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“循環”は資源だけじゃない。リサイクルの町で暮らす人々の声~薩摩会議2024・大崎セッション現地レポート~

10/21-23の3日間、今年で3回目となる薩摩会議2024が開催されました。

今回は初めての試みでフィールドワークが追加され、鹿児島県内の10地域でテーマごとに探求を深めるローカルセッションを実施。その会場の1つとして大崎町が舞台となり、合作がホストを務めました!
この薩摩会議は、アーカイブ配信なし、同日同時間に複数のセッションが開催され、参加者はどれか1つにしか参加できない仕組み…だからこそ、1人ひとりの熱量も高く、対面で対話するパワーも相当なもの。
大崎町ではどんな1日だったのか、ほんの一部ですが紹介させてください📸


鹿児島市からバスごと船へ!垂水フェリーから見えたもの

薩摩会議のDAY1では鹿児島市内に集まっていた参加者。DAY2は大崎町への移動から1日がスタートです。まずはバスごと船に乗り、垂水港から鴨池港まで移動。道中は桜島を横目に過ごせるルート!

が、当日はあいにくのお天気で視界が悪かったため何も見えず…そんな中でも地質学に詳しいメンバーのおかげで見えない桜島のことをたくさん知ることができ、存在を確かに感じました。(最終日に見えた桜島がきっとさらに感慨深く味わえたように思います。)

フェリーでは地元名物のうどんが食べられるとの情報が。出汁が少し甘めで麺が柔らかいのが特徴ということで、朝ごはんに嬉しいメニューとなりました。


全てはここから始まった~大崎町のこれまで~

大崎町に到着後は、オリエンテーションから始まりました。

今回は、長年この取り組みに尽力してきた役場職員である松本さんに、これまでの大崎町についてお話を聞きました。

リサイクル率No.1を15回記録し続けている大崎町

最初から簡単に実行できたわけではなく、町として埋立地の限界という課題が見えてから、リサイクルに取り組み始めるまでの期間にも、そしてその後継続してリサイクル率No.1を達成していく状況になるまでの歩みにも、様々なエピソードがあります。

過去から現在のお話、続けてきたからこその変化や、これからの課題についてもシェアしていただきました。
町としての課題を起点に始めたリサイクルでしたが、時代も代わり、環境問題への関心も高まる中で、大崎町の取り組みは地域外の企業や海外からも視察に来る程注目を集めています。過去の話だけでなく、現在、そして未来の可能性の話も含めると、午前中の限られたでは語り尽くせないほど…。
熱く語っていただいた松本さんの熱量に感化された参加者の皆さんからも、質問の尽きない時間となりました。

ブンベツしないとリサイクルには繋がらない~分別体験~

昼食は大崎町の地元のお店にお弁当を用意頂きました。また、大崎町の魅力の一つでもある豊かな食を楽しんでもらおうと、ふるさと納税でも有名なうなぎもふるまいました!

ランチ:お多福さま・キッチン花みずきさま にご提供いただきました!

美味しいランチを堪能後は、リサイクル率No,1の町の日常を体感してもらうため、ランチで出たゴミの分別まで参加者の方に行っていただきました。
通常の28品目の分別とまではいきませんでしたが、他の自治体で暮らす方にとってはかなり細かい分別です。食べた後の容器を持ち、首をかしげ立ち尽くす人が続出…。いざ分別となると戸惑い、「内心、このまま持ち帰ろうかと思いました。」という声も。

今回会場では、昼食のお弁当を6種類に分別しました。
プラ、紙箱、割り箸(爪楊枝)、生ごみ、その他紙ごみ、一般ごみ

例えば東京でお弁当を買って食べたら、1つにまとめてゴミ箱へ…が日常かもしれません。ただ捨てるのではなく、素材へと変えて循環を促すためには何が必要なのか?を、日常に近い形での片付けの中で実体験を通して考えていただく時間になりました。

大崎町のリサイクルシステムを見学

午後からは、町のリサイクルを支えている主要な施設を巡りました。

有機工場

ここは、生ごみ・草木の堆肥化を行っている場所。

昼食を通して出ていた「生ゴミ」や、お弁当を包んでいた笹の葉や割り箸、道路や景観の整備で出る剪定枝などの植物性のゴミを堆肥化し、栄養豊かな土へと変えていく循環をみることができます。

人間が出すゴミの割合は、実は多くが「生ゴミ」です。有機工場の仕組みについて耳で情報を聞き、手順ごとの状態を目で、鼻で、そして堆肥時の土の温度の変化などにも手で触れながら、身体をフルに使い体感して学んでいただきました。

