歩く太陽が下を
緑色のドレス、に身を包んで彼女はハイヒールをコツ、コツ、と鳴らしながら長い螺旋階段を降りていく
月から繋がるその階段は降りたとこから消えていく
うさぎたちに「サヨウナラ」を言うのを忘れたわ
でももう戻れないから上に向かって「じゃあねー!」と空気を揺らして叫ぶ
もう会えないあの子たちは今日もお餅をついてるのだろうか
星の光のランタンが螺旋階段を照らしている
ずっと下、とっても遠くで誰かが私を呼んでるような気がする
「あなたはだあれー?」と聞いてみても返事はない
私ひとり
コツン、コツンと踵が鳴る
螺旋階段は終わりが見えない
「あっ!」と叫ぶ
うっかり足を滑らせて
もうダメかもしれないと目を瞑る
そっと目を開けると
螺旋階段はすべり台に変わっていて
グングンと下へ向かって進んでゆく
そうしてついに終わりが見えて
長くてまあるい竹の中
私すっぽりと包まれた
なんだかとても眠たい
あれはとっても長い螺旋階段ね
今はここで眠ってしまおう
誰かが見つけてくれるその日まで
そうして眠りについたら私
きっと今よりずっとちいさな女の子になる
それでも今度目が覚めたなら私は
歩く太陽が下を
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