(#07)漢方のお勉強

2021年03月29日の患者さんへのお手紙です。

(#07)漢方のお勉強

カゼには葛根湯。ノドには小青竜湯。太り過ぎには防風通聖散などなど。今では書物やインターネットで簡単に漢方の名前や使い方を覚える事が出来ます。

今回はあまり知られてない少し変わった覚え方をご紹介しましょう。

甘草湯(かんぞうとう)という処方があります。構成生薬は甘草8グラム1つだけです。全身の調整を担当しますが胃痙攣(けいれん)のような強い胃の不快にもよく効きます。

次は甘草に桔梗(ききょう)1つを加えた桔梗湯(ききょうとう)。主に胸から上の炎症に効きます。喉の不快に桔梗湯。甘草と桔梗だけの処方。上半身というより、胸から上の範囲を担当します。

3番目は甘草に乾姜(かんきょう)1つを加えた甘草乾姜湯(かんぞうかんきょうとう)。乾姜は身体を暖め、ひ弱な人に元気を注入します。冷えと弱さへのテコ入れですね。胃と腸に有効な処方で、身体の中間部を担当します。

最後は甘草に芍薬(しゃくやく)1つを加えた芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)。主に下腹から足先までの範囲を担当します。“腓返り(こむらがえり)”って言いますよね、足の引きつり。そう、あの痛いアレにききます。

甘草という生薬が、桔梗と出会ったら、乾姜と出会ったら、芍薬と出逢ったら。このように1つずつ生薬を加えながら、処方の働きを覚えていきます。

甘草だけ!=全身の“気”を調整します(甘草湯)
甘草+桔梗=胸から上の“気”を調整します。(桔梗湯)
甘草+乾姜=おなか周りの“気”を調整します(甘草乾姜湯)
甘草+芍薬=下腹から下の“気”を調整します(芍薬甘草湯)

身体を上・中・下と三等分しました。お気づきでしょうか。薬を加えると、より広範囲に効くのではなく、狭い範囲に効いてくるという考え方・使い方。

処方の名前だけを沢山覚え悦に入ってた私の30代。

「あかん、処方名を知ってるだけじゃホンマもんのプロには成れん」

と処方を構成する素材と組合せの妙に興味を持ちました。

でも・・・・エビデンスがないんよねぇ〜。(了)

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