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FINAL FANTASY Ⅶ REBIRTH クリア後感想
お久しぶりです。前回の感想からかなり時間が空いてしまった。というのも、今回扱う「FINAL FANTASY Ⅶ REBIRTH」のボリュームが非常に大きく、およそクリアするのに一ヶ月ほどかかってしまったので。
前回扱った「龍が如く8」もかなりの大ボリュームだったが、今作はそれ以上のボリュームでクリアまでに100時間以上かかってしまった。
知っての通り、今シリーズはかの名作「FINAL FANTASY Ⅶ」のフルリメイク作品であり、もともと1本のゲームであった原作を3部作としてリメイクしている。
今作「FINAL FANTASY Ⅶ REBIRTH」は3部作のうちの2作目にあたり、前作「FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE」の続編にあたる。
よって、今回の感想は前作をプレイ済みであるという前提で語っていきたいと思うので、ご了承願います。
概要
まず、今作についてのおさらいをしていきたい。
今作「FINAL FANTASY Ⅶ REBIRTH」は、1997年1月31日に発売されたRPGである「FINAL FANTASY Ⅶ」のリメイク3部作の2作目にあたり、前作「FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE」の続編である。
ストーリーは前作「FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE」の続きとなっているほか、PS5版「FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE(以下FF7リメイク)」のDLCである「FF7R EPSODE INTERmission(以下FF7REI)」とPSPで販売されていた「クライシス コア ファイナルファンタジーⅦ(以下CCFF7)」の要素も含まれている。
とは言え、「FF7REI」と「CCFF7」はプレイしなければ理解できないというほどのものではないので、無理してプレイする必要はあまりなく、どちらかというと原作である「FF7」をプレイ済であることの方が重要である。
ストーリー
今作のストーリーは、原作におけるミッドガル脱出から忘らるる都までの期間となる。もちろん、ただ原作のストーリーをなぞるだけではクリアまで100時間以上のボリュームになるわけもなく、シーンやセリフは大幅に増量されている。
また、すでに死亡しているはずのザックスの視点によるストーリーが度々挿入されるほか、原作には無いウータイ暫定政府により神羅カンパニーへの宣戦布告など、原作をプレイ済みでも先の予測できないストーリーが展開される。
また、基本的なストーリー構成は実は意外とシンプルで、冒険の目的はセフィロスを追うことで終始一貫している。
序盤から後半にかけてはセフィロスと関わりのありそうな黒マントの集団を追い、その後はセフィロスの狙いである黒マテリアを追うこととなる。
そのセフィロスを追う過程で様々な街を訪れ、そこでのイベントをクリアすることで徐々に物語の核心に迫っていくという、見た目こそ豪華だがその実RPGにおいて非常にスタンダードなシナリオ構成となっている。
個人的に今作のシナリオで良かったのは、フィールドやダンジョンを探索しているときの何気ない仲間同士の会話シーンである。
会話の内容自体は特筆すべきこともない、くだらない雑談がほとんどだが、それだきにパーティーの空気感がしっかりと伝わり、画面の向こうのキャラクターが生きているような感覚を受ける。
自分がRPGに求めるものの一つに、明確な個性のある仲間との冒険感や共闘感というものがあるが、今作はそれをかなり高いレベルで実現していたと思う。
反面、肝心のシナリオだけに目を向けると、意外と淡々としている印象を受ける。というのも、原作のストーリーで言うなら起承転結のうち承の部分だけで構成されているため、どうしてもシナリオの盛り上がりに欠けるのだ。
無論、プレイヤーを退屈させないように演出を派手にしたり、多くのサブクエストで世界観の深堀を試みたりといった工夫は見られるが、シナリオそのものの淡泊さは正直誤魔化しきれていないように思う。
また、前作からの続き物のため仕方ないが、前作をプレイしてないプレイヤーは完全に置いてきぼりな内容となっている。
