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シード期の採用においてCEOが果たすべき役割とは?

こんにちは、GCP Xの水野(@yukim0512)です!

GCPの投資先である、「現場向け動画教育プラットフォーム tebiki 」を手掛けるピナクルズ株式会社へ、数か月間採用支援を実施して参りました。ありがたいことに、その内容を貴山CEOがnoteにてご紹介下さいました。
(貴山さん、素敵な記事をありがとうございます!)

何より、貴山CEOの採用の対する向き合いが素晴らしかったからこその成果ではありますが、この経験から改めて学んだ「シード期の採用においてCEOが果たすべき役割とは?」というテーマで、3つのポイントを書いていきたいと思います。

1.中期の組織図のイメージを、解像度高く描く

起業家であれば、事業戦略、売上計画を頭を捻って考え出す事は勿論、PLの項目としての人件費・大枠の組織人員の増加も想定出来ている事でしょう。

一方、採用活動の最上流に位置する中長期のマネジメント・組織体制の設計はどこまで詳細に落とし込めているでしょうか?この落とし込みもCEOが率先して描き、また、まさに我々の様な株主も経営に関わる重要トピックとしてCEOと一緒に考えるべきではないでしょうか。

CEOは、資金調達のマイルストーンに照らしながら、理想とする中期の組織図を描いてみる事が大切です。最低でも、6ヶ月単位での組織図を書き出しをしてみる事をおすすめします。


組織図、言い換えると箱と線によるピラミッドが出来たら、次はその箱に何人入るか、そしてどういう順番で採用していきたいのか、の設計をします。

このプロセスの中で、事業展開や開発マイルストーン、そのために必要な人員計画、資金調達などを統合して考えていくことと思います。言い換えると事業戦略と組織戦略を密接に結びつけるプロセスです。組織を拡大していくにおいて、必要不可欠なプロセスだと考えています。

ちなみに貴山CEOは、約6ヶ月ごとの組織図を作り、事業や採用の進捗に応じて、常にアップデートをかけていました。外部の方とコミュニケーションを取る際も、現在・未来の組織図に照らしながら、今欲しい人材の要件、1年後に欲しい人材の要件を伝え、いい人がいれば早めにでも採用する旨を伝えていました。

例えばエージェント等とコミュニケーションを取る際も、「なぜ今採用要件が高いのか(メンバークラスをあえて採用しないのか)」や、「なぜこのポジションを採用しなければならないか」等の募集の背景について、現在と未来の組織図を参照することで、明確にイメージを持ってもらう事が出来、理解していただけるスピードが早かった様に思います。

2.「CEO自ら」採用を営業として捉え、ゴール(入社)に向けてアクションを練る

私がよく投資先に伝えるのは、「採用と営業は同じである」ということです。

営業であれば、CEO自ら顧客にアポイントを取り、商談し、受注(売上)を勝ち取る。 受注に至らなければ、その要因分析をし、次に活かす。シード期のCEOであれば、売上獲得の為に自身が一所懸命、手と足を動かし、営業プロセスのPDCAを回している事でしょう。

しかしながら、採用に関して手と足を動かし、PDCAを回す事は出来ていますか? 

「受注」を「内定」と読み替えてもいいくらい、プロセスは似ているのではないでしょうか。ポジションの締め切りを明確に決め、マンスリー、ウィークリーごとにプロセスを逆算し、そのために必要なタスクについて、PDCAを回しながら現実的な落としどころに、着地させるコミット力が求められます。

その過程で、理想の候補者を探しつつも現実的な候補者のペルソナでベストなバランスはどの様な要件なのかを見出していく。シード期はステージ上、給与水準は低くなってしまう一方、欲しい人材の要求水準は下げたくない。そこを、PDCAプロセスの中で、現実的なラインにチューニングしていく必要があります。

また、営業も採用もリードタイムに一定の時間が必要であり、受注・入社時期からの逆算で物事を進めないと、一向に採用が進まない状況に陥ってしまいます。

採用要件設定、母集団形成、面接、互いのネック解消、オファー面談、退職交渉・退職、入社です。これだけのフローをこなすだけでも最低3ヶ月はかかる事が多いでしょう。


貴山CEOは、入社して欲しい時期からの逆算で、いつまでに何が為されているべきかを設計しており、かつそこまでに採用しきるコミットメントを強く持っておられました。

そのため、ネックが発生しても、課題点を想定した上で質問してくださり、アドバイスから意思決定までのスピードが尋常じゃなく早かったです。勿論、アドバイスを受ける前にご自身の中で仮説の結論が出ているからこそだと思いますが。

よって、現時点で既に来年夏、冬の採用に向けての動き出しを余裕をもって始められている状況です。

3.意思決定の背景にある基準を明文化する

採用はCEOアジェンダであるという事は強く伝えたい一方、いつまでも全てをCEOが手掛けるわけにはいきません。 では、次のシリーズに向けて、また採用に関する右腕が入社してくれるまでに何を準備しておくべきか。

 シード期のタイミングでCEO自身で手掛けた採用活動を通じて、採用に関する意思決定の背景にある基準を明文化していく事。これこそが、採用活動の再現性を担保することに繋がり、自社独自の採用ナレッジが形式知化していきます。 今後資金調達のシリーズを重ねていく中で、大量採用や手法の異なる採用プロセスを実施していく際も、採用プロセスの型を早めに作っていく事が出来るでしょう。

また、基準を明確化していく中で、CEOにとってはもう1つ良い事があります。それは、採用ナレッジだけでなく、企業の文化形成の棚卸しにもなる事です。どの様な人材がほしいのか、どの様に成長してほしいのかは、今の組織と未来の組織の文化をイメージする事が出来、今後どの様な文化、カルチャーのある会社にしてきたいのかをイメージ出来る事でしょう。

貴山CEOの採用ナレッジは、今日時点でワード22ページ分あります。企業文化とのフィット見る上での基準、勤務条件、全職種に共通した採用要件、1次スクリーニングのNG条件具体例、その理由まで全てまとめられています。これは常に現在進行形でアップデートされています。


このナレッジがあるお陰で、NG項目がわかるだけでなく、その意思決定に至った背景を社員が理解する事が出来ます。当社はまだ採用担当はいませんが、いつか入社した際には「まずこれを読んでみて」とハンドブックを渡す気持ちで当社の事を伝えていく事が出来るのではないでしょうか。

さいごに

限りあるCEOの時間を採用に使う事は、ともすると後回しにしてしまいがちな一方、後から振り返ると確実に「あの時やってよかった」と思える事であるはずです。

我々も投資先CEOが採用にコミットする事が、採用活動成功の一番の近道だった事を何度も目の前で見てきています。

今回の記事が起業家の皆さんの役にたてば幸いです。

GCP X水野

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