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【読書記録14】「あとがき」まで美しい、最果タヒの現在地。

 皆様いかがお過ごしでしょうか。今回紹介する本は、最果タヒ著『愛の縫い目はここ』(リトルモア)です。

 本書『愛の縫い目はここ』は、詩人であり、小説家の最果タヒ氏による詩集です。

 全体を通して、最果氏の生への肯定、日常への光への眼差しの優しさを感じました。最果氏の感受性は、その鋭敏さゆえに、何かがこの世に生まれることに対して愛を感じると同時に、その生命がいずれは終わりを迎える、あるいは自分が先にこの世を去るために、終わりまで見守ることができないことの悲しみにまで、想像ができてしまいます。生命の息吹にその二重性を感じながらも、その営みを肯定する最果氏の姿勢にとても深い愛が見て取れます。

 曖昧さを肯定する最果氏の詩は、何かを二分化し、単純化しようとする世の中に、疑問を持つ読者の強い味方となって現れてきます。私たちが生きるこの世の中は何かを白黒ハッキリつけられるほど、スッキリ見通しの良いものではなく、みなどこかモヤモヤを抱えながらも、自らの選択に疑いを持ちつつも、時には大いに後悔しつつも生きています。それでも、そのモヤモヤを抱えながらも生きる私たちの日常に希望の光が差していることを教えてくれます。
 曖昧な感情を曖昧なまま理解することを肯定する最果氏の詩は、どこに持っていけばよいか分からない感情を抱える多くの人にとって、きっと救いになることでしょう。バラバラになりそうな心に最果タヒの詩が寄り添ってくれることが実感できると思います。

 そして、本書における一番の感動は「あとがき」にあります。「あとがき」を読めば、いままで読んだ詩の輪郭が浮かび上がってきます。そして、最果氏の優しい眼差しに触れることができます。ぜひ、詩を味わった後に、「あとがき」を読み、最果タヒの言葉を、最果タヒが見る世界を、最果タヒの愛を味わい尽くしてください。

 今回はこれで以上です。

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