短歌連作「melt」（15首）

【melt】
①（熱で）溶ける、融解する
②徐々に消える
③（感情などが）やわらぐ
④溶けるほど暑い
⑤（熱で）溶かす、融解させる
⑥感動させる

　今日も今日も今日も、真夏日。現在、7時45分。鬱々とした日々の中で、誰が通勤電車と家のドアの間で負けじと咲く花を見ると言うのだろうか。有害紫外線が支配する、この不変世界で。

澄んだ実のシャインマスカット憧れていま石炭がmeltサイダー

硫酸のメロンクリームソーダはmeltを許すこころがあって

絶対にクリームソーダ固めプリンその頑固さにmeltしちゃうよ

ゴミ部屋で埋もれてmeltしてる時わたしは餌付けをする小悪魔

太陽が他の恒星にmeltした休み明けには何をしようか？

教室の机で寝てる静寂にボールが当たりmeltした昼

ああこの体育館はmeltしてしまう告白初心者すぎて

風に舞う綿毛の幼児どこからか脚に衝突し頬がmelt

朝駅でパジャマでmeltしてないし週休7日発令希望

まだ今日は布団にmeltさせないでヒグマと共にリベンジ・ヨフカシ

おつかいを反芻したがもう脳がmeltしているポンコツPC

ホクロ書く習慣があるそれだけで君は超絶かわいいmelt

トーストでハニー・バターがmeltして踊るダンスを眺める御隠居

もし脳がmeltしてもきっとすぐ思い出すからオニオンスープ

花を見た通勤電車来る前に綺麗とmeltこころが変える