この先ふたりは
今回は、小谷杏子先生の作品
「大正偽時恋愛物語」を読みました。
私は、なんか暗く重く感じます。
過去に大金持ちの家に生まれた
絹香が、その後家が没落して
悲運な人生を送り、
幼少の時から親の愛情に無縁でありながら
大金持ちの御曹司の長丘敦貴
と運命的な出逢いをしてその後の二人の
生活について書いてあります。
時代は大正時代です。
その時代の大金持ちの世界です。
とても封建的な感じです。
でも敦貴はとても優秀なビジネスマンです。
絹香に対して絶対的な権力があります。
ですが感情が無いと言うか、冷静過ぎます。
絹香も自分の生い立ちを悲観して、
素直でないと言うか感情をあらわにしません。
そういう二人ですが、それもまた
恋愛に発展するのだなと思いました。
大正時代の横浜や東京や鎌倉の別荘の様子が
細かく書かれています。
鎌倉の別荘は、この時代の大金持ちの
領域の情景が、映じています。
長丘家の使用人も登場します。
嫉妬や妬みが渦巻いています。
暗い雰囲気です。
唯一明るいのは、紗栄子です。
彼女は、幼少の時から両親の愛情に
包まれて育ちます。
と言う事は、明るい性格になるには
愛情で育てられないとなりません。
そんな感情を表面に出さない、
絹香と敦貴の恋愛は、冷たく暗くて
硬い恋愛です。
現代風のワクワクドキドキ感が時代のせいで、
ないのでしょうか。
私は、こんな恋愛したことがない、
いや大多数の人もないはずです。
恋愛の形に定義はないと言う事です。
この二人は、この先行方はどうなるでしょう。