IVMとIVFの出生児の比較
IVM(In Vitro Maturation:未成熟卵子の成熟体外培養)をご存知でしょうか。
不妊治療においては、PCOSの方に対して使用される手法で、
未成熟な卵子を体外に取り出し、できるだけ母体内に似た状況で、
成熟培養します。
PCOSについては以下で確認下さい。
そこで成熟した卵子に対して顕微受精を行っていく、という治療です。
この治療は妊孕性温存の際にもよく使用されます。
時間が無い時の単純なIVMもありますし、卵巣凍結の際に、
摘出した卵巣の表面にある未熟な状態の卵子も一緒に採取して、
成熟培養して、卵子凍結/受精卵凍結を行う、という具合です。
今回は、このIVMに関する「出生児」の論文を紹介したいと思います。
妊娠・出産という成績も大変重要ですが、産まれたその後というのも大変重要な要素ですよね。
IVMは胞状卵胞数(AFC)が多い女性にとって、有効な卵巣刺激のアプローチであることはこれまで知られてきていますが、その後の出生児の評価までした研究はまだ少ないです。
AFCやAMHについては以下で紹介しています。
今回の研究においては、体外受精の適応で両方の卵巣でAFCがが24個以上の女性(PCOS疑い)の患者さんをIVFかIVMに273名ずつ、無作為に分けています。
そして、2年間に渡る追跡結果を比較すると、IVM対IVFの間に差を認めなかったと報告しています。
つまり安全な手段と考えられるということです。
産まれてくるお子さんのことまで考えて、安全といえるというのは歴史のある医療でないとできませんよね。
素晴らしい内容だなと思いました。
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