って「目的」を達成ささせるかというプロセスだ。
第3の鍵「カウンセリング能力」
カウンセリング能力とは、相手の抱えている「こころ」の問題を解決に導き出す技術である。
アーティストは、プレッシャーやストレスの多い環境で仕事をしている。
アーティストマネージャーは、アーティストが心理的なサポートを必要としている場合には、適切な支援を提供することが求められる。
アーティストのメンタルヘルスについて理解し、適切な対応をすることが求められる
「こころ」の問題を作り出しているのは、その人の「こころ」だ。
作品創りのプレシャー、作品の評価に対する不安、人気や売りげに対する不安、対人関係、私的なこと、仕事のこと様々な場面で問題は生じる。
「こころ」の問題は、その問題を作り出した人の「こころ」の中でしか解決できない。
彼らの抱えている問題を受け入れ、解決の糸口を自ら発見し立ち直るためのプロセスを導くのが、我々マネジメントに求められるカウンセリング能力である。
この三つの鍵を巧みに利用して、アーティストの心の扉を開き、サポートすることがマネジメントに求められている。
新しい時代に向けて、メンタル・マネジメントの知識を
このブログでは、アーティストマネジメント に大切な
「コミュニケーション能力」
「カウンセリング能力」
「コーチング能力」について
なるべくわかりやすく順次説明をしていきます。
どのようにしたらみなさんにそれが伝わるか試行錯誤しながらやって行きますので、ご質問やご意見のようなものがありましたらいつでもご連絡ください。
この記事に対するお問い合わせ geess@howling-bull.co.jp
各種セッション等に関する情報:https://tellme.hp.peraichi.com/geess
ここでは私が学んだことを中心になるべくわかりやすく解説をしていくつもりですので、興味のある方はおつきあいください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
少しでもアーティストを取り巻く環境が、より良くなりますように!