もっとも、前作をプレイせずに今作をプレイしようと思う人はほとんどいないだろうから、そう大きな問題ではないのかもしれない。
戦闘
前作も評価の高かった戦闘システムだが、今作はさらに発展させたものとなっている。
基本はA.RPGに近い戦闘で、通常攻撃の他にガードや回避が基本操作となる。ガードは敵の攻撃をぎりぎりまで引きつけて行うことでジャストガードとなる。
今シリーズ特有のシステムとして、味方にはATBゲージが、敵にはバーストゲージが存在する。
ATBゲージは時間経過や通常攻撃のヒット、ジャストガードなどでためることができ、デフォルトでは2つまでストックすることが出来る。
このATBゲージを消費することで技や魔法、アイテムを使用することが出来る。逆に言うと、ATBゲージがたまらないことには回復もまともにできないため、戦闘ではいかにATBゲージを効率よくためることができるかが勝敗を分ける。
バーストゲージは敵にダメージを当てたり攻撃をジャストガードすることでたまる。また、特定の行動で敵をヒート状態にすることができ、この時は普段より多くのバーストゲージをためることができる。
バーストゲージを最大までためると、敵はバースト状態となり、一定時間被ダメージアップ+行動不能となるため、大ダメージを与える最大のチャンスとなる。
他にもキャラ固有のリミット技を発動するためのリミットゲージや、召喚魔法を発動するためのSUMMONゲージもあるが、役割はほとんど同じのため、説明は省く。
他にも今シリーズの特徴として、ワンボタンで操作キャラクターを切り替えることが出来る。基本的に仲間のCPUは攻撃頻度が低いため、積極的に操作キャラクターを切り替えてATBゲージを回収した方が効率よく戦える。
リアルタイムで行われる戦闘で操作キャラクターを次々と変え、コマンドを入力していくというシステムは、ある意味原作FF7のシステムそのままと言える。とは言え、実際のプレイ感は大きく異なっており、ジャストガードがうまく決まった時や敵をバーストさせた際の爽快感は原作にはないものである。
以上が前作の戦闘システムを簡単にせつめいしたものだが、今作から新たに導入されたシステムも存在する。それが連携アクションと連携アビリティである。
連携アクションは仲間の力を借りて行う行動のことで、うまく発動すると二人分のATBを一気にためることが出来る。特筆すべきは、発動にATBゲージが関与しないこと、つまりいつでも発動することが出来る。前作FF7リメイクの戦闘の問題点として、ATBゲージがたまらないことには行動が極端に制限されるというものあったのだが、この仕様のおかげで戦闘の選択肢が増え、より派手な戦闘を楽しむことができ、戦略性も上がっている。
連携アビリティはATBゲージを消費することでたまる連携ゲージを使い発動する行動で、仲間と力を合わせて強力な攻撃を行うことが出来る。
威力も強力だが、それ以上に強力なのが、一定時間消費MP0、リミット技レベルの上昇、バースト時間延長+バースト中のダメージアップと言った戦況を大きく変えるバフ・デバフ効果の発動である。
うまく使えば非常に強力だが、その分制約も厳しく、同じ連携アビリティを使う場合、二回目以降は必要な連携ゲージが増えるため、ここぞという時を狙って発動しなければならない。
今作追加された二つのシステムは、ともに仲間の力を借りて行うシステムで、より仲間との共闘感を感じるものとなっている。
また、単純に戦闘の選択肢が増えたことによって、戦略性も前作よりアップしている。
戦闘バランスも良好で、全体的に緊張感を伴いながらも、決して理不尽ではないバランスを最初から最後まで維持できているように思う。
反面、何よりも情報がものをいうシステムのため、全体的にボスは初見殺しの要素が強く、初戦では勝てなかったボスも再戦するとあっさりと突破できることが多かった。この辺はやや好みが分かれそうではある。
とはいえ、装備やマテリアの構成でなんとかなるバランスであり、決して理不尽なレベル上げを強要されるバランスではないことは記述しておきたい。
その他特徴
フィールド探索
前作にはなかった今作の特徴として、広大なフィールドと探索要素が挙げられる。
今作のフィールドには、周辺情報を得られる通信塔を始め、サブクエスト・召喚獣の祠・討伐モンスター・トレジャースポット・ライフスポット等と言った探索ポイントがあり、それらを探索することでパーティーを強化することができる。
そのボリュームは非常に大きく、自分はクリアまでに100時間以上かかったが、おそらく70時間ほどは探索に費やしていると思われる。多分、オフライン型のFFでは過去最高のボリュームなのではないか?
