記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

星を継ぐもの-文系を殺す魔法の書-

こんにちは、tabutiです。

今日は文系はおそらく避けるべきSF小説
ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」
を語っていこうと思います。

今回この記事のためにダンボールの山の中からなんとかこの本を引っ張り出してきました。
かなり腰にきましたね。
おそらくもう少し年を取ったらこうゆう無茶もできないようになるのでしょう。

ネタバレになると思いますので、まだ見てない方は小説を読んだ後にまた来てくれると嬉しいです。

拙い文章になるとは思いますが、よろしくお願いします。

ハードSFと文系の邂逅

理系とは程遠い性向をもつ僕がなぜこのハードSFを手に取ったか、
一旦話しておこうと思います。

当時、ミステリ本を着々と読み進めていた僕はほかのジャンルも少し読んでみたいと思いました。
おそらく飽きが来ていたのでしょう。
そこでSFに狙いを定めました。
もともとSF作品でにぎわっているアニメや漫画の世界に浸ってたこともあって入りやすいと思いました。

そしていろいろ調べているうちに「星を継ぐもの」に出会いました。
あらすじを見ると、SFでありながらミステリ要素もどうやらあるようで、まさにうってつけのように思います。

しかしこの作品をもう少し調べてみたら、なにやら物騒なことが書かれています。
みな一様にハードSFだの、理系ご用達だの、文系お断りだの(これは被害妄想ですね)、どれもか弱い文学少年を怖気づかせるものばかり。

ここで引いたら負けだと思ったのか、それとも単純な危機感の欠如か、
僕はブックオフ公式オンラインストアで他何冊かと一緒に購入していました。(1800円以上買うと送料が無料になるのです)
結果的に言えば、無謀な挑戦でしたね。

ブックオフオンラインストアでの値段、中古でもそこそこするんですよね

あらすじ

"月面で死体が発見され調査した結果、その死体は五万年前に死亡していたという。この事実をもとに世界中の各分野のエキスパートたちがその背景を明らかにしていく"というSFミステリみたいな感じです。

貪欲な研究者たちの熱気

死体の謎を明らかにしようと世界中の研究者たちが招集され、調査が進められていくわけですが、
ここの熱気に満ち溢れた雰囲気よかったですよね。
各分野の研究者が貪欲に目の前の謎を貪っていく様といいますか。
一つの分野で研究が進めばそれをもとに他の分野でも研究が進み、またそれをもとに研究が進んでいく。
この強キャラたちが連携して謎を明らかにしていくのは見てて面白かったです。

ジョンソン宇宙センター、ここがモデルだったりするのかな

そしてその研究者たちの間で”潤滑油”となり舵を取る人物、主人公ヴィクター・ハント。
この男が間に入りひとたび言葉を挟めば研究者はたちまち活気づき、議論が進んでいく。
見てて気持ちがいいものです。
RPGでいうバフ係なのでしょう。
おそらく”バイキルト”とか”ヘイスト”とか覚えてます。

ff13の父ちゃんのような有能キャラ

ちなみにお前はちゃんと研究を理解していたのかと言われれば、当然そんなはずはありません。
「みんな頭イイネ!」だとか
「みんなウキウキだね!」とか思いながら見守ってました。
分相応という言葉を僕は知らなかったようです。

徹底した科学考証と一粒のドラマ

宇宙船の残骸を目の当たりにしたハントはそこからなにか発想を得たようです。
ここからはハントが得た仮説の発表、もとい推理ショーが始まります。

ここで、小説を読んだ方ならわかると思いますが、僕は中盤のお話についてなにも述べておりません。
はい、実は中盤においてほとんど感想を持てなかったのです。
改行などがほとんどない専門用語の羅列の文章に脳を焼かれながら、推理についていくのに精いっぱいでした。
なんとか仮説を理解したと思ったら新しい事実によりその仮説が否定される。
これは地獄です。
理系と文系の戦争が起こったらこの本一つで一個大隊を壊滅に追い込むことは間違いないでしょう。

文系にとっては無量空処みたいなもんです

ハントのスピーチに戻りますが、ここのハントかっこよかったですよね。
スピーチの内容については自信がないので言及しませんが、世界中の優秀な研究者たちが主人公の仮説に耳を傾けているというこの状況。
ここまで役者が揃っている推理ショーもなかなかないでしょう。
そして最後のスピーチの締め方、あんなキザなことをして様になるのはこのキャラくらいなもんです。

ハントの仮説が多いに支持されここで結論かと思いきや、ダンチェッカーが新たな仮説を提案してきました。
この展開には痺れましたね。
仮説の内容にはもちろん、提案した人物がダンチェッカーなのです。
このキャラは登場した当初、既存の法則に縛られ視野狭窄に陥っているキャラとして、また主人公であるハントに対立するキャラとして描かれていました。
それが中盤ではハントと打ち解けあい、最後にはロマンあふれる仮説を提唱してくるのです。
こういった研究者たちの物語におけるライバルキャラというのもいいものですね。

そしてエピローグ、これは鳥肌ものですよ。
こうゆうプロローグとエピローグを上手いことつなげる手法を見せられちゃうと否応なしにくらってしまいます。
もちろんこれは今までの推理の展開についていけた人だけが味わえる感覚なわけで。
終盤におけるハントとダンチェッカーの仮説、そしてこのエピローグは脳を焼かれながらも食らいついてきた人たちに向けた一粒のドラマなのです。

まとめ

未知への貪欲な探求心、研究者たちがとにかくかっこよかったですね。
だれもモブとは言わせない雰囲気でした。

徹底した科学考証に少々うんざりしていた僕ですが、終盤でご褒美がもらえてなんだかんだ楽しめました。
しかし一冊目に読むSFではないことは確かです。
解説にて鏡明さんは著者のホーガン氏について以下のように評されております。
『科学や技術について語るときの様子は、まるでオモチャを与えられた子供のように、嬉々としているのが感じられる。』
その通りだと思います。

ここまで読んでくれた方の中でまだSFを読んだことがなく、さらに文系の方がもしいるのであれば、
一冊目はおとなしく他の本にしましょう。
「ルナ・ゲートの彼方」などおすすめですよ。

ブックオフ宣伝しようと思ってたら在庫なし

小説の記事だと画像を使う機会が少なかったですね。
最後まで読んでくれた方がいたら、ありがとうございます。

それでは

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集