人生の区切りを迎えて#08
退職した後の人間関係について
■つながる人つながらない人
前にも言ったが、人生で何度も引っ越しをしているので、友人関係もリセットされることが多い。
自分からリセットするつもりはなくても、必然的に連絡したり、会ったりすることがなくなってしまうと、自然消滅的に関係性がなくなっていく。
それでも幼い頃は、そういう家庭環境を恨めしく思い、何度もやり場のない怒りを親にぶつけたりもしたが、成長するにつれて、自分自身で環境を変える決断をするようになり、必然的にそのような事態が発生することになる。
そうなると人間関係はどうなっていくかというと、つながる人はつながるし、つながらない人はつながらない、という当たり前のことが起きる。それは環境が変わらなくても同様で、単に学校のクラスが変わったり、人事異動で部署が変わったりするだけで、そのようなことは頻繁に起こっている。
今はLINEなどのSNSがあるから、むしろ完全に行方不明などと言うことはなく、むしろ断ち切りたい人間関係を続けざるを得ないなんて矛盾も起こるようになってきた。
■会えない時があっても変わらないもの
こうして自分が退職をして、毎日が日曜日のようになると、必然的に余計なことをしたくなるし、これまで見ていなかったものに気を止めるようになるものだ。
先日、普段は気にもしないある人材バンクから、私の経歴を見ている人がいます、とメールがあった。大抵の場合、こういうメールは他のものと一緒に削除してしまうものなのだが、なぜか気になって開封してみた。すると、20年ほど前に一緒に仕事をして、年賀状だけやり取りしていた方が、私の経歴を見ていてくれたのだった。
思わず「えっ」と叫んでしまった。
20年も会っていない私に興味を持ってくれているなんて、そんな奇特な方がいるのかと思うと、どうして、何で?どうして?という興味の方が先に立ってしまった。
当時、一緒に仕事をしたメンバーは何人もいたはずだし、特別な関係性があったとは思わなかったが、私もその人の生き様というか、考え方や価値観に興味があったこともあり、その後も年賀状を欠かさずくれていたことで、私にも少し興味を持ってくれているのではないかと嬉しくおもっていたのだ。
早速、私からSMSを入れたところ、先方からすぐにリアクションがあり、来週に会うことになった。この歳になって、人と会うことにワクワクするということもないので、何となく自分の中の変化というのが、こういうイベントによって確認できることも分かって嬉しかった。
■これからつながっていきたい人
退職直後ということもあり、いろいろな人から声をかけてもらえる機会もまだあるが、本当の関係性が続いていくかどうかは、これからだと承知している。
上司であったという利害関係も、一緒に仕事をしたという関係も、かつての仕事仲間たちも、それぞれの事情を抱えながら、これから歳月を重ねていくことであろう。家族のことや会社のことなど、自分らしく生きたいと思いながら、そういうことは二の次になってしまう人も多いだろう。だから、現役の頃のように、自分と同じ状況だと思うのはやめなければならない。
それでも、これからは自分から何かしらのアプローチができるようにだけはしようと思っている。それは、これまで何もアクションを起こしてこなかった私に、こうやって声をかけてくれる人がいるということを考えた時、誰かから声をかけてもらえることが、こんなに嬉しいことだとは思っていなかったからだ。
おかげさまで、現時点では、私は比較的に自由に過ごすことができる環境にある。そういうことを目指して仕事をしてきたのだから、当たり前と言えば当たり前だが、なかなかそういうことが許されない人たちも多いはずだ。だから、まずは私がその先鞭をつけるべきかな、と勝手に思っているだけ。
嫌な方は会いたくないと、はっきり言っていただけた方が、私も憂いなく前に進むことができるので、よろしくお願い申し上げます。
———編集後記———
何十年と会っていない人に
下の名前で呼ばれた時
思わずその時代の状況が目の前に広がる
経験をした。
人間の記憶は曖昧だし
自分の目線以外の見える景色というのは
決して自分では再現できないため
とても貴重な体験だった。
まさに父親が亡くなった時
その方はまだ小学生で
父親同士が仲の良い仕事仲間だったから
彼もその当時のことを鮮明に覚えていたのだ。
見えていないところで人に支えられ
そして今の自分がここにいる奇跡に
心から感謝している。
果たして私の存在は
そのように他人の人生に奇跡を与えることが
できたのだろうか。
そう考えるとこれまで自分のことしか
考えてこなかった罪深い人生を後悔すばかり。
せめてこれからは
少しでも誰かのためになるような言動が
できればと
遅ればせながら思うのでありました。
#人生の区切りを迎えて
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?