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【#3】思い込みがコワイ固有名詞

前回は、もっとも大切な見直しのポイントは「数字」ということで、
日にち、時間、金額、人数などの数字が合っているか、まずは「数字だけ」見直すことをお勧めしました。
文章のテクニック以前の初歩的段階でのミスは、書く方にとっても「そんなこと間違えるはずない」ですが、読む方にとっても「こんな簡単なこと間違えるなんて」につながります。「この人の書いていることは正しい」と信頼してもらうために、今日も「わかっちゃいる」けど大事なポイントについて話します。

固有名詞、正しく書けていますか?

数字の次にチェックすべきなのが、「固有名詞」です。

人のお名前、間違っていませんか?
「岡村」さんを「岡本」さん、とか、そういう間違いもよくあります。
「え、そんなの間違いようがないでしょ」って思うかもしれませんけど、人間、思い込みってコワイです。私もよくやります。ほんと、コワイです。
コピペして最初だけ「A様」を「B様」に直して、
Bさん宛なのに文中は「Aさん」のままになっていること。これもよくあります。

他に、たとえば、「沢井」さんか「澤井」さんか、という旧字体の問題や、
「渡辺」さんか「渡邊」さんか「渡邉」さんか「渡部」さんかという異体字の問題も。異体字がいくつもあるときは正直面倒に思いがちですが、家の歴史や縁起の良い字画を大切にしてその漢字を使っている方も多く、こちらが勝手に新字体に変えるのは失礼に当たります。パソコンで変換できないものもあり対応できない場合もありますが、その方の気持ちになって考えましょう。

住所、間違っていませんか?
県庁所在地、といいながら、間違った市の名前を書いていませんか?
浦和市と浦安市、結構間違える人多いですが、埼玉と千葉で全然違うところです。茨城と茨木なども関東と関西ですしね。

「そんなの間違えない」「一度も間違えたことありません」という方、
素晴らしい! 正確に書ける、覚えているというのは、本当に素晴らしいです。
でも、見直すときは、一旦「自分は間違えない」という気持ちを、脇に置いておきましょう。

私は校正のお仕事もしていますが、校正とは「どこまで自分を疑えるか」が勝負。少なくとも、「人間は間違えるもの」「錯覚するもの」「思い違いするもの」と思ってやらなければ務まりません。
「あれ、これでよかったかな」とちょっとでも思ったら調べる、そのくらいでちょうどいいと思っています。因みに、書いてあることが間違っているかどうかだけでなく、不足した情報を類推して、書いていない必要なことを指摘するのも校正の仕事です。

最後に。実在の人物だけでなく、小説の主人公の名前なども、ここが間違っていると説得力が半減します。…と言いながら、既にワタクシ、やっちまいましたよ。「パトロンヌ」で(恥)。こっそり個人メールで知らせてくれた友人に感謝です。
言うは易し、行うは難しですが、お互い頑張りましょう!


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