キャリアの転機
こんにちは。GCRMパートナーズの岸本です。
今日はキャリアの転機についてお話ししたいと思います。
会社方針の変更で、担当する業務が変わった。
上司が交代した。
ジョブローテーションで新しい仕事に就く予定だ。
ダウンサイジングの余波が来そうだ。
抜擢されたが、この先大変だ。
子供が生まれた。
思わぬ病気になった。 等々
会社生活や人生ではさまざまな変化が訪れます。
このような状況を日本語で転機と言いますが、英語ではトランジションです。
日本語では、突然起こった物事という印象ですが、英語では、ある状況から別の状況へ移っていくという動的なものです。
キャリアはどのような場合でも継続していくものなので、私にはトランジションの方がしっくりきます。
シュロスバーグとブリッジズ
人生やキャリアのトランジションを論じた代表的な研究者に、ナンシー・シュロスバーグとウィリアム・ブリッジズがいます。
シュロスバーグは、「キャリアはトランジションの連続で、避けることはできない」と考え、トランジションとは、予測していたことが起こることもあれば、予測していなかったことが起こる場合もあり、または、期待していたことが起こらなかったことで、引き起こされる変化だとしています。
ブリッジズも「人生はトランジションの連続である」と言っています。
そして、トランジションの心理的プロセスを「終わり(何かが終わる)」→「ニュートラル・ゾーン」→「始まり(何かが始まる)」と表しています。
つまり心の内では、「終わり」を起点に「始まり」に向かうのです。
おもしろいのは「ニュートラル・ゾーン」です。
これは空白期間や休養期間とも言え、ぼんやり目的なく日々を過ごしたり、非日常的な時間を過ごしたりする期間としています。
彼は、このような期間を経験することが自己変容につながると考えています。
例えば、大きな人生の節目を迎えた人が四国八十八か所をお遍路さんで巡ることも、その一つでしょう。
「ニュートラル・ゾーン」の経験?
私はひとり旅の効用を信じていませんでしたが、会社退職後に思いもかけず、それまでの日々とは違った時間を過ごしたことがあります。
退職後2ヵ月ぐらい経ってから、一日中ベッドにひっくり返って、ボサノバを聴きながら小説ばかりを読んでいました。
3週間ほど続きました。
ある意味、ぬくぬくとした幸せな時間でした。
そして、何の理由もなく「別の世界があるんだ」という気分になり、ゆっくり動き出しました。
今になって思えば、この3週間が「ニュートラル・ゾーン」だったのかもしれません。
ついでに言うと、「別の世界があるんだ」と気持ちが動いた後、あんなにスムーズに耳に入っていたボサノバが、ちょっと聴くのが疲れるようになっていました。
トランジションはいつか過ぎ去っていくものかもしれません。
しかしながら、シュロスバーグは、トランジションは避けることができないけれど、マイナスの影響を最小限に抑え、乗り越える方法を提案しています。
これについては、次回お話ししたいと思います。