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【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第5回 「ディミトリ・ラスカロフ」

ゲーム「グランドセフトオート4」に登場。

ロシアンマフィアであるファウンスティン・ファミリーの若頭を務める男、気が弱そうな顔をしておりボスであるファウンスティンの暴走に常日頃から悩まされている。

趣味は港でタバコを吸いながら黄昏ることとかなり暗い。

当初は敵対していたが、主人公ニコに仕事を頼んでいく内に信頼関係を築いていく…。

とうとうファウンスティンの暴走に耐えかねた彼はある日ニコに暗殺を依頼してファウンスティンを始末して彼の組織を支配することになった。

ここで彼は本性をみせる、実はニコを追いかけていた別のロシアンマフィアと同盟を組んでいたディミトリはニコの家族であるローマンを誘拐してニコを恫喝する。

気弱な優男であった性格はどこへやら残酷に高笑いをしながらニコを恫喝する本性をむき出しにして襲い掛かってくるのだった。

完全にニコと対立関係にあたるようになったディミトリはことあるごとにニコを排除すべく策略を張り巡らせる。

作品もクライマックスになるにつれて終盤におけるニコのクライアントでありボスでもある古参のイタリアンマフィアであるペゴリーノと組むようになったディミトリを殺すかそれとも仕事のために見逃すかでルートが分かれる。

ここでディミトリを惚けなく殺すこともできるが、生かしておくとドラマがかなり盛り上がりをみせてくる。

ディミトリを殺すと、ペゴリーノがラスボスになりニコの彼女であったケイトが流れ弾に当たり射殺される。

このルートは正史であるらしいが、盛り上がりに欠けヒロインであるはずなのにことあるごとに主人公を「人殺し」と責めてくるほどイライラするケイトが死んでも全く悲しさがない。

しかし、ディミトリを生かしておくと惚れていた女性と結婚式を迎え人生の絶頂期にあった従兄弟のローマンを暗殺しニコを完全に怒らせてしまうのであった。

ローマンは主人公ニコの上司でありたった一人の家族であり序盤から終盤まで主人公を支える相棒でもあった。

本当にそんなローマンが死ぬとかなりプレイしているこっちまで悲しくなってくる。

ニコとディミトリの最終決戦が近づくさなか、ニコの目の前でペゴリーノを暗殺し彼すらも裏切ってしまったディミトリ、怒り狂ったニコの前では敵などではなく射殺されると…息を耐えながらアメリカを代表する「自由の女神」に似た像の前で徐々に衰弱死していくのであった。

最後まで自分以外のすべてを欺き利用していた男の末路には地味だが痛々しい最期を遂げてディミトリは死んでいった。

復讐を遂げたニコの心の中にはさみしいものしか残らず復讐のむなしさを痛感させるだけであった。

本当に大事なものは失った後にしかわからない、家族すら失ったニコに残されたものは何もなかったのだ。

そんなことを死をもって教えてくれるという意味ではニコのためになっていたのかもしれない。

アメリカンニューシネマもしくはフィルムノワールのような雰囲気が漂う本作に相応しいラスボスであり、非常に印象的な裏切り者であった。

彼のボスであったファウンスティンもディミトリの本性を察しており、「変わってしまったのはあいつのほうだ」と死に際に語っていた。

ところで、そんな彼は最初から裏切る目的でファウンスティンに近づいていたのだろうか。

ディミトリも危険人物であるが、ファウンスティンはそれ以上のサイコパスであり部下であっても平気で殺す異常者であった。

ディミトリはそんな彼に本当にウンザリしていたのではないだろうか、つまり組織を乗っ取る目的もあったがそれ以上に本当にファウンスティンが嫌いになってしまい彼から逃げてしまいたかったのではないだろうか。

そして、組織の長になり野心に火が付き暴走してしまいファウンスティンのような怪物に成り下がってしまったのではないか。

ディミトリの使えるボスがファウンスティンのような狂人ではなく、普通のボスであれば彼も野心を働かせるようにはならなかったのではないか。

と、考えれば彼もまた運命の歯車に踊らされたコマの一つでしかないかもしれない。


陰湿性:S (自分以外のすべてを信用せず、利用し裏切り続けていた)

頭脳:S(ニコを騙しとおすなど演技力に長けており、様々な陰謀を張り巡らせる策士)

強さ:B(彼自身は強くはなく、ニコに狙われると逃げ出す始末)

主張:B(所詮、金と権力に溺れただけの男で思想などはない)

人望:B(特に人望がある様子はないが、組織の長としての人望はあると思われる)

権力:A(副市長すらも恫喝するほど影響力のあるロシアンマフィアの長をしている)


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