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卵胞期の子宮内膜スクラッチ

子宮内膜スクラッチについては昨日紹介しました。
そこでは肯定的な論文を紹介しています。

今回は否定的な内容についても紹介しています。

Follicular-phase endometrial scratching: a truncated randomized controlled trial
S Mackens et al.Human Reproduction、Volume 35、Issue 5、May 2020、Pages 1090-1098

テーマは、卵胞期に子宮内膜スクラッチを行うことでの治療効果はあるのか、というものです。
ちなみに昨日紹介した肯定的な論文は黄体期という時期に内膜スクラッチを行っておりますので、スクラッチと言っても全くの別物とお考えいただければと思います。

研究期間としては、2014年4月から2017年10月までに行われたもので、
体外受精-新鮮胚移植を試みた200人の女性(スクラッチを行った100例と行わなかった100例)を対象としました。

中間分析期間に、有害事象の確認を行った際、スクラッチを行った方々で流産率が高いことが確認されたことから、この研究は中止になっています。
実際に、スクラッチをした83人中43人が妊娠、10人が流産しており、
スクラッチをしなかった84人中40人が妊娠、3人が流産とのことで、確かに大きな差があるのは事実です。

卵胞期に内膜スクラッチを行い、直後に移植というのはリスクがあるのではないか、というのがこの論文の示唆するところですね。

もちろん、もっと多くの方を対象にやらなければ本当のところはわからないですが、一口に内膜スクラッチといっても時期や方法によって、このように賛否両論があるということはご理解いただきたいなと思います。


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