能登半島地震を受けて思ったこと

令和6年能登半島地震で被害を受けた市の市職員です。被害はそれなりにありましたが珠洲市ほどではありません。身バレが嫌なので詳しくは書きませんが。
こうして記事を書きたかったのは、避難所での地元の方の対応が素晴らしかったからです。
1/1に地震があって、私の担当の避難所には一気に500人くらいの人が詰めかけたようです。私は避難所要員ではありましたが、すぐに参集できる状態ではなかったこともあり、召集はされず地元の小学校に市職員3人が駆けつけたようです。私は彼らの交代要員で1/2から避難所に入りましたが、3人とも寝ておらずかなり疲弊している様子が伝わりました。
私が避難所についた頃には避難所の人数はかなり減っていました。日中は家の様子を見に戻ったり、復旧作業をしたりしているようでした。それでも物資の確認や物流の情報確認など、本部とやりとりをするなど、仕事は多くはないがややあるような感じでした。
私が行ったそんな状況ですら、ピリピリしているというか、疲弊している状態はありました。それなのに初日に500人が殺到して本当に大丈夫だったのかと思っていました。
初日に駆けつけた職員に聞いたところ、大きなトラブルはなく、皆さん助け合って一夜を過ごされたのだと聞きました。それを聞いて驚きました。1/2ですら、人数こそ少ないものの、やる仕事は少ないものの、何かトラブルが起きてもおかしくないような状態でした。むしろ仕事がない時間帯は、トラブルが起きないように、また起きたらどうしようかと考えているくらいでした。
初日は市職員は災害用物資の在庫を出し、数を確認し、本部との連絡を取ることが主で、避難所の運営は地元の町内会、消防団、民生委員の方々が話し合い、助け合って行っていたそうです。
例えば、トイレは使えましたが、いつ断水してもおかしくない状態だったため、災害用のトイレ(ビニールシートに用を足し、シートごと捨てる)を使用しましたが、うまく使用しないと汚れてしまいます。それを使用するために地元の消防団の方が交代でトイレの前に張り付き、一人ひとり説明し、ゴミを回収してくれていました。
また、今後の見通しと救援物資がいつ来るか分からない状態だったため、備蓄の水を世帯に1本配布したのですが、普通は各世帯に1本となると文句の1つも出てきそうです。しかし、町内会の方が間に入ってくれて、1人1本にするのか、世帯に1本にするのか話し合い、トラブルがないように決めることができたそうです。
当然市役所職員3人では500人を対応することはできませんから、町内の皆さんの運営があってこそ乗り切ることが出来たのだと感じました。
ネット上で、避難所の運営は住民がやるべきものだ。市役所職員がやるものではない。勘違いしないように。という趣旨の投稿を見ました。全くその通りだと思います。トラブルなく難局を乗り切ることが出来たため、我々は救援物資の運搬などの情報提供に注力することが出来ました。今なお避難所は開設されており、避難所要員をシフトで回していますが、初日に対応した職員も再度出動しています。あまり休めていないのかもしれませんが、それでも初日にトラブルがなかったおかげで難なく私に引き継げたことは大きかったでしょう。
町内の皆さん、ありがとうございました。

災害時、議員は何もするべきではない。との投稿も見ました。これについて私の意見を述べたいと思います。いわゆる初動の体制での視察、要望などは絶対にして欲しくないです。初動体制では避難者の受入、備蓄物資の提供と本部との連絡調整にとにかく入力したいので、個別の要望に答えている暇はありません。むしろ、町内会などの方と一緒に避難者をまとめてもらえると助かると思いました。非常時ですから、行政に対して要望等をするのではなく、行政の一役を担ってもらえるとありがたいです。
ウチの市でも、少しだけ落ち着いてくると、議員が避難所へ来て、アレコレ聞いていかれました。それ自体は悪いことだと思いませんし、それらの情報を踏まえて地域で様々な活動をしていただいているのだと思います。私も避難所で議員さんにいろいろ聞かれました。私は、一般の市民と同じように、分かることをお答えさせていただきましたが、何でもかんでも本部に問い合わせている職員もいました。こうした事が起こると本部のリソースを圧迫することになるため、良くないと思います。(これは職員が悪いと思いますが。)
これらあくまで初動体制についてで、復興のフェーズに変わってくると全然違うと思います。

避難所と本部の仕事と、今日までで一通り経験しましたが、なかなか大変でした。それでも業務がしっかり進んでいくところに、公務員の底力を感じましたね。

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