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【mySugr】ゲーミフィケーションを用いた患者目線の糖尿病管理

 糖尿病との付き合いは簡単ではない。
糖尿病は、自覚症状が初期のうちはなかなか現れず、糖尿病合併症が起こってからはじめて糖尿病の怖さ、血糖コントロールの重要性に気づく場合が多い。
その後、毎日続く厳格な血糖値の管理。副作用のリスクや毎日の服薬・注射といった煩雑さ、そして何よりコストを要することは患者にとっての負担となる。
そんな糖尿病の管理を少しでも楽にしたいと、実際の糖尿病患者が作成したアプリ、それが「mySugr」だ。

“Taming your diabetes monster”

(シュガーモンスターを飼い慣らす)

mySugrは、患者が、糖尿病と向き合うことを少しでも楽にするために、ロシュDC株式会社によって日本では2021年にリリースされ、全世界では350万人が利用するアプリとなっている。
mySugrでできることとしては、次のようなものがある。(一部有料)

  • データ入力

  • 一括管理・HbA1cの表示

  • サマリーの表示

  • 記録の共有・レポートの出力

  • 血糖測定リマインダー

  • 複数測定器との同期

そしてこれらの機能に加えて、何よりも大事なのは、「シュガーモンスターを飼い慣らす」という、楽しみながら血糖管理ができるという点だ。
ユーザーが血糖値を記録した際に、モンスターの表情が変わり、血糖値が高い場合にはモンスターが痛がったり、逆に薬が効きすぎた際に生じる、血糖値が低い時には、「大変!何か食べて!」のようなメッセージがモンスターの表情とともに表示される。
また、基準の範囲内の値を記録した際には、モンスターは笑顔とともに、安心したメッセージを伝えてくれる。
こうしてモンスターとともに「患者さん自身のポジティブな感情」を醸成することで、適切な血糖管理を目指す。

mySugrアプリ内画像

また、mySugrを開発するロシュDC株式会社は、Roche Diabetes Careというグループ会社のAccu-Chekというブランドの元で開発を進めており、写真のような様々な血糖測定・管理機器と連携を取れるのも魅力の1つだ。


関連機器

まとめ

実際にmySugrを使うとどのように血糖値がコントロールされたのか、Fredrick Debong, Harald Mayer らによる論文がこちらだ。
参加者は4ヶ月で血糖値を平均約10mg/dLほど下げることに成功したと報告されており、非常に短期間で血糖値のポジティブな変化が生じた。また、その影響は、コントロールが良好でない糖尿病患者においてさらに大きい可能性があることが示唆されている。

このようなアプリは、短期的にはかなりの効果があっても、長期的に見た際の持続性の観点では大きな課題がまだまだ存在するかもしれない。
しかし、少なくとも今患者さんにとって良い影響を与えることは明白であり、糖尿病管理に限らず、様々な持続的な管理が必要な病気に関して、ゲームフィケーション的要素が含まれた、病気管理アプリの開発が待たれる。

mySugr : https://www.accu-chek.jp/mysugr-app

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