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テクシーさん。

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一緒に帰りませんか? それがあなたに必要なら。 依頼人の人生が帰り道の途中でこぼれ出す。 たまに書きます。 全て想像のお話。
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2016年12月の記事一覧

テクシーさん。#7

-ゆびきりげんまん-

ダメダメ。

絶対ダメだよ。

梅田の街を駆け抜けながら私は自分に言い聞かせた。

警察官に追われている女子高生を連れて一緒に逃げるだなんて、誰が見たっておかしい。

追われている理由もわからないし、今日初めて会ったし。まだ自己紹介だってしてないし、顔が超タイプだし。

それよりrumi? お客様だったなんて、そりゃないよ。

「待ちなさい! そこの二人! こらー!!」

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テクシーさん。#6

-rumi-

待ち合わせの時間は5分過ぎた。

阪急梅田BIGMAN前。

ここは梅田での待ち合わせの定番スポットである。ターミナル駅の中心にあり、JR、私鉄、地下鉄が交差する雨風が防げるスポットは、金曜日の夜ともなれば老若男女が肩をぶつからせながら歩き、待ち合わせをする人々で溢れている。

平日の24時前でも帰宅する会社員などが多く、人通りは多い。

わかりやすいように"紀伊国屋書店の入り口ユ

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テクシーさん。 #5

-ひと束ねの髪と数珠-

kaoriは扇町公園の西側にあるワンルームマンションに住んでいる。

関西テレビ社屋を望む阪急東通り商店街を抜け数分の場所だ。

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「.....またいる。あの男。」

kaoriが振り返ってそう呟くと、また前を向きゆっくりと歩き出した。

商店街を抜けた通りにタバコ屋がある。

店の前に目をやると自動販売機に寄りかかるように立つ30代くらい

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