しかも、これだけプレイしても探索をすべて終えられたわけではない。
何よりも、ストーリーの項でも述べたが、探索の過程で行われる仲間同士のさりげない雑談が、探索を盛り上げてくれる。
これはファンの贔屓目が大きいが、FF7のキャラクターが広いフィールドをわいわいと冒険しているだけでも楽しい。
物足りない点を上げれば、これだけ多くの探索要素があるにも関わらず、メインストーリーの関与する部分がほとんどなかったという点だろうか。
いわばメインストーリーとサブクエストを始めとした探索要素が分断されているのだ。
一応ストーリーの項でも述べたように、世界観の深堀という点ではそれなりに機能しているのだが、あくまで深堀にとどまっており、極端な話探索を一切行わずとも、メインストーリーに全く影響がない。
今作はあくまでゼノシリーズと同じくストーリー主導型RPGの延長にあるゲームであり、完全シームレスのオープンワールド型RPGとは設計思想が異なることは、理解しておいた方がいいかもしれない。
ミニゲーム
原作であるFF7も当時のゲームとしてはかなりミニゲームが多かったが、今作は原作以上に多数のミニゲームが存在する…のだが、正直言って多すぎるように感じる。
そう感じる理由として、ストーリー上で強制的にプレイする機会が多いことが原因の一つとして挙げられる。
龍が如く8でも感じたことだが、ストーリーの途中に強制的にミニゲームが入ると、どうにも集中が途切れるような印象を受ける。
特に今作のように、探索要素とメインストーリーが区切られたゲームの場合、メインストーリーを進める時には脳がRPGをプレイするという意識に切り替わるため、ゲーム性の異なるミニゲームが挿入されると、どうにも戸惑いを感じ、それがストレスになることが多かった。
また、肝心のミニゲームの内容もコンセプトがかぶっているものが多く、大別するとレースゲーム・音ゲー・RTS・FPS・バトルモードのどれかに属するものが多い。
正直、FF7内で中途半端にミニゲームを多く作るよりは、スクエニオールスターで一本のがっつりとしたレースゲームや音ゲーを作った方が良いのではないか?と思わなくもない(音ゲーはシアトリズムがあるが)。
もちろん、ミニゲーム自体がすべてつまらなかったわけではなく、特にオリジナルのカードゲームであるクイーンズ・ブラッドは、デッキ構築の自由度や高い戦略性もあり、なかなかに完成度が高く楽しめた。
また、このカードゲームに付随したオリジナルストーリーもなかなか面白い。
各町にいるカードバウターと戦いの中で謎の人物のヴィジョンが浮かび、それを追ううちカードゲーム誕生のルーツをたどることとなり、時には犠牲者を出しながら、最終的には世界滅亡の危機に立ち向うこととなるという、ある意味お約束のような展開を迎える。
冷静に考えれば、ツッコミどころしかないクイーンズ・ブラッドのストーリーだが、なぜか有無を言わさない説得力を感じてしまう。
これは幼いころから玩具アニメを見てきた日本人だからそう感じるのか、それとも世界共通の感覚なのか、はたまた自分の感覚が特殊なのか、少し気になる所ではある。
総評
一見すると、かつての名作を2024年大作レベルのクオリティまで引き上げた豪華なリメイクに見えるだろう。
実際その側面は確かにあるが、内容はクラシカルなJ.RPGに近く、むしろ堅実なリメイクであると言える。
特に戦闘システムは、原作のシステムを現代風にアップデートしたものであり、A.RPGというよりはアクション性の強いリアルタイム制のコマンドバトルと言った方がしっくりとくる。
反面シナリオは、原作の展開を下敷きとしながらも並行世界を含んだ新たな要素を含んだ複雑なものとなっており、一言さんお断りな雰囲気が漂っている。正直どういう結末を迎えるのか、全く予測がつかない。
堅実でありながら尖っており、ファンサービスが旺盛ながらファンをふるいにかける、まるで劇中のクラウドのように異なる二面性を持ち合わせた、なんとも不思議なゲームである。
とはいえ、膨大なボリュームや美しいグラフィック先の読めないストーリー、爽快感の高い戦闘システムなど、ゲームの根幹部分の完成度は高く、肌に合えば長く楽しめるゲームなのは間違いないだろう。