なんのために学ぶのか【後編】
こんにちは、げしさんです。
前回に引き続き、『なんのために学ぶのか(池上彰著)』について、もう少し内容に触れていきたいと思います。
前回の内容はこちら。
印象に残った3つの言葉
著者の池上彰さんは、その昔「週刊こどもニュース」のお父さん役をやっていたり、最近では時事ニュースの解説番組に出演されるなど、説明のわかりやすさに定評があるジャーナリストとして有名です。なので、本書での筆者の主張もかなり読みやすく書かれていました。
その中でも、「なぜ学ぶのか」についての記載で特にピンときたのは下記の3つです。
①すぐに役に立つことばかり考えるのではなく、いまおもしろいこと、知りたいことを一生懸命学ぶ。それがいつか必ず、何らかのかたちで生きてきます。(P.81)
②第二の人生を自分の意思で歩めるようにするには、所属している会社や組織でちゃんと自分の武器を磨いておく必要があります。(P.126)
③学ぶということは決して人から盗まれることのない財産(P.214)
①未来への事前学習
これは本書で出てきた言葉ではなく、①と全く同じようなことを作家の喜多川泰さんが以前参加した講演会で「未来への事前学習」という言葉で表現されていました。
以前の記事にも書きましたが、私は今コーチングを学んでいます。実際のところ、本業とほぼ関わりが無い領域の分野なので、まさに①のことです。
コーチングを学んでみようと思った理由も、まさにここにあります。
これまでの会社員人生の中で部下や後輩といえる存在がいなかったのですが、中堅と呼ばれる年代に入り部下を抱えるのも時間の問題。元々対人コミュニケーションに不安があり、部下を抱えた時にコーチングは必ず必要になるスキルだと思っていたところ、恩師から声をかけていただきました。
まだまだ学び始めた段階なので、上手くいかないことの方が多いですが、少しずつコツを掴んできた感じもあります。いきなりぶっつけ本番で部下を抱えるのと、事前に対処方法などを学んでおくのとでは全然違うので、今学んでおいて良かったなとしみじみ感じています。
話がそれてしまいましたが、だからこそ、経験学習も含めて一つ一つの学びに没頭することが必要なのだと思います。今はそこまで深く考えて学んでいないことも、未来の自分が「あの時学んでおいて良かった」と思える日が来ることを楽しみにして、どんどん学んでいきたいと思います。
②セカンドキャリアを考える
②は①とも少し関連しますが、30代に突入し、いよいよキャリアのセカンドステージについて考えることも多くなってきました。セカンドキャリアといっても、転職・独立の話だけではなく、今いる会社の中でどういうキャリアプランを描いていくかということも含めてです。
これまでの約10年間の会社員生活を振り返って、身に付けてきたスキルや他者に引けを取らない強みはいくつかあると思っています。それを更にもう一つ、二つ上のステージに引き上げていくことが必要だと感じており、その中に部下育成のスキルとしてのコーチングがあります。他にも必要だと思っていることは多数あるのですが、これからの人生100年時代、何か一つに特化して生き抜いていくのは相当厳しいことだと思っています。そのためにも、キャリアやスキルの掛け合わせが必要だと感じていて、このstayhome期間に一歩ずつ準備しています。
その結果として、他社から声をかけていただくこともあるかもしれませんし、社内で別のポジションに就くというセカンドキャリアが待っていると思うのです。その時に「自分はできます」と言えるかどうか。そういう意味でも、自分の武器を磨いておく必要があるとこの文章を読んで感じました。
③学校での学びは親からの遺産相続
③はフィリピンのスラム街で暮らす子どもたちが言っていた言葉として紹介されていました。スラム街では金目の物を持っていたらすぐ盗られてしまうが、学んだことだけは決して人から奪われることのない財産だという意味だそうです。
日本は中学まで義務教育ですが、高校進学率は98.8%、大学や専門学校への進学率は82.6%(いずれも2019年文部科学省調べ)と多くの子ども達が中学卒業後も継続的な学びの機会を得ています。高校や大学は義務教育ではないので、親などからの金銭的な支援が必要になります。
そこで、③の言葉を受けて筆者は、将来親からの遺産相続を受け取れるかどうかは各家庭の事情によって異なるが、「学校で学ぶこと=人に盗まれることのない財産を蓄積していること」になり、親が学費を出してくれていればそれが遺産相続になると述べています。
この言葉を見たとき、学生時代に聞いておきたかったと思う反面、高校・大学へと通わせてくれた両親への感謝の気持ちをとても強く抱きました。
それと同時に、今度は自分の力で読書や経験を通して、学びという財産を蓄え、何か一つでも関わる人に還元していきたいと強く思いました。その一環として、このnoteの存在があります。
まとめ
本書はある大学での講演会での話を加筆・編集して生まれた本です。なので、大学生に向けたメッセージ的な要素が強かったのですが、「社会人になってから学ぶ意義」について書かれている部分も多く、改めて「なんのために学ぶのか」という問いに対する自分なりの答えを考えながら読み進めていくことができました。
そして、これだけ変化のスピードが速い世の中においては、常に学び続けていかないと時代に取り残されてしまうという危機感のようなものも同時に感じました。そのために今読書量を増やしたり、セミナーへ参加しているのだと、自分自身の行動の裏付けを考えるきっかけにもなりました。
前回の終わりにも書きましたが、「全ての機会を自分の成長につなげる意識」こそが何よりも一番身近でありながら、最も重要な学びだということを再認識できました。
そうは言っても受け身の中では当事者意識が低くなってしまい、学べるものも少なくなってしまうと思うので、まずはしっかりと自分の意思で考えて動けるようにしていきたいと思いました。
一冊通して、学ぶ意義や「学びは本来楽しいもの」という本質を思い出させてくれる良書でした。
以上、今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
<完>