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2023年9月に読んだ本

 こんにちは。

 9月も終わりになって、ようやく朝晩の冷えた空気に秋を感じられる今日この頃です。
 とはいえそんな空気に浸れるのも出退勤の途上だけと考えると途端に虚しさだけが残ってしまうのですが。

 そんな9月の1か月で読んだ本の記録です。


1. 教養として学んでおきたい哲学

 「哲学」に触れておきたい。そんな考えの中で手に取ったこちらの一冊ですが、最初のうちに「哲学は人生論とは違う」ということが述べられており、「哲学=人生論的な何か」と認識していた自分にはまずそこが驚きでした。
 思ってたのと違うかも、となりかけましたが一方で内容は非常に面白く、哲学とは何なのか・その歴史はどうなのか、といった概論的なところから、今哲学を学ぶ意義・現代テクノロジーと哲学についての考察といった、少し踏み込んだ内容までもが読みやすくまとめられておりました。
 哲学の歴史はその始まりとされるプラトンとアリストテレスの考えが、時代時代に切り口を変えて論じられてきているという説明は驚きでしたし、学生時代に記憶してきた、点と点でしかなかったそれぞれの人の名前が思想史という一本の線でつながっていくのはちょっとした感動を覚えるほど。また、数千年の時間が経ってもとどのつまり人間は同じ命題を考え続け、答えを探しているというのは、人間の(いい意味でも悪い意味でも)不変さを感じられました。
 総じて、なんとなく難しいものと思っていた哲学が身近に感じられ、その興味を掻き立てられるような一冊であったと思います。

2. コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか

 プロフにも書いている通りなんですが、私はコーヒーが大大大好きな性分でして、コーヒーに関わる様々なものに対しても興味関心が人一倍強い……と自負(?)しております。
 ということでほぼタイトルだけで手に取りましたこちらの本。なお、コーヒーに関する書籍といえば、以前、『珈琲の世界史』という本を読んだことがありまして……そちらは農業史・文化史的な側面からコーヒーを読み解くというこれまた面白い本で、私にとってはコーヒーに対する「理解」を深めるきっかけになった本でありました。一方でこちらは「科学」というタイトルでまた違った視点からコーヒーを学べそう、と読む前から期待大でした。
 ちなみに、読み終わってから気づいたのですが「科学」と「世界史」、筆者の方、同じ方でした。マジか。
 内容についてですが、期待以上に「コーヒーとは何か」についての知見に溢れておりました。生物学・植物学的なところから始まるのはもちろんのこと、人類史・文化史的な側面、香りや味についての科学的な分析から、果ては人体への影響を医学・統計学的に読み解くなど、まさしく「コーヒーのそのもの」を学べる一冊。コーヒーの美味しい淹れ方や豆の品種、焙煎の具合ややり方といった「飲み物」としてのコーヒーについての解説と比較すると、いわば「存在そのもの」としてのコーヒーについて解説した本といった具合でしょうか。
 正直言うと理系方面はからっきしということもあって、香りや味を科学的に解説したセクションについては「?」が頭の中で踊っていたのですが……
 概して、この本は、「コーヒーって何?」というともすれば抽象的な疑問に対しての解答・解説本であり、かつコーヒーの入門書のような一冊であったと思います。一方でコーヒーは、現在でも科学的にまだ分かっていないことが多く存在しているらしく、今後の研究次第でそこがどう解明されていくのか、今後の研究に期待が膨らみます。

3. 陽明学 生き方の極意

 中国古典思想についてはあまり明るくないのですが、孔子に端を発した儒教思想がその根底にあること、朱子学というのがしばらくの間広く受け入れられていたということくらいはおぼろげながら知っていました。
 本書が解説している「陽明学」というのは、その朱子学に対する批判の中から生まれた思想になります。朱子学と陽明学の違いとは、陽明学の開祖である王陽明はいかにしてその思想に至ったか、その思想の意味するところと現代社会にも通ずる考え方とは…といった内容です。
 筆者が語る通り、「陽明学」というのはどちらかといえばあまり知られている方の考え方ではなく、一般向けに解説されたような書籍も少ない模様です。しかしながらその考え方、いわば「理論に学び実践を通して身に着ける」といった姿勢は現代に生きる我々にも様々な場面で生きてくるのではないかと感じました。
 ただ、読んだ感想として、この本の大半は陽明学の考え方がビジネス、とりわけ経営層(と管理職)向けにどのように適用できるか…といった視点から書かれている箇所が多く占めており、仕事から離れた「生き方全般」に関しての内容を期待して読むと少しズレを感じるかもしれないなと感じました。一方で、仕事への姿勢や取り組み方に悩んでいる人にはおススメかと。
 自分としては陽明学そのものより、むしろ「王陽明」という人物の方に興味がわきました。理想に燃えながら科挙には何回も落ちる、僻地に左遷されたかと思えば軍事面で才能を開花させる、若い時に放蕩な生活をする反面身体は病弱、と波乱万丈というか破天荒というかそんな人生を送ったことが垣間見えるのが……。
 引用元が弟子との対話形式ということもあって読みやすいので、読書に不慣れな人にもおススメです。 

4. チョムスキー入門~生成文法の謎を解く~

 学生時代に専門で学んでいた言語学。今回は学び直しの意味も込めて、本書をチョイスしました。「入門」と書いてありますが内容としてはかなり専門的。しかしながら筆者の方が例文を交えながら丁寧に解説を加えてくれていることもあって、生成文法の理論をひとつひとつゆっくりと理解していけました。
 また、内容はただ理論の解説にとどまらず、生成文法の考えが辿ってきた歴史、理論上の問題点の指摘など、多岐にわたる視点から生成文法(というよりもチョムスキー氏の考え方)について切り込んでいる、と感じられました。
 正直、昔から論文・評論を読むのが苦手なのもあって、本書も読んでは立ち戻り、また読んでは少し戻りの繰り返しでなかなか読むのがしんどかったのですが……二度三度と読めば大枠の理解には至れる、というのは流石「入門」書だなと感嘆するものでもありました。
 最近はゆる言語学ラジオさんの影響なんかもあって、言語学に興味を持つ人もちらほら出てきたんじゃないかと勝手ながら思っております。そういった方にも、最初の一冊としておススメできる本なんじゃないかなと思いました。

おわりに

 今月は4冊読み終えられました。1週間に1冊のペースが早いのか遅いのかはよく分かっておりませんが、区切りもいいので今後も継続できればと。
 
 ちなみに今回紹介した4冊はすべてKindle Unlimited対象です。先月はPrime Reading対象だったので着実にパワーアップ(?)してますね。

 それではまた来月。


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