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私的黒歴史読書遍歴

 趣味:読書
 とか言うと何だか知的な印象を受けませんか?

 それは嘘だ。
 "素晴らしい読書体験"ってよく聞くけど、そんな体験100冊読んで1冊くらいしかねーよ。

 モテたい、知的に見られたい、孤独を慰めたい、精一杯背伸びして手を伸ばした書物は、容赦なくその手を振り払う。青春の貴重な時間をドブに捨てるような無為な体験、それも読書というものだ。

 そんな黒歴史、私の地獄の季節を、貴方に見て戴くことにしようか…


黒歴史①:小学生編

・遠い海から来たCOO
・REX 恐竜物語

 恐竜が大好きだった小学生の頃、本屋に行って買ってもらった本が、この2冊でした。どちらも恐竜が出てくる物語。

 正直言って話は覚えていません。「遠い海から来たCOO」は何とか読めた気がするけど、「REX 恐竜物語」は上中下巻の上巻で挫折したような… 

 どちらも小学生で読むのは難しかった。思ったほど恐竜出てこないし。
 あと、どちらもセックス描写(くたびれた中年同士でエロ要素は皆無だったと思う)があって、当時の自分は???と思いながら読んでいたことが妙に印象深いです。

黒歴史②:中学生編

・三毛猫ホームズシリーズ
・水滸伝
・戦争と平和
・死者の奢り

 中学校に入ると、休み時間に小説を読むのが知的でカッコいい気がしたので、学校の図書室で本を借りて読んでいました…痛すぎる。

 三毛猫ホームズシリーズは読みやすくて面白かった気がするのですが、今になってみると、全く話を覚えていません…読みやすすぎたのか?

 三毛猫ホームズを何冊か読んだ後は、中国の古いファンタジー小説的な「水滸伝」を読んでいました。最初は三国志みたいな現実の歴史の話かと思っていたのですが、妖術が出てくる空想的な物語だったので驚いた記憶があります。こちらもほとんど覚えていないけど。

 小説を何冊か読んだ後は、他に面白い本が無いか探し回りました。
 すると、図書館には戦争関連の書籍がたくさん置いてあることに気づき、読み始めるようになりました。特に戦争の悲惨さを描いた写真集に目が釘付けになります。積み重ねられた死体、身体を欠損した兵士達。衝撃的な光景ばかりでしたが、当時は怖いもの見たさの刺激を求めてか、そういった本をよく開いていました。

 関連して読み始めたのがトルストイの「戦争と平和」です。小説としても格式が高そうなので読めたらカッコいいような気がして読んでみました。この本も中身はほとんど覚えていないし、多分最後までは読めなかったと思うのですが、主人公の同僚の兵士が爆弾の爆発で足を失って、ショック死する場面があり、ひどく気分が悪くなったことを覚えています。

 あとは大江健三郎の「死者の奢り」。
 たしか解剖とかに使う?死体を洗うバイトの話だったと思います。死体洗いのバイトは高給ということを知り、その頃の夢は死体洗いでした。何て罰当たりな奴でしょう…
 あと友人に「死体洗いのバイトって知ってる?めちゃめちゃ金になるらしいよ?」と知ったかぶりしていました。

黒歴史③:高校生編

・海と毒薬
・深い河

 中学生の時は、自分の知的さを演出するために本を読んでいた側面もありましたが、高校に入ってからは全く本を読まなくなりました。

 なぜかというと私の入った高校は進学校で、それまで神童(笑)だと思っていた自分は、あっという間に有象無象の中に埋没してしまいます。そんな凡人の自分が本を読むなんておこがましいような気がして、学校の図書室からも足が遠のいていくのでした。

 そんな高校時代に読んだ本は、現代文のテストで引用されていた遠藤周作の「海と毒薬」でした。2回位テストで引用されていた記憶があって、1回目は親戚の女性と関係を持つ場面、2回目は人体実験をされる米軍の捕虜に質問をする場面だったと思います。どちらもショッキングなシーンで「海と毒薬」というタイトルも神秘めいていたので、気になって本屋で買って読んでみました。この本は何度も読み返し、今でも好きな1冊です。話も短いしね。

