望まない結婚〜酒癖の悪い旦那との生活
これは祖母の実話だ。
祖母の嫁ぎ先はある日突然決まった。
「この子をうちの息子の嫁に欲しいんだけど」
祖母の実家は和菓子屋を営んでいた。
そこの娘である祖母は店の看板娘だった。
その働きぶりを見兼ねて息子の嫁にと訪ねたのだ。
祖母は迷っていたが、どうやらそこの息子というのは役所に勤めていてお金に困ることはない。
それが決め手で結婚に至った。
それからが苦難の日々だった。
祖父と暮らすのは一家4畳の狭いアパートから始まった。トイレとお風呂は共同。
そんな中祖父は漁師の家に育ち、義理母はスナックの娘だった。漁師の家育ちで食べ物は魚でも焼けばいいので楽だった。
しかしながら、祖父はスナックの娘の義理母に似て大の酒好き。
酒乱だった。車のない当時は毎日飲みに歩いて酔っ払いながら深夜に家に帰ってくる。
その日は娘が熱を出し居間のソファーにおでこを冷やし眠っていた。
その中帰ってきたと思えば
「何でこんなとこに寝てるんだ!おでこだけ冷やしたってそれったらもんダメだろ!全身冷やさないと!」
完全に酔っぱらっていて後から記憶をなくすに違いない。目の焦点もあっていない。
しばらくそのまま寝かしていると
「これじゃあダメだった言ったろ!なんで俺が言ったことやらないんだ!」
そう言うと祖母を外に締め出して鍵を閉めた。
深夜だったが、祖母はもう1人の娘の部屋にどんどんと窓を叩き、全てを見聞きし知っていた娘は玄関の鍵をあけた。
こんなこともあったらしい。
祖母は今じゃ祖父に先立たれ、独り身で趣味を充実させている。
聞いてみなきゃわからないこともあるもんだ。
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