食品成分表(八訂)がめっっっちゃ使いづらい!

栄養士なら知ってて当然だが、一般の人にはほとんど知られていないすごい書籍。【日本標準食品成分表】というものがある。

ざっくり紹介すると

  • 一般的に食べれられている2,478 種類の食品(※)の栄養素を収載
    (
    ※調理形態含む)

  • たんぱく質,脂質,炭水化物のほか、各種ビタミンやミネラルも細かくデータが載っている

  • 文部科学省も携わっており、栄養士のバイブルになっている

といったスーパーすごいものだ。


栄養士の業務といえば、なにが思いつくだろう?
おそらく病院などのシーンで肥満体系の人間にカロリーの摂りすぎを口酸っぱく指導している姿を思い浮かべるのではないだろうか。
これも主たる業務なのだが、その食事にどのくらい栄養が含まれているかを求める”栄養計算”も主たる業務だ。

食品成分表はこの栄養計算をするためには無くてはならないため、栄養士のバイブルとなっている。

この本だが、5年に一度改定されており、2020年12月に改訂が行われた。
これより先は栄養士への情報提供とその共感を得るために記述するため、一般の方には理解できないと思うが、最後に1つ大事なことをお伝えしたい。

栄養士は、あなたが食べたものをなるべく正確に数値化できるように頑張っています。

一般の方はここでさよなら。
興味があれば成分表買ってみてください。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////

ここからは僕が調べた中で八訂の使いづらさについて記載したい。
なお記載内容はすべて僕の解釈であり、100%理解していない人間が書いていることを前提に読んでほしい。

結論:利用可能炭水化物がとにかくわかりづらい

七訂にも登場していたが、八訂になり炭水化物に変わる主要項目として記載された。

ただ、これがとにかくわかりづらい。
解釈から栄養計算への応用から兎にも角にもわかりづらいのだ。

八訂を開き、下の画像を見たときには驚愕した。

なぜか"3つ”項目があるのだ。

過去の成分表では炭水化物は"炭水化物"としてひとつだったし、脂質も"脂質"として1項目であった。

またそれぞれに数値が記載されており、栄養計算にはどの項目を参照すればよいのかすぐにはわからない。
まずこれが一つ目の使いづらさだ。


続いて、栄養計算に用いるべき数値に*マークがついているが、2,478種の食材ごとにこれを確認するのは非常に煩雑であることがあげられる。

僕が学生時代のころは手計算で行っていたが、今の成分表を用いて手計算することは不可能だと感じる。
もちろん現在は栄養計算ソフトを用いて対応しているが、実際この*マークに対応していないソフトがあることも事実である。

この*マークが煩わしい…

ではそもそも、何故この*マークが必要になったのか?
それは、新たに収載された「利用可能炭水化物(単糖当量)」がすべての食材に対応していないためである。

この項目は八訂の目玉といえるものであり、人体に吸収される栄養量に最も近いものと考えられている。

本来であればこの項目を用いて全て計算できれば良いのだが、残念ながらこの数値が求められていない食材が多数ある。
その場合、七訂から登場していた「利用可能炭水化物(差引法)」を用いて計算することが推奨されている。
まさにここが栄養計算をあやふやにしてしまっている要因だと考える。

栄養計算ソフトのところでも触れたが、*マークが表示されている項目を絞りだせるものもあれば、絞り出せないものもある。
使用するソフトは施設や個人の予算によって決まるため、ややもすればそれぞれで数値がぶれることになる。
この整合性を問われたとき、どれか一つが合っているということは難しい。
何故なら、すべてが八訂に記載されている数値を用いているためだ。

もう一つ踏み込んで考えると、この誤差を気にする必要があるか?だ。
僕としては必要あると考えている。


八訂の*マークがついているものを例に挙げるが
『和牛,かた,脂身付き,生』は、単糖当量の0.3gをエネルギー計算に用いているが
『和牛,肩ロース,脂身付き,生』差引法の4.6gを用いて計算されている。

もう一つ例を挙げると
『乳用肥育牛,リブロース,脂身,生』差引法の3.9gに*マークがついているが
『交雑牛』の同部位では単糖当量に*マークがついている。

肉類の場合、単糖当量で見ると限りなく0に近い値になるが、これが類似した部位で異なったり、品種で異なることはとても理解が難しい。

このほかにも
・食事摂取基準とうまく連動できていないこと
・メーカーが製造している商品の炭水化物は「差引法」で求められていること
なども八訂が"先行しすぎていて”使いづらいものなってしまっている理由だと考えている。

今回のことから学ぶことは、多数が使う所謂マスタデータには解釈の余地を残してはいけないことだ。
そうしないと、ルールが決まらずあやふやなものになってしまう。

長くなってしまったが、5年ごとの改定といわず、1年ごとに単糖当量のデータを収載していただき、一刻も早く解釈の余地をなくしていって欲しいと願っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?