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【ヴェスタリアサーガ】足さないゲームはとっつきやすいという話

先日加賀氏のTwitterでヴェスタリアサーガ完結編の制作発表とそれに伴う制作ツールの習作として外伝のリメイク版(β)が公開された、ということで長らく積んでいた外伝シルヴァビルヒの聖なる剣(リメイク前)をプレイしました。

1. 概要

フリーゲームにおいては有名な部類に入る本作ですが、一応知らない人向けに大雑把な解説をしておくと、ヴェスタリアサーガとはFE暗黒竜~トラキア等の開発者で知られる加賀昭三氏が中心となって制作されたフリーのSRPGです。

ちなみに外伝と銘打ってはいるものの本作は実質的にはⅠの正当続編であり、全三部作から成る内の第二部の物語に当たります。ストーリー的には紋章の謎2部とティアリングサーガを足して2で割った感じでしょうか。

加賀氏の作るゲームなので当然ながら難しく、初見ノーリセプレイはまぁまぁ地獄です。ノーリセはⅠの時に痛い目を見たのと、SRPGは久々ということもあり今回はWikiありリロードあり、吟味はテコ入れ程度のヌルプレイで通しました。

マップのギミックを把握している前提でならノーリセもやぶさかではないのですが、「初見」となるとさすがに覚悟が必要になりますね。5ターンごとのセーブを活用するリロード前提の作りなので初見殺しが半端ないです。

※ちなみにリメイク版では1ターンごとにセーブ出来るようになり難易度が大幅に緩和された模様

https://twitter.com/Ks_vestaria/status/1471086914380120066




2. モブの祭典

加賀氏のゲームといえば敵キャラが仲間になるかどうかがおおよそ顔で判断出来ることでお馴染みなんですが、
前作のⅠは所謂「仲間になりそうでならないモブキャラ」の非常に多い、加賀ゲーらしからぬ一面を持ったゲームでした。

それ故初見プレイ時にはだいぶ煮え湯を飲まされた苦い記憶があるんですが、外伝ではそんな彼らが大挙して仲間になってくれるのが面白いですね。

暗黒竜で言うところのシーザ・ビラク・ザガロ・ウルフ・マチス・トムス・ミシェランみたいな地味なツラしたヤツらがこぞって参戦してきます。

個人的に暗黒竜の面白さは「どのキャラを使ってもクリア出来る」という自由度の高さに尽きると思っているので、このへん非常に私好みな調整です。

下のベイモンクのようにⅠから同名のまま設定だけ弄って参戦してくるキャラもいればモブ出身の分際でストーリーの深い所まで関わってくるようなキャラなんかもいて、単純な使いまわしではあるんですが前作で消化不良だった何かが解消された気がしてなにかスッキリした気分です。

ヴェスタリアサーガⅠのベイモンク(自称”疾風の”)
ヴェスタリアサーガ外伝のベイモンク(田舎の用心棒)

この手の一人用のゲームは対人ゲーと違って「勝つ」必要がないので、こういうパッとしないキャラの方が育てがいがあってやはり楽しいですね。

特に今作はレベル上限が30且つクラスチェンジでレベルがリセットされないベルサガ方式になってキャラバランスが非常に良好になりました。
CCボーナスも控えめで下級職からの叩き上げと上級職スタートのキャラとで仕上がりに大差がなく、聖騎士ジェイガンのような一目で分かる育ててはいけないキャラが存在しないので従来のシリーズに比べ育成における窮屈さが大きく緩和されています。

見るからに序盤のお助けキャラっぽい上級職野郎も必要なステータスはしっかり伸びる

やってて露骨に成長率が悪いと感じたのはエズレルぐらいですかね。
完全にマルジュの再来でした。

とにかく魔力と速さが上がらない。
異世界転生したらまた魔力成長20%だった」みたいな金髪のガキです。

スキルと専用魔法は強力ではあるもののステータスの伸びがあまりにもビラクだったんで中盤吟味で多少テコ入れしたんですが、序盤から参入してくる他の魔道士が優秀なこともあってそれでも使いにくかったです。ケチらずもっとシャインビットパなしてたらもう少し違った感想になってたのかな。

大魔道士マルジュさんの金言(※魔力成長率20%)

あと使いまわしといえば前作でフリストの女公爵が某ゾーアの宝石の没グラの再利用だったことを思い出すんですが、これは知る人ぞ知る所ですかね。

初見の時こいつだけ妙に顔グラの解像度が荒くて違和感が凄かったのを覚えていますが、ある意味では存在感が増してた気もするのでまぁ結果オーライでしょう。




3. 足さないゲームは遊びやすいという話

そんなヴェスタリアサーガですが、その高い難易度とは裏腹にゲームの作りそのものは実は圧倒的にとっつきやすかったりします。

それというのもこのゲームの基本システムが「ティアリングサーガ」ベースで止まっていてそこからほぼ何も足していないからです。後期FEにおいて半ば標準システムとなっている「三すくみ」や「担ぐ」はヴェスタリアサーガには存在しませんし、闇夜の索敵マップや隣接ターン数依存の面倒な支援要素もありません。

そしてそれらの仕様がオミットされたことでゲームがつまらなくなったかといえば、当然ながらそんなことはないわけで。

例えばファミコンのコントローラには十字キーとボタン4つしかありませんが、優れたアクションゲームの中にはこれぐらいのボタン数で操作が間に合うよう設計されているものが実は多かったりします。

これは「ボタン数の多さがそのままとっつきづらさに直結する」ということを作り手側がよく理解しているからで、比較的新しめのタイトルではDownWellなどはいい例でしょう。

このゲームは良作ですが十字キーと1ボタンしか使いません。

ACTとSRPGでジャンルは違えどこの点に関しては似たようなもので、
過ぎたるは及ばざるが如しというやつですね。

当然ながらシステムに関しては好みもあるので自分の意見が正しいなどとは思ってはいませんが、個人的にはティアリングサーガの時点でSRPGのシステムとしてはほぼ完成されていると思っているのでこのままシステムは必要最小限に留めてくれた方がありがたい、というか食指が伸びやすいですね。

弱武器や弱兵科の生まれる温床になりやすいので三すくみ不要論者です。

現在製作中の完結編は有償頒布になるそうですが、営利目的でない以上商業作品のように無理に目玉となる新システムを搭載したりする必要はありませんし、是非とも現状の路線のままいってほしいものです。


オプーナちゃんは生まれつき心臓が弱く 一カ月以内に心臓移植が必要です しかし移植には100万×7140円という莫大な費用がかかります オプーナちゃんを救うためにどうか協力をよろしくお願いします