ヴァイオレット・エヴァーガーデン(個人的な京アニへの思いについて)
こんにちは。
今日、明日と、キャンプに行く予定でしたが、あいにくの雨。
秋雨前線と台風のダブルパンチで、中止を余儀なくされました。
この前のキャンプも雨予報、野球観戦もにわか雨と、自分はつくづく雨男だなと思います。みんなにばれないように生きていきたいですね。
さて、今日は、そこで、急遽、ヴァイオレット・エバーガーデンの新作映画を見に行きました。
久々に、アニメレビューをしますが、実は、本題はそこではないので、是非、最後までお付き合いください。
ヴァイオレット・エバーガーデンは、第五回京都アニメーション大賞という、京都アニメーション主催の賞で、一般公募の中から、見事、大賞を受賞した作品です。
あらすじは以下の通りです。
”4年間にわたる東西南北による大陸戦争が終結。その戦場で「武器」と称されて戦うことしか知らなかった少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、激化する戦場で両腕を失い、自在に動く義手を付けることを余儀なくされる。
退院したヴァイオレットは、ホッジンズの下で、自動手記人形としてC.H郵便社で働きはじめる。ヴァイオレットには、かつて戦場で誰よりも大切な人・ギルベルト少佐がいた。最後に聞かされた「愛してる」という言葉が理解できなかった彼女は、仕事と日常を通じて人と触れ合いながら、その言葉の意味を探していく” (ウィキペディアより)
以前、TVアニメで放映され、その美しい画と、切なくも温かいストーリーで人気を集めました。
今回、その完結編として、映画が公開されました。(以前、上映された、外伝とは異なります)
今作では、まず、TVシリーズより、およそ2,3世代後を舞台として、一人の少女の視点から、話がスタートします。実は、彼女は、かつて、ヴァイオレットが代筆を担当した、アン・マグノリアの孫でした。(詳しくはTVシリーズを参照)
彼女(デイジー)は、かつての祖母の手紙を読むうちに、その代筆を担当し、昔、名を上げた、一人のドール、ヴァイオレットを知り、その功績を辿るべく、旅に出ます。
そして、時代はさかのぼり、戦争が終わった、ライデン(国名)で、自動手記人形として、また、一人の女性として、大きく成長したヴァイオレットの視点になります。
ヴァイオレットは、孤児である、自分を引き取り、戦争で行方が分からなくなった、恩人である少佐を思い続け、その行方を追っていました。
そんな中、廃棄処分になる予定だった手紙の中に、元大佐で、現・郵便会社の社長、ホッジンスが、一通の手紙を見つけたことから、事態は急展開を迎えます。
さまざまな経験を通して、人間の感情に触れたヴァイオレットは、「愛している」の意味を理解できたのでしょうか、そして、それを、思い人である少佐に伝えることができたのでしょうか?
また、祖母の足取りを追憶し、自動式人形の歴史に触れた、デイジーの、作品終盤での変化にも注目です。
続きは、是非、映画館で。
普段、アニメを見ていないという方にも、どうか、この作品を見てもらいたい。
1800円の価値があります。いえ、それ以上の価値を保証します。
なぜここまで言うのか。
それは、この、ヴァイオレットエバーガーデンという作品が、人の心というものを、これ以上になく、良く切り取っているということです。だから、どこか、強く共鳴するものがあるのです。
今作は、中世から近代ヨーロッパを感じさせるような街並み、そして、代筆サービスという現代にはあまり見られない職業がある(現実ではタイプライターに近いのでは?)、非日常が舞台となっています。
また、ストーリー、ひとつひとつに、そこまで派手さがあるわけでもありません。
しかし、その中に、しっかりと人間の心の細やかな動きだったり、物語の世界観への没入感だったりが醸し出されている。
それは、なぜなのかを考えたときに、まず、原作者である、暁佳奈さんの思いにあると思いました。原作を読んでいた時に、巻末に、あとがきがありました。
その中で、暁さんは、「生きていると苦しいことや悲しいことがあります......でもその先に光がある、共に頑張りましょう。」というような話を記していたと思います。あいまいな記憶から、稚拙な言葉に纏めてしまい、申し訳ないですが、このような言葉の端々から、私は、彼女の伝えたい思い、やさしさや、人間の心に対する感度の強さを感じ、心を打たれました。
そして、おなじみ、脚本の吉田さんの技術が加わり、このような素晴らしい化学反応が起きたのではないかと思います。
また、なんといっても、京都アニメーションの英知・技術を集結させる作画・動画。海・空・髪の毛・瞳、、、すべてがリアルさを追求しつつも、作品の世界観・繊細さを忘れない描写でしたし、動きも完璧でした。さらに、それらを際立たせる、演出。とくに、ヴァイオレットが戦争を回想するシーンで、回想後、体感10秒間、まったくの静寂・ポーズがありました。シアターに、息をのむような空間が広がりました。それらの細やかな演出に心底、驚きました。
それぞれの仕事に、プロフェッショナリズムを感じましたし、この作品への、製作者の本気度が読み取れました。
もちろん、この作品は、京都アニメーションにとって、特別な作品であったのは、間違いないでしょう。
忘れもしない一年前の7月18日、京都アニメーション放火事件。一人の狂乱者によって、尊い、36名の方の命が奪われました。
第一ビルは全焼。社の機能の大切な部分がすべて奪われ、なにより、京アニを支えてきたスタッフ、これからのアニメ界を背負う若手社員が亡くなられ、事件後は、今後の、方針は未定とのことでした。
しかし、制作が進行中だった、ヴァイオレットエバーガーデンだけは、制作が続行され、今回、こうして、素晴らしい作品が生まれました。
エンドロールには、今作に関わっていたものの、志半ば、無念にこの世を去った、スタッフの名前もしっかりと刻まれていました。
特に、故・池田晶子さん(TVシリーズの作監を務められました)は、個人的に大好きなアニメーターです。彼女が手掛けた作品を見て、アニメの世界にハマっていったし、自分の青春を支えてくれた作品たちを世に生み出してくれました。
思わず、涙がでてしまいました。
ひとつひとつの制作物に、アニメーターの方々、関係者の方々がどれだけ、思いを込めていらっしゃるのか。それを改めて、感じましたし、消費者として、つい忘れてしまいがちですが、これを当たり前だと思ってはいけないと思いました。
私は、1アニメファンとして、今作を制作された関係者の方々に、敬意を示したいですし、素晴らしい感動に感謝をしたいです。
これから先、何十、何百年後でもいいので、また、京アニの、素晴らしい作品を見れることを楽しみに、日々頑張りたいと思いました。
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