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Case1.ゲーム障害との出会い

「ゲームやりすぎが病気*」っていうのは、ゲーム好きな子達にとっても、子どもを持つ親にとっても、医療業界、ゲーム業界にとっても結構衝撃だったんじゃないかと思う。そして最近は教育・福祉の現場を悩ませているのかな。

(*「やりすぎ」=病気ってのは正確な表現ではないですが)

ゲーム障害診療をはじめたきっかけ

私がゲーム障害と出会ったのは、まだ疾患認定される前のことだったけど、当時の職場の部長が、勤務を半日休んでバイトにいってOK、という制度を作ってくれたおかげで、某依存症クリニックでバイトすることになり。そこで、今度からネット依存外来やるからやってね!って無茶振りされて始めることになりました。(そんなんでいいのか)久里浜の先生の本とかすごくお世話になりました。

ゲーム障害に関する書籍

https://kurihama.hosp.go.jp/research/book/internet.html

身近なゲーム障害患者

それで勉強していくと、実は自分のとっても身近にゲーム障害の人がいたんですよねー。びっくり。「疾患」と知る前は、朝起きられない、大学の講義に出れない、留年を繰り返す、っていうんで、「まあ睡眠相後退症候群って診断書かいて貰えばいいんじゃない」って言ってたんですけど、その状態で一人暮らしを放置していたもんだから、ますます昼夜逆転は悪化するし、大学は進級できないし、とうとう中退の危機。

そこでやっと慌てた親が生活状況を把握しに一人暮らしのところに出向くと、家はゴミだらけ、ろくな食事はしてなくて、何だかゲップが止まらないとか言い出す。元々はすごいオシャレ好きなバンドマンだったのに、服も買わずライブにも行かず、ひたすらゲーム。学校からのメールはガン無視。ようやく皆で動き出したのは大学に8年もいて中退してからだったんだけど、もっと早くに気づいて対策をとっていれば。

そこから医療につなげるまでも一悶着あったんだけど、それはまたいつか。

受診したほうがいいのか?

こういう人が身近にいるからこそ、「ちょっと問題アリかも?」というところで早めに対策を取ることは大事だと思っている。ゲーム好きな子達にとっては迷惑な話だろうけどね。

まあ一部厳しすぎる親がいることもまた事実。家庭内のルールってあんまり他と比べる場もないし、こうしなさい、というマニュアルがあるわけでもないから(厳しいルール作ると香川県みたいに批判されちゃうしね)、親たちも試行錯誤なんだとは思う。「ゲームさせすぎると病気になる」って知って慌ててこれまで放任だった親が厳格なルールを作っちゃうと、子どもが反発するのは必須。それをみて「こんなにゲームになると目の色変えて!!頭おかしいわ!!」って慌てないでください。

家庭内でのルールが適切なのかな?とか、ゲームのことで喧嘩になっちゃうとき、まあ必ずしも精神科外来じゃなくてもいいので(治療している病院も少ないしね)、学校の先生、スクールカウンセラー、塾や家庭教師の先生、子ども家庭支援センター、児童相談所、もしくは警察(青少年センター)*とかそういったところで第三者を交えてルール作りをしていくのは冷静になれるし、親が一方的なルールを押し付けることも防げると思うので、良いのかなと思います。

(*全部の自治体で対応しているわけではないと思うので一応ご確認を。)

今久里浜の先生たちを中心に、相談機関での対応マニュアルなんかも作成中らしいので、もっと気軽に相談できる環境が整ってくるのかなと思います。最近よく保健師さんとか、学校の先生向けに講演してくださいっていう依頼もあったりするので、みんな勉強しているところだと思います。

過度な期待と焦りは禁物

診察に来れば全てが解決する!!ってわけではありません。医療は魔法じゃないからね。「診察に行ったらゲームさせてあげる」とか無理矢理釣ろうとせず(この場合治療に乗らないことがほとんど)親御さんだけで受診のさせ方についても相談するのはありかなと思います。家族会に参加するだけで変化したケースとかもありますしね。

それではまた。

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