 そして、同じ遠藤周作の「深い河」も、テストで引用されていたので、買って読んでハマりました。この本を読んだ直後、受験戦争真っただ中の私は"インドに行って人間の一生を象徴するようなガンジス川の流れの側で悟りを開くんだ!!"と、突然天啓に打たれます。

 こうして私は、大学受験失敗したらインドに行くから。と周囲に散々吹聴し、それを口実に受験勉強をサボっていました。両親はさぞかし心配だったことでしょう。

 結局、志望先の大学に無事合格し、インドへの旅は露と消えるのでした。

黒歴史④:大学生編

・マノン・レスコー
・人形の家
・赤と黒
・罪と罰
・存在の耐えられない軽さ

 大学生になって感動したのが、有り余る時間と巨大図書館。
 特に1年次は専門的な講義も少ないので、思い切って世の名作と呼ばれている本を片っ端から図書館で借りて読みまくることにしました。
 当時は名作を読むことがが教養なんだ!と信じていたのです。アホですな。

 ここでは、読んだけど時間の無駄だったな…という本を紹介して供養します。今思えば自分の読解力のなさとチョイスした本が良くなかったんだと思いますが。

 まずは「マノン・レスコー」と「人形の家」
 前者は、夫の従属物のように扱われる妻が、夫の殺害を企てる的な話。後者は全く覚えていないけど、同じように家庭で虐げられる女性の話だったと思う…

 この2冊を読んだのは、その直前にデュマの「椿姫」を読んで、これはおもしれー!!!と思って、ヒロインのマルグリットが読んでいたマノン・レスコーに興味が湧いた、という流れだと思う。確か、人形の家は、マノン・レスコーに登場していたから読んでみたはず。
 ただし、エンタメ炸裂の椿姫とは異なり、この2冊は読んでいて面白味を感じられませんでした。少なくとも私は。
 関係ないけど、高田の仲町に、マノン・レスコーにちなんだ「マノン」という古いスナックがあるので一度入ってみたい。

 あと、「赤と黒」「罪と罰」
 両方ともタイトルがいいよね。ルージュノワール、シンアンドパニッシュメント。必殺技みたいで。前者は長い小説、後者はすごく長い小説。

 この二つも半ば義務感で読んだので、全然話を覚えていない。
 罪と罰はヒロインのソーニャがかわいかった気がする。その程度。
 赤と黒は全く覚えていないんだけど、結構ふざけた小説だったと思う。当時の時事ネタとかパロディが入っていたような。それほど読むのは苦じゃなかった気がするんだけど、ストーリーがとっ散らかっていたような。

 「存在の耐えられない軽さ」は当時の2ちゃんねるの文学板でお薦めされていたので読みました。タイトルがカッコいい。(そればっか)
 女性の陰部を「デルタ」と呼んでいたことしか覚えていません。

最後に

 こんなしょうもない黒歴史的読書遍歴を書きたくなったのには理由があります。

 「読書」ってすごく高尚で、格調高くて、なんなら神聖なものだと思われてません?

 んなわけねー。自称読書家から「え、こんなのも読んでないの?」と言われるとすごくムカつきます。有名作家の本は一般常識なのか?世界の名作は一般教養なのか?お前の頭の中ではそうなんだろうな。バーカバーカ。

 そんな神聖な読書への信仰を打ち砕くため、恥を忍んで自分のゴミみたいな読書遍歴をここに記してみました。
 この黒歴史を振り返って思うことは、本なんて無理して読むものじゃないよ。それが研究とか仕事じゃなければね。
 
 そして自分の恥を書き散らして、最後に一つだけ言いたいのは、
 みんなカッコつけずに自分の好きな本について語り合おうぜ!
ということ。

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