ワイルドなハンターもの?「クレイヴン・ザ・ハンター」
SSU最終作になったと言われる本作。そもそのスパイダーマンに関するユニバースものだったのに結局スパイダーマン自身が一度も登場しなかったという、結構奇妙なシリーズになってしまいました。新しいIP模索して失敗したってことなのか……。なんとも勿体ない作品群になってしまった気が。
さて、本作はゲーム「スパイダーマン2」でも登場していたクレイヴンが主人公。なんか強い奴をハンティングするのが生きがいのキャラみたいな描かれ方をしていた気がしますが(ゲーム序盤で止まってるのでイメージのみ)、本作でも野性味あふれるキャラクターで、自分の信念に従って悪い奴らを狩っている印象でした。正直彼がどういう立ち位置なのか、劇中ではっきり分からなかったですが。
彼は少年時代にライオンに襲われ、その際に呪術的な薬と襲ったライオンの血が混じったことで驚異的な身体能力を得たようで、そういう意味では雲の力を持つスパイダーマンと共通する出自のキャラクターなのでしょう。ゲームでも後半にそういう話が出るのかな?是非映画でもトム・ホランドのスパイダーマンと共演してほしいものです。
そんなクレイヴンと敵対するのは、マフィアのボスである父と敵対するライノ。アメイジング・スパイダーマン2でラストに登場したヴィランですね。本作では皮膚を硬化させる特殊能力で、クライマックスの戦いを彩ってくれていました。
その他にもザ・フォーリナーと呼ばれる暗殺者も登場し、クレイヴンを最も苦しめていました。個人的には彼の催眠+時間停止のような能力が、コードギアスに登場したロロの能力に似ていて見ごたえがありました。最後はクレイヴンの相棒であるカリプソの矢に倒れましたが、もっと出番が欲しかったキャラクターでした。
あと本作で印象的だったのは、クレイヴンの家族関係ですね。父親はラッセル・クロウが演じており貫禄と悪の魅力がバッチリ。弟はグラディエーター2でカラカラ帝を演じていたフレッド・ヘッキンジャーで、こちらも気弱な雰囲気からラストでヴィラン(カメレオン)に変貌する怪しさまで演じていました。結局元凶が親父で、その後弟も父を殺された恨みから兄を憎んでヴィランになると、最初から最後まで家族同士の諍いで綴られていたのですが、俳優同士のやり取り等、とても見ごたえはあったかと思います。
本作を人に勧められるか、と言えばそこまででは……、なのですが、ちゃんと映画館で見て楽しめる作品ではありますので、ロッテン・トマト評めっちゃ低くてどうしよう、と躊躇されるくらいに興味があった方には見て判断したほうがいいよ、と言いたくなる作品でした。