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#55. 自分の色を決める 《ラン活と個の時代》

年中の息子のランドセル選びを始めた。
それどころか、去年年末からカタログ取り寄せをしていち早く張り切ってラン活をしている私。

ラン活、してる?

「ラン活」という言葉が出てきてから、あまりいいイメージの言葉として扱われていない気がするけど、結局単なる買い物であって、買い物を楽しむかどうかだけだと思っている。
買い物って、買う前の選ぶ時間が一番楽しい
だから私は一人でいくつもランドセルのカタログを見比べては、この色いいな〜、かわいいな、息子に似合うかな?娘だったらこの色かな?とか想像して楽しんじゃう。

幼稚園のママ友に聞いたら、自分自身が買い物で迷うのがあまり好きではないから、ランドセル選びもめんどくさい、旦那に任せようかな、と言っていた。
確かにそういう場合もあるよねと思った。
周りに合わせてラン活しなくていいし、十分ちゃんと使えるランドセルを買えるからそれでいいはず。
でもランドセルについてちょっと調べ始めると、

  • 小学生の荷物は多いから、軽い方がいい!

  • 流行りの色はこれ!

  • みんな何月ごろに買ってる?売り切れる?

  • こんな機能をチェックして!

などと、やいのやいの言われたら、そりゃ考えるのめんどくさくなるよね…。
重さって言ったって、ペットボトル1本分も違わないし、一年目でも六年生でも教科書入れたら重いし、それこそ曜日によっても荷物の多さ違うだろうし。
「何色がいい?」って聞かれたら子どもは「色を選べるものなんだ」って思っちゃう。「普通男の子は黒のランドセルなんだよ」って言われなきゃそういう固定観念もない。
ラン活は、ただ楽しくやりたい人が踏み込めばいいと思うの

ランドセル見に行ってみた

カタログを取り寄せた中で、機能と価格のバランスが取れてていいな、と思ったのが池田屋さんだった。
お店もグランフロント大阪にあって、予約なしで行けるので、我が家にとっての初めてのランドセル選びは池田屋になった。

子どもに対しても選びやすく、楽しんでもらおうと配慮してもらえてて、子ども向けのカタログや「ランドセルって何?」の導入にも役立つ絵本もついてくる。
「ランさんぽ」といって、好きなランドセルを背負って公園で歩いてみようというイベントを企画してくれて、先週末、参加してきた。

うちの息子は、カタログを見たときからアンティークワインという深い赤色を気に入って、お店でもずっと見ていた。
何故なら大好きな阪急電車のマルーン色に似ているからだ。

池田屋ランドセルHPより
No.01 防水牛革プレミアム シンプルステッチ
アンティークワイン


ランさんぽでは全ラインナップのランドセルがずらっと並んでいて、一人45分の時間内で好きなだけ交換して背負ってみることができる。
真っ先にアンティークワインを選んで歩く息子。
一周したら次は、2番手の好きな色としてキャメルを選ぶ。
お父さんとしては定番の黒も背負ってみてほしかったらしく、「黒は?青とかでもいいよ!」と促してみたが、
「いやだー!黒きらーい、青もいやー」
と言って頑なに拒否する。

親が選ぶ?子どもが決める?

我々親世代(30s〜40s)では考えられないくらい、カラフルなランドセルが揃っているし、赤黒以外を背負っている子が多い。
30年前はそもそも赤黒以外ってほとんど売ってなかったのでは?…それすら知らない。
なんせランドセルは「自分で選ぶ」物ではなかったから。
気がついたら買ってもらっていて、「叔父さんに買ってもらったんだよ」と何度も刷り込まれていた、それだけ覚えている。
使っている間だって、重いとか、使い勝手がいいか悪いかとか、考えてない…、だってそれを使うしか選択肢がないし、疑問に思わなかったから

でも今は…?
ランドセルメーカー各社は
子ども自身がランドセル選びに関わり、
子ども自身が愛着を持って、
6年間使い続けてくれること
を期待している。

みんなが同じモノを見て、聞いて、欲して、身につける時代は終わって
それぞれが好きなモノを、身につける時代になったということ。
昔は「自分で選びなさい」って言われることってあんまりなかったと思う。みんなと同じが一番楽で、安全だから。同じものを選んでおけば、だいたい間違いないから。
それが今や、年中さんの年齢で、自分で12歳まで使う鞄を決めなさいって言われる。
大変だな…、“個”の時代

黒を持つ女の子、赤を選ぶ男の子

ランドセル選びを始めると、近所の小学生のランドセルをついつい目で追ってしまう。
男の子は、無難な黒系が多い。黒っぽく見える紺や濃い緑も含めてだと思うが、ほとんど見分けがつかない。
女の子は、数年前からパープルがブームで、赤は本当に少ない。ピンクやキャメル系もよく見かける。
よく同じ時間に交差点で立ち話している女の子たちの中に、濃い茶色のランドセルの子がいて、それがすごく素敵な色だと思ってチラチラ見てしまう(不審者)。
自分で選んだかどうかは分からないけど、その選択は確かだと思った。高学年に見えるその子の姿が、凛としてて、かっこよく見える。

一方で、先日のランさんぽでこんな光景を見かけた。
男の子がじっと赤のランドセルを見つめてて、その横でお母さんが
「ほんとに6年生まで、飽きずに使えるの?」
と、困ったように聞き返している。
実際にあるんだ、こんなこと!と勝手にテンションが上がった。
親世代からしたら、男の子が赤のランドセルなんて?って眉根をひそめてしまいそうだけど、『戦隊ヒーローの赤が好きで、選ばれる男の子もいらっしゃいますよ』とお店の人は言うのだ。

理由はさておき、子どもには好きな色がある。
何かのこだわりだったり、たまたまその時好きなゲームやテレビの影響だったりする。
それを親が受け入れてあげて、6,7万円するランドセルを買ってあげられるか…。
その家族の方針であって、他人は何も言えないけれど、親にとっては難題だと思う。

うちの息子も、たぶん無意識に深い赤(池田屋のアンティークワイン)を選んだんだろうけど、気がついたらそれは阪急電車の色に似ているからだ、って理由が後付けされている。
実は阪急百貨店のランドセルには「阪急電車モデル」といって、電車のモチーフが散りばめられた、電車好きのためのランドセルがある。色もシックなマルーン色だ。
これを阪急好きの息子に教えないのはフェアじゃない、と思って「こんなのもあるよ」とカタログを見せたら、目をキラキラさせて
「すごい!阪急!1000系だ、9000系もある!ぼくはこれがいいなぁ、写真ついてるやつ!」
と第一希望を固めてきてしまった。
やっぱりね!いいよねマルーン色!お母さんも好き。でも、写真入りのはちょっとハデだから、こっちの1000系のシルエットだけのもよくない?
とちょっと誘導してみたが…、写真バーン!の魅力からは逃れられないようだった。

阪急のランドセルOnlineStoreより
阪急電車9000系PHOTO急行

まだまだ悩ましい。
でも悩むのが楽しい。
もうちょっとラン活というお高い買い物を楽しみたいと思うのであった。

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