12月だからこそワタシがおすすめしたい冬の曲3選を語る
6回目のオンガクノイトマはテイストを変えて今すぐ聴きたい冬の曲3選を取りあげます。この投稿に関する前説は下記の記事をご覧ください。
概要
クリスマスが近づく12月。
あなたの中で聴きたい冬の曲と言えばなんだろうか。
冬をテーマにした曲でも様々である。喜びをイメージするもの、寂し気なものなど「冬」という単語で想像される音楽は様々。
そんな中でワタシがオンガクノイトマにて語りたい3曲について話してみたいと思う。
1.ワンダーランド/LUCKY TAPES
2.snowflake/Showmore
3.Christmas Scene/SawanoHiroyuki[nZk] の3曲をあなたに届ける。
ワンダーランド/LUCKY TAPES
バンドについて
LUCKY TAPESは、Vo,Key.高橋海、Ba.田口恵人、Gt.高橋健介からなる3ピースロックバンドであった。2023年7月、Ba.田口、Gt.高橋の2人が脱退し、Vo,Key.高橋のソロプロジェクトとして活動を続けている。
このバンドの作品はポップ、かつムーディーな音楽が多い。ロックよりポップというジャンルのほうが合致しているのではないかと考える。
公式サイトのLIVEページは今も2023年のまま。少し寂しく感じてしまうが、今後のソロ活動にも注目したいところである。
作品について
この楽曲は、「煌めき」という言葉が似合うのではないだろうか。
Vo,.高橋海の声の柔らかさ、ピアノの響きからクリスマスの輝く景色のなかでも柔らかい光を感じる場面が想像できる。
MVではルミネが『HAPPY HAPPY HAPPY END LUMINE CHRISTMAS 2018』キャンペーンのスペシャルコンテンツとしてクリスマス限定ドラマ『MATCH girls』を公開した(現在は非公開)。そのドラマに連動したMVとなっている。
冒頭、中盤、ラストに火が灯ったマッチのみを映す場面がある。
これはクリスマスの一日もしくは一夜の時間経過を表すものではないかと考える。
どれだけ辛く悲しく傷ついたとしても、クリスマスのこの夜だけは誰もが笑顔になれる聖夜になればいいのにな。
そんな夜があなたにも訪れますように。
と、語られているかのようだ。その想いに乗って、彼らの音楽が鳴り響く。
終盤にかけて音楽が盛り上がるとともにMVでは聖夜に笑う人々が映し出される。映像と音楽がフィットしているところも素晴らしい。
ぜひ、クリスマスの夜にほんのり煌めく街の灯りとともに聴いて欲しい一曲である。
snowflake/Showmore
バンドについて
ShowmoreはVo.根津まなみとKey.井上惇志の2人によるユニット。2015年にバンドとして結成されたのち、2017年9月から現形態での活動が始まった。
ワタシにとってこのユニットの作品は「艶やかさ」と言い表したい。非常にセンセーショナルな作品が多く、大人な色気を纏う根津の声には魅了されてしまう。
彼女らのcircusという楽曲は一切プロモーションがないにも関わらず一躍話題になったのである。この楽曲と共にShowmoreは知られることとなった。
本作品はこの説明文の内容に限る。人が集まる"都会"だがどこか心の距離を感じる寂しさがある、それが都会。そんな寂しさを個々に感じるからこそ人は集う。ミュージシャンたちの姿を映し出すことで伝えられているようなMVである。根津の歌声がこの楽曲を聴く私たちの胸を少し締め付けてくるよう気がする。
作品について
この楽曲ほどしんしんと降る雪が静かに積もる漆黒の夜、人がいないところで聴いてもらいたい。これほど胸を締め付けるものはないのでは、という楽曲である。だが、不思議なことに歌詞はとてもシンプル。
直訳をすればSnowflakeなので「雪の結晶」であるが、そこは意訳をさせてもらうことにする。
目の前で降っている雪の結晶を見た自分自身が呟くように書かれた歌詞。