▼堆肥化の手順については下記を参照ください

実際に堆肥化した土を触っている様子

リサイクルセンター

続いての『そおリサイクルセンター』では、堆肥化できないプラスチック/ペットボトル/金属/ガラスなどの素材をどのように処理をして素材へと変えていくか?を見ていきます。

便利さを支えている様々な資源は、そのまま燃やすと環境にも負荷を与えてしまう存在です。
しかし、分別して素材を集め直すことによって便利な資源へと再利用できるということを、この現場で行われている様々な処理を見ることで感じることができます。(参考:リサイクルの流れ

また、ここでは2022年からは今までリサイクルが難しかった「紙おむつ」の再利用化の実証実験も企業と連携して進めています。

この紙おむつの再利用化は、リサイクルの研究を進めたからこそ見えてきた課題の次の展開の一つとして、注目を集めています。


リサイクルは、幸せにつながっているのか?

最後はトークセッションの時間。ここまでの体験も踏まえて、ゲストスピーカーや大崎町の人も交えながらトークセッションを行いました。

まずは4~5人のグループに分けれ、1日を通して感じたことや、大崎町の方がに普段の暮らしの中で感じていることなどをお話していただきました。

“環境問題に関して意識が高いからリサイクルを始めた訳ではなく、生活に直結することであり、トップダウンではなく、住民が納得してやると決めたことだから、進んでいるのではと感じた。”

“とてもいい取り組みだとは思うが、どこでもできるか?というとそうではない。1人ひとりに負荷をかけると難しいというジレンマを感じる。”

“東京に住んでいると、ちょっと不便なことって幸福につながるのか?と思うが、はたと、逆に便利なことって本当に幸せなのか?という問いが出た。”

“子どもの頃から大崎町で暮らしていると、分別は苦ではなく当たり前。でも他の地域に住んでみるとなんて楽なんだろう!と感じた。”

日々暮らす人の視点も聞きながら出てくる問いや、自分や他の地域に置き換えて考えてみると感じるジレンマなど、様々な感想がでてきました。

そんな中、全員でのセッションとなった後半、話題は「リサイクルは、本当に幸せにつながっているのか?」という問いへ。

幸せというテーマ、大崎町の方々はどのように感じているのでしょうか。

“環境にいいことをしていると感じられて幸せ!”

“大崎町に移住して、最初はめんどくさいなと思っていたけど、暮らしていると町で一番感じるのは豊かな食。それを支えていることの一つにリサイクルがあると思うと、意義あることだと感じる。”

という肯定的な意見が出る中、

“Uターンで帰ってきたものの、正直なことを言えば、手間が多くて面倒だと感じる中で、これ以外の方法はないのか?考えられないのか?と思うところはある。”

“普段は当たり前に行われているので、その状況のすごさを地域の人は感じさせない、表に出さないところがあるが、外部から来る人にすごいね!と言われると誇りを感じている様子はうかがえる。もっとちやほやされたら幸せになるのかもしれない…”

“焼却炉は持たずリサイクルを推進することを決めたが、それを決めた大人達が、高齢化等でできなくなった時にどうするか?という課題もある。”

など現状に満足ではない、これからについての不安があるという意見もでました。

環境・循環という社会全体の課題となっている事象に、この少ない人数だけでも様々な視点からの意見が出て、課題も可能性も見えてきました

このようにお互いに真剣に向き合い話し合える場があるからこそ、次の新しいアイデアが生まれたり、実現していく一歩になるのではないでしょうか。それぞれの立場から意見を出しあえる場や機会の大切さを感じた1日となりました。

最後は全員参加のディスカッションへ。

編集後記~地域に熱を残す~

大崎セッションでは、環境分野の先進地域視察では終わらせず、今回の機会が"地域に熱を残す"場となるように準備を進めてきました。

環境の視点からだけではこぼれてしまう、様々な部分についても光を当て一緒に議論を深め、これからの大崎町に必要な考えや熱量を交換できる場にできないだろうか。資源の循環だけでなく、地域が幸せであり続けるるために『正しい循環』について一緒に考える場を作りたい。そんな想いで準備を進めてきました。

実際に、地域の方々からリサイクルについて率直な意見としてポジティブなものもネガティブなものも、議論に上がり次へと繋がるエネルギーが生まれる場になったと思います。

この大崎セッションは、多くの地域事業者の方のご厚意と熱意によって実現できたものです。その恩を地域に返せるよう、薩摩会議で生まれた熱を地域に伝播させることが私たちの役割なのだと感じた1日でした。

ご協力・ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

全国的な課題にもなるゴミ問題を通して、”環境”に限らず暮らす人々の幸せにも向き合い、取り組みを続ける大崎町のこれからにぜひご注目ください!

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#合作 #薩摩2024 #大崎町


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