(短編小説)夕焼けはいじわる
スーパーを出て、買い物袋を前かごに押し込む。飛び出した長ネギをハンドルに添えるように立て掛けて自転車の鍵を開けた。
「よいしょ」
ペダルに左足を掛けて漕ぎ出しながら自転車を跨ぐ。晩夏の夕方の舗道を家へと向かうとすぐに額に汗が滲み始めた。
赤信号で停まった時、夕日が強烈に射して目が眩んだ。
自転車の角度を変えて横を向くと、一直線に伸びる長ネギの影が見えた。今来た道を戻る方へ真っすぐに。
いつの間にか空はオレンジ色に染まっていた。
夕焼けはいつも意地悪だ。
今沈んでいるだぞ、と