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日本の論文報告②PFC-FDの卵巣注入に関する報告(IVFなんばクリニック)

先日、日本の論文紹介をさせていただきました。

今回、同じ雑誌の中からの論文を紹介させていただきます。
注目されているPFC-FD療法についての症例報告です。

まず、PRP療法というのがあって、それの上位互換だと考えられるのがPFC-FD療法です。以下のnoteを参照ください。

そして、特に注目を集めるのが、卵巣機能の低下症例に対するPFC-FDの卵巣注入です。これも以下noteを参考にしてください。

このPFC-FDの卵巣注入に関しての症例報告がなされた論文を紹介します。

卵巣予備能低下症例3例に対するPlatelet-Derived Factor Concentrated Freeze Dry(PFC-FD) 療法

矢嶋秀彬ら.日本受精着床学会雑誌 39(2):274-281,2022

PRPに比べて、PFC-FDは保存期間が6ヶ月あるため、柔軟な治療計画を組める点が利点です。

PFC-FDの卵巣注入を行うには、当然超音波下で卵巣の位置を特定している必要があります。

しかしながら、卵巣予備能が低下している方はこの位置の特定が困難な方も含まれます。卵胞期にはうまくできないこともあるわけです。
そのため、採血したその日に作製し使用しなければいけないPRPとは極めて相性が悪いと思われます。

今回の報告では、報告者の方の施設で半年間凍結胚が得られなかった症例に対してPFC-FDを実施しているとのことです。

症例①
38歳 AMH:<0.01ng/ml →PFC-FD投与後4周期目でMⅡ卵子を獲得

症例②
35歳 AMH:0.05ng/ml→PFC-FD投与後4周期目でMⅡ卵子を獲得

症例③
35歳 AMH:0.11ng/ml→PFC-FD投与後2周期目でMⅡ卵子を獲得。3周期目でGrade3、6細胞を凍結。

まとめるとこのような結果になっています。
半年間凍結ができない、というのを想像してみていただくと良いと思いますが、かなりシビアな状態であることがおわかりいただけます。

いきなり妊娠した!というような夢のような結果が届くわけはなく、
これでも前進しているということですね。

注入の時期や量、方法などもまだまだこれから検証が必要ですし、課題は多くありますが、提供卵子を用いた治療が行えない日本においては、
早発卵巣不全のような方は治療・妊娠する方法を見出すことさえ困難です。

そうした意味で、この治療がいかに画期的で、注目されているかおわかりいただけるのではないでしょうか。

今後、より多くの症例数での検討が必要になっていきます。

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