標準的なヘクスのサイズ
『57th Panzer Korps』の1ヘクスは実際の1.92㎞に相当して、紙のマップのヘクスを測ってみたところ幅が19.5mm。マップ上の1㎜は実際のほぼ1㎞(100万mm)であり、マップの縮尺はほぼ100万分の1ということになる。
「このゲームのマップは100万分の1の地図である」と考えると、理由の説明できない高揚感がある。昨今、紙のマップを使ってプレイすることは滅多になくて、マップは電子機器上でいろんな大きさにズームして見るとは言え、この高揚感に変わりはない。
こういうマップになったのは、元々あった100万分の1の地図に六角形のグリッドをかぶせたからなのか。それとも、15mm角のコマに合うように作ったマップが、たまたま100万分の1の地図になったのか。
よく見る16mm幅のヘクスは、実は1ヘクスが何マイルになるかの計算が楽だから使われているのではないか。そう思って、六角グリッドのゲームとしては相当に古い『Stalingrad』を確認したら、ヘクス幅は既に16mm。地図の縮尺とは関係ない理由で16㎜幅のヘクスは既に生まれていたのかなと思う。
そもそもこのヘクスは本当に16mm幅なのか。5/8インチ(15.875mm)とか、1マイルの10万分の1である16.093mmとかだったりしないのか。
300dpiでスキャンしたマップからヘクス1個を切り出してみると幅は188ピクセル。188ピクセル÷300dpi=0.627インチということで、16mm(0.630インチ)よりは5/8インチ(0.625インチ)に近い。とは言えこのいい加減な測り方をもってヘクス径が5/8インチだと結論するのは気が引ける。
もしやと思ってSPIの冊子『Image and System』を見直したところ、マップの章にそのものズバリの記述があった。曰く「多くのSPIゲーム(とSPI以外のゲーム)における標準的なヘクスのサイズは16ミリメートル、すなわち0.000016キロメートルである」とのこと。
実際に描かれているヘクスの幅はそこまで厳密に16㎜きっかりではないとか、5/8インチをざっくり16㎜だと言っていたとか、その後(SPIがなくなったのはもう40年以上前!)に16㎜ジャストじゃないヘクスが一般的になったとか、ヘクスの辺の太さをヘクス幅に含めるかどうかで違うじゃんとか、いろいろな事情があるとは思う。
でもまぁ「レドモンドはこのヘクスの幅を(5/8インチではなく)16mmだと考えていた」というのが分かってとても清々しい。古いやつだとお思いでしょうが、いくつになってもSPIが大好きで、サイモンセンのアウトプットには目をキラキラさせずにいられないのである。