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1/4足りないことが生み出したキセキ

少し前にパリオリンピックが終わった。
東京オリンピックから3年余りでの開催で、あっという間の出来事のように感じる。

連日のようにメダルを獲得したニュースが流れてきたが、あまり注目されていなかった競技に成果が現れている。

例えば、フェンシングだ。
男子は、個人エペ金メダル、団体フルーレ金メダル、団体エペ銀メダル
女子は、団体フルーレ銅メダル、団体サーブル銅メダル

男性のコーチは、東京オリンピックでフランスを団体金メダルに導いたエルワン・ルペシュー氏 。東京大会後、現役引退する意向を知った日本協会はすぐにコーチ就任を要請するという早業だ。その動きの早さにただただ驚くばかりで、3年後にメダルを獲得するのに何が必要か、という合理的な判断は見事としか言いようがない。

体操で言えば、内村航平が引退後、中国の体操のコーチになるようなものだから、その凄さが分かると思う。

この動きが戦略的だと思うのは、お互いの利害が一致しているということ。日本フェンシング協会は、東京オリンピックまでに準備したことを無駄にしないでメダルを狙うには、日本チームの弱点を補わなければならない。コーチにしてみれば、その方法論が自分の戦略と一致して、かつメダルを狙える条件が揃っていなければならない。

そう考えると、直接、対戦して、強みも弱みもお互いに知っていることが必要、となれば、今回の組み合わせはお互いに納得できるはず。

これはビジネスも同じこと。知り尽くした相手と手を組んでいくことは、競争を繰り返すよりも無駄がない。だが、どちらかが頭を取ろうとした瞬間、不合理かつ生産性のない動きがスタッフたちを疲弊させる。そこでトップの度量が試される訳で、目的への最短ルートに辿りつかない例が後をたたない。

近年のオリンピックは、純粋に競技に対する技量を競うだけだなく、本番に至るまでのプロセスこそが実績をもたらすことは言うまでもない。選手としては実力者だが、指導者として優れているかは、必ずしも一致しない。

だからこそ、冷静に状況を判断をできる人が組織を統括する立場でいなければならないと思う。「俺たちの頃はなあ」と言う言葉が連呼されるようでは、チームは崩壊してしまうだろう。

体操では岡慎之助選手が個人総合、団体総合、個人鉄棒で金メダル、個人並行棒で銅メダルと、新たなヒーローとして躍り出た。期待されたバレーボールは、男女ともメダルに届かず、柔道団体戦もフランスに惜敗し、東京のリベンジはならなかった。

思うようにいかないのが人生。
思った以上のことが起きるのも人生。


準備が足りなかった、のではなく、一年準備期間が短いことを上手く利用したチームが成果を生んだのでないだろうか。

足りないことも、悪いことばかりではない。

#いま時のジブン

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