ほんの4行の歌詞を繰り返すだけのシンプルな作りであるのに、Vo.根津の歌声の抑揚とKey.井上のプロデュースによりストーリーがあるかのような音楽性を見出されている。これがまた不思議な作品である。
そんなシンプルでありながら物語の情景が浮かぶような一曲をお聴きいただきたい。
Christmas Scene/SawanoHiroyuki[nZk]
アーティストについて
”劇伴”と呼ぶドラマ、アニメ、映画などの映像作品における音楽を制作する澤野弘之が2014年春から始めたボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクトである。
彼の手掛けた作品は数知れず。ワタシが彼を知るきっかけとなったのは2008年ドラマ『魔王』、2006年~2014年ドラマ『医龍 Team Medical Dragon』(1~4期)、2013年映画『プラチナデータ』といったとこである。
彼の作品のなかでも、『医龍』のBlue Dragonは格別である。
ワタシがぜひおすすめした女性ボーカルが入った音源は入手できなかったのが残念ではあるが、ドラマの劇中に登場するためドラマのサントラCDや実際にドラマを視聴してもらえるとご理解いただけるのではないだろうか。
彼の作品の第一印象は「緻密さ」だと考える。1つずつの作品における音の粒度が極めて細かい。そして、劇伴を担当するアーティストであるからこそ映像作品に違和感のない音楽を作り上げているところが魅力である。
先に紹介したBlue Dragonに関して言及すると、主人公の軸の強さや勇ましさというものを冒頭のスネアドラムによって表しつつ、ヒューマンドラマにも近い劇中のキャストによる感情のぶつかりを弦楽器で表現。医療ドラマの繊細な面を表したかのようなピアノの旋律、コーラスが響く。そして、すべてのパートが合わさることでの音楽の壮大さ、奥行き感が見える。
他の作品においても、映像作品に違和感のない音楽を繰り広げる彼の音楽に注目していただきたいところだ。
作品について
今回は彼のプロジェクトのなかで作られた楽曲を選ばせてもらった。本楽曲が入っているアルバムジャケットも非常に可愛らしく、魅力的である。
偶然、Spotifyで出会ったこの楽曲。冬になれば無性に聴きたくなる。
冬の夜。
ワタシの昔の職場の前には幅の広い車道が通っており、夜になると人がいなくなって信号だけが煌々と光る。そんな場所で信号が青になるのを待っている間に流れたこの曲は今でも何故か記憶に残っている。
この作品は「透明感」と言い表したい。
冬の煌めきのなかでも銀や寒色系が音楽のイメージに似合うのではないだろうか。1つめに紹介したワンダーランドよりもあまり色がなく、光による白のような色の場面が想像できる。
しかし、歌詞はとても彩りのある歌詞である。
クリスマスの情景を言葉で表している、まさにChristmas Sceneなのだ。
聖夜に子どもたちが喜ぶ姿が想像され、歌詞に使うワードも非常に可愛らしい印象を受ける。
この歌詞は特に子どもたちの夢が詰まっていると感じた。
彼らの願いが手をつなぎ、冬の寒いなかの吐く白い息で夢が”咲く”と表現されている。SnowBellと咲くを結び付けて歌詞にすることは考えつかないような発想であった。
しかし、咲くという言葉からイメージされるオープンでキラキラと輝くイメージとSnowBell(=ベル)という人を幸せに導くものが合わさること"喜び"を表現しているのではないかと考える。
実際、クリスマスの飾りに用いられるベルにはイエスキリストの誕生日を人々に知らせる「喜びの音を鳴らすベル」という意味があるそうだ。
本楽曲はリリースされた後、別の女性ボーカル(SennaRin)との演奏も披露されている。こちらは原曲よりキーを下げ、しっとりとしたChristmas Sceneに仕上がっているので聴き比べていただきたい。
12月だからこそワタシがおすすめしたい冬の曲3選はいかがでしたか。
ぜひ、クリスマスが近づく今こそ聴いて欲しい楽曲たちを紹介いたしました。